第15話 Cooking
夏休み直前のある日のホームルーム。
「……ということでもう少しで夏休みに入る。これから欠席すると二学期に休んだことになるからなるべく休むなよ」
手短に話を終え、担任はさっさと教室から出ていってしまった。
「俺も帰るか」
別に予定はないが今日はなんか早く帰りたい気分。
「ユウ〜帰ろ〜」
「ああ」
いつものように青龍と華凛の二人組と家に帰る。
「そういえばせーちゃんの家ってどんな所なの?」
「そういえばそうだな、どんな所なんだ?」
神獣のことは喋るな、とアイコンタクト。
前に神獣の世界みたいなものがあるって聞いたことはあったけどな。
「ん〜?あんまり上手く説明できないんだけどね、ここと変わらないよ」
「へぇ〜……あ、私こっちだから、じゃあまた明日」
「じゃあな」
「バイバーイ」
華凛と別れる。
んーこうして青龍と二人で帰るのも当たり前になってきてるな。あの時はまさかこうなるとは思ってなかった。
「ねぇユウ」
「なんだ?」
「今日の晩ご飯何〜?」
「決めてない、というか青龍も料理くらい出来るようになった方がいいんじゃないか?」
「えぇ〜」
ユウが作るからいいじゃん、とでも言うように青龍はジト目で見てくる。
「む〜ユウが作るから私は作らなくていいと思うけどな〜」
「俺が居ない時はどうする?」
「うっ、そっそれは………あっインスタント食品を買い込んでおけば……」
「体に悪いぞ?」
「う〜じゃあ………ユウが作り置きを…」
「俺はお手伝いさんじゃねぇ!」
どちらにせよ料理は覚える気はないらしい。
「ま、まぁその問題は保留ということで……」
「まったく……そんなんじゃ嫁に行けないぞ」
「んーその時は……………あっ、ユウ!」
もっもしや、この状況は………。
『ユウのお嫁さんになるからいいよ』
とかいうベタな展開の予感。
「私のメイドになって!」
「……………」
……全然違った。
「あのな、さっきもお手伝いさんじゃないって言ったばっかりだよな?」
「ユウは料理上手だから大丈夫だよ!」
拳を握って力説されても全然嬉しくない。というか会話になってないのは気のせいか?
「………もういいや」
「ユ、ユウ。そんなに落ち込まなくても……」
そして俺が落ち込んでいる間に家に着いた。
「なぁ青龍、少しいいから料理覚えようなー」
「えぇー」
本日二回目のえぇー。
「じゃあ手伝いだけでもして下さい」
「うーん、それくらいなら出来ると思うけど………」
というわけで青龍と一緒に調理開始。
今日のメニューは肉じゃが。
「とりあえず………ジャガイモの皮を剥いてくれ」
「わかった〜」
料理ができないって言っても皮むきくらいはできるだろう。
「お、なかなか上手いぞ」
「本当?」
料理ができないって言ってたけど全然できないというわけじゃないんだな。
「じゃあ次はタマネギ切って」
「りょ〜かい」
青龍に下拵えを任せている間に俺は他のをやろう。
「……………」
「……………」
黙々と作業を続ける二人。
「よーし、味噌汁はこんなとこか。青龍、終わったか〜?」
味見をしながら話し掛ける。
「まだだよ〜」
なんかタマネギだけに時間が掛かりすぎてない?
「というかタマネギって皮が厚いね」
「もしや………」
青龍の方を見るとタマネギがすごくちっさくなっていた。
「猿かっ!青龍、タマネギは茶色の皮だけ剥けばいいんだぞ?」
「………!!?」
ガガーン、という効果音が聞こえて来そうなくらいショックを受けている。
体勢で表すと、orz、こんな感じだ。
「まあ失敗もあるから気にするな」
「……………猿って」
落ち込んでいるのは俺のせいだった。
猿ってタマネギ渡すとずっと皮を剥き続けるんじゃなかったっけ?っとそんなことはどうでもいいか。
「ま、下拵えは大体終わってるから一人でも直ぐに出来るか」
orz、な状態の青龍をほったらかしにして料理を完成させる。
「出来た………青龍〜メシだぞ〜?」
「…………はっ!?私は一体何を?」
あまりのショックに脳が休止していたらしい。
「夕食だぞ」
「え?あ、うん」
こうして青龍の初料理は終わった。
「ねぇユウ?私ってなんであんな状態になってたんだっけ?」
「さぁ?」
俺が猿って言ったから、とか言ったら怒るだろうな〜、なんてことを考えながらその日の夕食は無事に終了した。
書き方が雑です(-"-;)もっといい文章を書きたい……orz