表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/36

第12話 バスケをしよう!



昨日は大変だったなぁ、などと思いつつぼぉーっと体育館で活発に動いているクラスメイトを眺める。

今は体育の授業で自由時間らしい。で、なんで俺が参加していないかというと、閠龍さんの攻撃を躱した時に筋肉や関節に結構な負担がかかっていたらしく激しい運動をすると痛むのだ。そういう訳でぼぉーっとしている。


「…つーかウチの学校の体育館広いな」


ここ桜花高校(第12話目にして高校の名前がようやく判明)の体育館はバスケ・バレー・バドミントン等の部が一緒に活動できるくらい無駄に広い。しかも隣に小体育館というものがあり、卓球場、柔・剣道場を完備している。


「悠〜今からバスケやるけど入るか?」


「いや、今日はパス」


今から和馬たちはバスケをやるらしい。

3on3でやるみたいだな。チームは青龍、華凛、遊沢。もう片方は和馬とクラスメイトの佐藤と田中だ。女子チーム対男子チームってとこか。


「じゃあ始めようか。ルールは五本先取、んで負けた方は罰ゲームとして勝った方にジュースを奢る。いいね?」


「「「おう!」」」


男子チームの声がかぶる。どうやら息はぴったりのようだ。

それにしても遊沢ってホントに賭け事が好きだったんだな…。

色々と思考している間にゲームは始まっていた。


まず華凛がボールを持つ、そして遊沢にパス…と見せかけてドリブルで佐藤を抜き去る。

その後、遊沢にパス。遊沢はフェイントを入れながら和馬たちを躱してそれをレイアップで決めた。


「なかなか上手いな、息も合ってるし」


次は男子チームのボールからだ。

和馬にボールが回り、田中にパスしようとして青龍からカットされた。

そしてゴールにそのまま疾走して…


「あほっ!ドリブルしろっ!」


思わず叫んでしまった。

バスケで脇にボールを挟みラグビーみたいに突っ込んでいくヤツがいたら誰だって叫びたくなるだろ。

しかも放っておいたらトライしそうな勢いだったし。


「………ちっ、何も言わなかったら気付かれなかったのに」


いや、そりゃ無理があるだろ。いくら和馬だって気付くはずだ。


「え?あれ反則なの?」


「「おい!!」」


って気付いていなかった。そして他の二人からツッコミが入る。


「和馬ぁ!そのくらいは知っとけ!」


「いや〜バスケのルールってイマイチ解らないんだよな〜」


ルールも知らずに勝負を挑とはアホだ…。しかも普通トラベリングぐらい知ってるだろ。


「よーしルールは大体理解したぜ。さぁ気を取り直して再開だ」


トラベリングを知って元気になる和馬。しかし他の二人はもう諦めモードになっている。

そんなこんなでスコアは4対2で女子チームがリーチ。

最初と同じように華凛が遊沢にパス、そして遊沢はスリーポイントのラインからシュート。


「ラストだから格好つけてるな」


その格好つけたのがいけなかったのか、ボールは見当違いの所にいく…のではなく青龍へのパスだった。それを青龍は空中で受け取りそのままダンク。


「何っ!?あ、アリウープだと…」


アリウープなんてバスケ初心者ができる技じゃない。なのでバスケをしていた奴らは呆然としている。


「あ〜気分爽快だよっ!これで私たちの勝ちだね」


そんな中、当の本人だけ勝利宣言をしている。

その声で遊沢たちが我を取り戻した。


「そ、そうだ!間塚たち勝負に負けたんだから罰ゲームね」


「わ、わかった。というかもうすぐ授業が終わるな。集合しようぜ?」


なんか無理矢理話を逸らしている気が…。


「そういえば華凛って結構バスケ上手かったんだ」


「うん、上手かったよ」


「えっ、そうかな?」


誉められている華凛はまんざらでもなさそうだ。が、青龍のスーパープレイについては何も触れられない。

さっきのは触れないようにしているらしい。


「おーい、もう授業が終わるから集合しろー」


体育教師の生徒を呼ぶ声で体育の授業は終了した。

――放課後


「あーやっと終わった、しっかし今日は疲れたなー」


そう言いながら遊沢が俺の席に近付いてくる。


「バスケの時にはしゃぎ過ぎだ」


「えーそうだっけ?あのくらい普通じゃん」


遊沢よ、お前の運動量を一般人と比べてはいけない。


「まぁとにかく、これで全員揃ったな」


俺の席には和馬、華凛、遊沢、そして青龍が集まっている。


「ねーねーなんで集まってるの?」


「お前の歓迎パーティの打ち合せだろ。もしかして忘れてた?」


「いやっ!今思い出した所だよっ」


それを忘れていたと言うのだが…。


「主役が忘れていてもやるもんはやるからな。で、日程だけど明日でもいいか?」


何を隠そう今日は金曜日。さっき遊沢が疲れたと言ったのはそのことも関係するのかもしれない。


「明日か…うん、あたしは空いてる」


「私も〜」


青龍は強制参加だから後は…。


「和馬は?」


「ふはは、オレはいつも暇だぜっ」


いつも暇って…和馬、お前の友人として悲しいぞ。


「ちっ」


「!!」


遊沢、舌打ちってひどくね?和馬になんか恨みでもあるのか?

他のやつに聞かれてたら大変だぞ?


「じゃあ明日俺んちに集合だな」


「わかった、んじゃあたしはもう帰るわ」


「それじゃあ俺たちも帰るか」


「「うん」」


数日前から青龍と華凛と俺の三人で一緒に帰っている。

華凛は前からだったし青龍は一緒に住んでるから必然的にそうなってしまう。


「複数の女の子と一緒に帰るなんてどこのギャルゲーだっ!悠のバカヤロー」


和馬だけダッシュで帰っていった。


「なぁアレ治らないかな?」


「「無理じゃない?」」


やっぱり誰が見ても治りそうもないのか…。

言われる方としては結構迷惑なんだけど。


「つーか明日来ると思うか?」


「う〜ん、どうだろ?来なかったら呼べばいいし…」


「華凛甘いね、あれは多分来ないよ。背中がそう語ってたね」


「ていうか間塚は居なくても問題無いでしょ?」


三人とも違う答えだが…遊沢、今日はちょっと厳し過ぎない?


「どっちにしても明日は忙しくなりそうだな」


密かに明日は和馬のことは忘れて楽しもうと思う俺だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ