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第10話 襲来



「あ〜すっかり暗くなってるな」


「ユウってば張り切って買いすぎなんだよ」


今はパーティの買い出しの帰り道である。


「う〜ん、買いすぎかな?…あ、でも青龍ってメチャクチャ食うだろ?これくらいで丁度いいと思うけど」


「なっ、失礼な!人よりちょっと多く食べるだけだよ」


あれがちょっと多く食べるだけなのか…。じゃあ青龍が本気で食事をしたら………あぁこんな恐ろしい想像は止めておこう。


「というか私お腹減った。何か食べていこうよ〜」


「家までもう少しだから我慢な」


まったく青龍の頭の中は食べ物のことしかないのか。


「……あれ?青龍?」


歩いている俺の隣に青龍の姿はない。振り返ると青龍は立ち止まっていた。しかも様子が少し変だ。


「どうしたんだよ、いきなり立ち止まったりして」


「ユウ、先に帰ってて」


なんで?と問おうとした瞬間、青龍は走りだした。


「おい青龍っ!どこ行くんだよ!」


走り去っていく青龍。後を追って俺も走り出す。

ようやく追い付いた。青龍が居たのは人気の無い空き地のような場所。


「おい青龍、どうしたんだよ」


「…っ!ユウ、付いてきちゃダメだって言ったのに…ってもう遅いか」


青龍は正面を睨み付ける。


「ユウは巻き込みたくなかったけど……居るんでしょ?出て来なよ」


「ふっ、さすがは神獣の中でも最高位と称される青龍といったところか」


「!」


ソレは前からそこに居たかのように姿を現した。


「また会ったな、少年」


「あんたはあの時の!」


廊下でぶつかったあの男だった。


「ユウっ、危ない!」


気付いたときには突き飛ばされた後だった。

俺が今まで居た場所は抉りとられたようにクレーターができている。


「ほう、なかなかの動きだ」


「ちっ」


いつの間にか青龍の手には青龍刀が握られている。


「ふん、そんな玩具でこの私を傷つけられるかな?」


「やってみなくちゃわかんないでしょ」


人間の目でついていけるギリギリのスピードで切り結ぶ二人。もちろん二人が見えているだけであって刀は見えていない。


「これでは埒が明かん。今日はこれで撤退しよう。その前に…」


「なっ、ユウは関係ない!」


言うが早いか男は剣のようなモノで俺を貫いていた。


「………っ!?」


男は確かに人外のスピードで俺を貫こうとした。それで俺は貫かれた筈だった。


「この攻撃を回避するとは…やるじゃないか」


頭で理解するより早く体が動いてた。


「危なっ!アンタいきなり何やってんだ!…つーか俺なんで避けれたの?」


頭で理解するより体の反応が早いなんて誰が思うだろうか。そんなわけで俺もどうして避けきれたかわからない。

といつの間にか視界から男が消えていた。


「ユウっ避けて!」


「無理」


そんなこと言われても考えて避けるのは無理だ。

返答した直後、自然と体が後ろへ跳んだ。


「面白い、これも避けるか」


今度は体が勝手に反応したのだと理解できた。


「……………」


あ、青龍が驚いてる。まぁ無理もない、だって一般人が避けれる攻撃じゃないもんな。というか避けた本人もよく理解していなかったりする。体が動いたのはわかったけど…。


「どこまで続くかな?」


そうしている間にも繰り返される斬撃。しかし俺はそれをひょいひょいと避ける。親父、アンタからたたき込まれた武道が役に立ってるっぽい。

うーん、しかしこれじゃコイツが言ったみたいに埒が明かない。いっちょ反撃してみますか。


「ほらほら少年!ぼーっとしていると死ぬぞ」


「死なん」


こんなところで死んでたまるか。つーかどうやって反撃しよう?…とりあえず動揺させてみるか?

そもそも動揺するかどうか怪しいとこだけど…。


「アンタの攻撃はもう見切った」


「なっ何ぃ!!」


男は地面にがっくりと膝をつく。

ラッキー、なんか成功したみたいだ。今のうちに攻撃しとくか。


「…少年よ、よく恥ずかしがらず漫画みたいなコトを言えるな。私なら恥ずかしくて自殺してしまうぞ…」


なるほど動揺したんじゃなくてビックリしたんだな。でもアンタその格好、無防備すぎるぞ。しかもちょっとムカついた。


「誰のせいで言ったと思ってんだ!ボケッ」


怒りに身を任せてローキック。しかし今は膝をついている状態なので必然的に顔面にヒット。


「ぶはぁっ」


奇声をあげて吹っ飛んでいく男。その顔からは仮面の破片がパラパラと落ちていく。…………ん?仮面?


「ユウっ大丈夫?」


「ああ問題ない」


それより………


「青龍、アイツ仮面つけてたぞ」


「!?」


「とりあえず顔でも見ておくか」


俺は吹っ飛ばした男のところへ行き、壊れた仮面を外す。ちなみに男は気絶している。


「なぁ青龍、これ誰か解る?」


青龍は男の顔を見るなりだんだんと殺気立っていった。


「ど、どうした?誰だか知ってるのか?」


「うん、私の父上だよ」


「はぁ!?青龍の親父!?」


俺の大声で目が覚めたのか男―――青龍の親父がスッと起き上がった。


「我が愛しの青龍ちゃん久しぶり。それと少年、なかなかいい蹴りだったぞ」


意味がわからん。


「っていうかなんで父上がここに居るの?」


青龍は怒り心頭といった様子で問い詰めている。しかもその手には青龍刀を持って。


「あ〜青龍?少し落ち着こうか?ほらお父さんもちょっと青ざめてるし」


「あ、そうだね」


おとなしく青龍刀しまう。つーかどこにしまってんだ?後で聞いてみよう。


「少年、君からお父さんと言われる覚えはない。………はっ!?もしや青龍ちゃんに手を出したな!許せん」


「出すか!この小説は全年齢対象じゃボケッ!」


いつもの癖でボディブローを放っていた。


「くっ、ボディもなかなかのものだ」


「父上?次、くだらないこと言ったら…解ってるよね?」


「う、うん。肝に銘じておくとしよう」


「で、その青龍のお父さんが何の用ですか?ていうか何でいきなり襲ってきたんですか?」


「そうだよ!なんで私たちが襲われなきゃいけないの?」


こっちは死ぬところだったんだから俺が納得する理由じゃなかったらもう一発殴ろう。


「なんとなく……じゃダメかい?」


うん、もう一発殴られたいらしい。ていうか殴っていいよね?よし殴ろう。


「少年、何かやけに殺気立ってないかい?」


「はい、それはきっと気のせいじゃありませんよ」


その日、空き地に断末魔が響き渡った。

もちろん誰のかは言うまでもない。


思わせ振り?なタイトルですが青龍の父が登場しただけです(^^;)次の話も出ます(-_-;)

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