平凡高校生の平凡日曜日
朝。目が覚め俺はしばしの間睡魔と格闘。
勝利し、体が日中より数倍重いことに不快感を得ながらも「よっこらせ」と、そこらへんの中年のオッサンよろしく声をあげ、いつものように顔を洗いに洗面所に行く。
こんな行動を何度繰り返しただろう……
「…ねみぃ」
つい声を出してしまった。
無駄に急な階段を下り、ぺたぺたという柔らかい足音だけが、家に響き渡る。
顔を洗い終えリビングに向かう途中で、1人の女性とすれ違った。
「あ~、こう君おっは~」
このフリーダムかつ人にストレスをチャージするためだけにあるような声帯は…姉だ。
俺こと『野中 浩二』の実の姉、『野中 玲華』である。
おっとりと、今にも寝てしまいそうな口調で苛々させるのだが、優しい性格で、しかも成績もよく、クラスでは一二を争うほど頭がいい。自慢の姉という奴だ。
今から言っておくが、俺はシスコンではない。断じて違う。
姉は俺より早く起きているくせに、まだパジャマだ。
「こう君きょーはいつもより早いね~。何かあるの~?」
この人は漢字が無くても生きていけるだろう。
「何もねぇよ。昨日早めに寝たから、早いんじゃねぇの?」
姉に言われるまで気づかなかったが、確かにまだ家の中が暗い気がする。
「こう君いつもおねぼうさんだからびっくりしたよ~」
よしよしと俺の頭を撫でてくる。いつもやってくるので、もう慣れた。
ちなみに『こう君』とは、分かる通り俺こと『野中 浩二』の『皓』である。
主に姉が呼んでいて、他にも『こうちゃん』とか、『こうたん』とか言ってくるが『こう君』の方が一番呼びやすいらしい。(本人談)
「とーさんとかーさんはまだ帰って来てないよ~」
姉がなぜがリビングについてきた。自分の部屋に行くんじゃなかったのか?
実は俺達の両親はどちらも『夜の仕事』というものをやっており、いつも帰って来る時間が遅いのだ。
「そんなに俺早く起きたのか?」
リビングにある千葉県在住のネズミの時計を見てみる。
……げっ! まだ4時半かよ、姉はいつから起きてんだ?
今日は、日曜日だから昼まで寝てようと思ったのに……
「姉さんいつから起きてんの?」
「ん~? 1時間ぐらい前かな~?」
はやっ! どんなもの食ったらそんなに早く起きれんだ…?
まぁでも姉は毎日6時辺りに寝るから、当然か。老人かっ!
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二度寝しようにも、顔を洗っちゃったから寝ようにも寝れないので適当にごろごろして、時間をプレスした。
姉は、気づかない内に自分の部屋へ行って、また寝てしまったようだ。だったら早く起きなきゃいいのに……
ソファにねっころがっていると、50インチぐらいのテレビの横の棚にある、鼠色をしていて、どこにでもありそうなごく一般的な電話が、早く出ろと言わんばかりに『リリリリリン』と催促してきた。誰もいないので出る。
「はい」
『また今日遅れてくるからね~』
「お前か」
『あれ~? こうちゃんなの~? 早起きなのね~?』
「切るぞ」
『あん。冷たいのね~』
ブツッ
無理矢理切ってやった。
今のは、俺の実の母、『野中 幸子』である。
母はたまに男と寝て返ってくる事がある。…酷い話だ。
もう朝なので、今日は帰ってこないだろう……
俺は呆れてソファの上でごろごろ再開。
それから数分してから、家の出入り口のドアが開く音がした。
「ただいま~」
……父だ
父は普通にホステスだがバイトで、代行もやっており、かなり遅く帰ってくるのだ。女と寝てくる人ではない……多分。
「おーこう。お前今日早いな。日曜日だぞ?」
「あんた等は俺を何者だと思ってるんだよ」
「え? ホスト№1候補?」
「そうか、聞いた俺が悪かった」
軽く聞き流す。
「だってお前ちょっと頑張ればホスト№1だって夢じゃないぞ?容姿に自身を持て!」
父が、人差し指と親指を近づけて、『ちょっと』を表現してくる。
「俺高二だぞ」
そう、何を隠そう俺は現役バリバリの高校二年生なのである。
「大丈夫だって。お前大人っぽいから、秘密にしてたらバレねぇってw」
「死んでも行くか」
バッサリと話を終わらせた。
ここにいても疲れるだけだなぁ…
ソファから立ち上がり、自分の部屋へと行くことにした。
後ろで『え~っ』となにか訴えているようだが、ここはスルー安定のようだ。まぁいつもの事だけどな……
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自分の部屋に着くと異様にベットが膨らんでいた。
……ん?ナンダコレ?
注視して見ると微妙に動いている。
意を決して布団をはいでみることにした………
「えいっ!」バッ
枕元から一気に足の方へ引き上げる。
「!?」
…………姉がいた。
「姉さん!? 何で俺の部屋で寝てるんだよ!」
「ん~? あれ? こう君姉さんの部屋で何してるの~?」
うん、ぼけてるなっ!
まだ眠いのか目を擦っている。
「こっちの台詞だよ。何で俺の部屋で寝てるんだよ!」
あれ?デジャブ?
「ん~? あ~ごめんごめん姉さん間違えちゃった~」
姉がのっそりと俺のベットから出てきた。
「ゴメンね~。今出て行くからn……」ドサッ
倒れた…
「すぴ~すぴ~…むにゃむにゃ……」
「寝たのか…」
俺の部屋の中央で大の字になって寝てしまったようだ。
「はぁ…」
よし、運ぶか……
実に不定期更新ですが、あしからず・・・