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サバイバル論争


『サバイバルやりたいな』


友人の手には影響を与えたと思しき銃撃戦漫画。


「サバイバルゲームか? いいな、それ」


俺もやりたい。


『じゃあ行くか、無人島』


俺は無人島に拉致された。


…………。




2時間後。




「おまえの親に一度会ってみたい」


ここは太平洋の何処かにある無人島だと思う。


『会ってどうすんだ』

「どうやっておまえを育てたのか聞きたい」


いきなりスタンガンを食らって、目を覚ましたらそこは常夏。


『まずは泳ごう』


どうやって此処に来たのか……知りたかったが、聞かない方が良いような気がした。


「俺も遊ぼう」


俺は現実から逃避する。


…………。




三日後。




人間、慣れれば慣れるものだ。


『ああ、眩しいぜ』


日光浴。日差しは強い。真っ黒だ。


「しかし、ヤシの実も飽きたな」


森に入って雑草やキノコを漁ってみたが、知識のない俺達は毒に対して無力だった。


『腹減ったな、水飲もう』


怖ろしいことに、友人が手にしているヤシの実には海水が入っている。

濾過もせず普通に飲んでいる姿には同情を禁じ得ない。雨水もあるのに……。


…………。




一週間後。




「限界が訪れた」


帰りたい。


『俺も帰りたい』


じゃあ帰ろう。


『どうやって?』


…………。




次の日。




『火だ!』


木棒の摩擦熱を利用することで………………無理だった。


『船だ!』


水平線に向かって泳ぎ出す………………友人が溺れた。


『船だ!』


今度は大声で叫ぶ………………聞こえるはずがない。


『寝る!』


…………。




次の日。




『ふねふねふねふね』


イカダを作ろうか迷う………………刃物がない。


『ねふーねふーねふーねふー』


友人は謎のキノコを食して錯乱してしまった。

ついでに、そろそろ俺も目の前が霞んできた。

せめて死ぬ前に友人を殴っておこうと思い立つ。


「…………」



…………。




十分後。




奇蹟が起きた。


『火火火火火火火火』


友人を殴った後、この島は強烈なスコールに見舞われた。

次いで、島を崩壊させるかのような雷鳴。森に炎が広がった。


「…………」


友人を殴ったことで、天が俺を褒め称えてくれているのだろうか?

偶然とは思うが、そう思わずにはいられない。


「しかし、褒めすぎだ」


雨が去っても、炎は消えない。

それどころか森を焼き尽くす勢いで燃え広がっていく。

此処にいては俺達も危ないかもしれない。


『プシューピューピープー、パラピレプルポレ』


友人はもう諦めよう。


…………。




二日後。




助かるのは時間の問題だった。

何せ島が一つ燃え尽きたのだ。

何事かと付近の船が100隻程出迎えてくれた。


『久々の我が家』


一晩寝ると、友人は元に戻った。


『いやぁ中々楽しかった』

「おまえはな」


あんなに錯乱してたら、それは愉しかっただろう。

俺はもう二度と行きたくない。

暫くは友人とも会うのは避けるつもりだ。


『プピパパパパパ』

「…………」

『ん、どうした?』


今日も友人はいつも通りだ。


かくして、サバイバル論争は幕を閉じたのであった。


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