お仕事が終わって
午後4時、遥は根性を出し切って、そして闘志を全開にして今日の仕事を見事にやりきった・・・。
「厄年だから厄年払いをお願いします」という客ばかりで一人一人真摯に接した。
ただ、遥はお祓いの空気が苦手なのかヘトヘトになって神社にある大木にもたれかかって座っていた。
「あ〜、疲れた。お祓いをするときのあの空気はいつも慣れない。あの畏まった雰囲気、空気が」
そう、お祓いをするときの空気って何か落ち着かない。故に変な緊張をしてしまい余計に疲れる。
遥的にはもうちょい気楽にワイワイしてやりたい気分だ。
「それにしても厄払いなんて効果有るとは思わないがな。ただお祓いするだけに効果があるとは思えない。そんなんするくらいなら熱き漢の魂を注入してやった方が気合が入るし格好も付くと思うがな」
グチグチと文句を言う遥ではあるが、一応理屈として厄年とは人間の節目の時期と言うのは知っている。
いわゆる本厄の年というのはそれなりの歳で身体が堅くなって怪我しやすくなったり、体調が崩れやすい時期なのである。
そして遥にとっては厄払いなんて物はただの気休めにしか感じない。
しかし、それ以上の事は敢えて口にはしなかった。
これ以上口にすると自分の仕事・・・神職の仕事を否定してしまうことになるから。
「疲れた・・・今日はこれ以上何かをする気が起きないな。晩飯どうするかな。これから飯作るんだりぃわなっー・・・」
遥はヨイショっと言って立ち上がり、巫女服に付いて汚れを手で払う。
そして閃く。
「そうだ、せっかくじゃけぇ近所のラーメン屋に行こう!そうしよう!今なら客が少ないから落ち着くだろうしな!」
それに今ならさっきのお祓いで手に入れたお金もあるから沢山食べることが出来る。
嬉々とした表情で遥は神社を出て山を下っていく。