少女の名前は外崎遥
それから授業が進み、今は昼休みである。昼休みの教室では今日の少女の事について盛り上がっていた。
「あのヤクザ教師の東尾を前に堂々とするなんてカッケーな」
「やっぱ、外崎さんはクールで格好いいね!入試試験1位の天才だし出来るし憧れる。物怖じしない度胸の強さも憧れる!」
そんな会話ばかりがクラスで話題になっていた。
しかし少女はカッコつけた訳でもなく、ただ自分の言いたいことを言っただけである。なぜ、クラスのみんながこんなに騒がしいのかよく分からなかった。
「遥、なんだか騒がしいね。お昼部室で食べよっか?」
ある一人の女の子が少女にそう言ってきた。
「ん、翔子か。そうだな・・・教室ではうるさくて落ち着かないからな。」
話しかけて来たのは小学校からの仲である秋山翔子である。
髪は茶髪に染めていてロングヘアーでいかにも華やかな見た目、優しそうな顔付きで入学して早々にクラスの人気者になった遥の莫逆の友だ。
身長は遥より少し高くて、遥より胸が大きく、そして明るい性格の女の子である。
遥と翔子は二人が所属している将棋部へと行く。
将棋部の部室は畳の部屋で、普段はこの部室で将棋をする。しかし今は遥と翔子の二人のため、部室はガランとしていて何だか寂しくも感じる。
遥と翔子の二人は畳に座り食事を取ろうとする。遥は畳の上で胡座をかいて座るが翔子は正座をしている。
そして翔子は自分で作ったお弁当を持参しているが、遥は昨日コンビニで買ったパンを二つほど持ってきていた。
華の女子高生にはパン2つは足りない気もするが金欠の遥にはコレだけしか食べるものがなかった・・・。
「ところでさ、遥は東尾先生にあんなこと言ったけど大丈夫なの?」
「次のテストで10位以内って言ったことか?余裕だろ。なんなら1位を宣言しても良かったがな。あんな感じで怒る奴には実力で見返してやれば良いんだ。」
物凄い自信満々な遥だが遥は小さい頃からロクに勉強しなくてもテストで点が取れる天才児。今言っている事は特に大袈裟な話ではないのだ。
翔子は遥の自信満々の物言いと態度を見て「フフっ」と笑った。遥の莫逆の友である翔子は遥のこの自信と度胸が羨ましく感じるのだ。
「まぁ、なんて言うか・・・遥らしいね。そう言えば今日は部活来るの?」
「そりゃあ行くさ。特に用事は無いし家に帰っても暇なだけだからな。部活をしっかり楽しむのも悪くはない」
遥と翔子、この2人の間には何とも言えない心地良い空気が漂っていた・・・。