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第3話 謎の声

 


 そうこうしているうちに禁足地(きんそくち)である森の入口までやって来た。


 馬車が止まり降り立つ。

 まだ昼前だというのに目の前の森は薄暗く、なんだか異質な空気を(かも)し出していた。


 確かに、雰囲気(ふんいき)がものすごい。

 おどろおどろしいというか、入るなと言われたならば絶対に入らないような森だ。


「さて、では気を引き締めて入ろう!」


 この先は馬車では通れないので各自馬に乗って移動する様だ。

 私は一人では馬に乗れないのでノルヴィス様の馬に乗らせてもらっている。


 私たちの周りを騎士たちが囲みながら進んでいく。



 ――チチチ


 ――バサバサ


 ――ギャアギャア



 耳をすませばそんな自然ならではの音が響いている。


 鳥なのか虫なのか動物なのか分からないが、なんとなく得体(えたい)のしれないもののように思えて仕方がないのは森の雰囲気に飲まれてしまっているのかもしれない。


 少し怖くなってきてノルヴィス様の服を掴む手にぎゅっと力がこもってしまった。


「怖いか?」


「……少し」



 ノルヴィス様は安心させるように片手で頭をなでてくれる。


 それだけなのにほっと息を吐き出すことができた。

 先ほどまで感じていた恐怖心もなくなっている。



(本当にノルヴィス様に撫でられると安心してしまうわ)



 前はあれだけ警戒していたのに、いつの間にやら信頼できるようになっていた。

 やはり前の事件で彼の本音を聞けたからだろうか。


 私はそのままノルヴィス様のたくましい胸に体を預けて目を閉じた。


 トクントクンと規則正しい音が聞こえてきて余計に安心する。

 いつまでもこうしていたい。




 けれどそれは突然やって来た。



 ――キイイン



 そんな音がしたと思ったら周りの空気が変わっていることに気が付いた。


 先ほどまであれだけ音がしていたのに、今は生き物の声すら聞こえない。


 ノルヴィス様たちもそれに気が付いたようで周囲を警戒している。



『――ああ、よくぞ来た』



 どこからともなくそんな声が聞こえた。

 若い男の人の声だ。



 不思議に思って見上げるけれど何もなく、ノルヴィス様達もその声に気が付いていない。


 森自体から聞こえてくるように響く声が聞こえないわけないはずなのに、その声は私にだけしか聞こえていないようだ。


 その特徴に思い当たるふしがある。


 精霊だ。


 精霊の姿は普通の人には見えず、声も聴くことがかなわない。


 だからこの声が私以外に聞こえていないのだとするのならば、きっと精霊が話しかけてきているのだろう。

 そしてそれは私に向けたメッセージだ。



 私は意を決して声に応える。


「あなたは誰?」


「フラリア?」


 ノルヴィス様が不思議そうに私を見てくる。

 やはりこの声は私以外に聞こえていないようだ。


「精霊が話しかけてきているみたいです」


 手短に今の状況を口にすればノルヴィス様はより警戒して騎士たちに指示をだした。

 騎士たちが私たちを中心に脇を固める。


 見えない相手が敵意を持っていたらまずいことになるからだろう。

 誰も生還(せいかん)したことのない森の中で、相手が敵意を持っていない確証などあるはずがない。


 私もごくりと喉を鳴らして相手の目的を探る。



『我が誰か。……さて。こちらに来ればすぐにわかるさ』


「こちら?」


『そなただけは招待しよう。さあ、こちらへ』


 その言葉を聞いた瞬間、ぐらりと体が揺れる。

 意識が何かに引っ張られるような感覚と共にノルヴィス様の叫び声を聞いた気がした。



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