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クラス転移に巻き込まれた僕、魔王に殺された後、なぜか幼女に転生させられてしまいました…  作者: sironeko*
3章 蠢動

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88/90

閑話:逃避行と嗜虐のお姫様 1/3

望んでいる方がいるのか分かりませんが、今話はクラスメイトたちのお話です。

翔くんがいなくなった後の、彼らの動向はいかに……


長くなってしまったので三分割します


(※三つすべてでまとめて、一部、不快になるような描写があるかもしれませんがご了承下さい)

 いったい、いつになったらこの国は本性を見せるんだろう。

 そう思い始めてから、早いもので3ヶ月経った。

 私たちが転移して、この世界にやってきてからは4ヶ月ってところだろうか。

 クラスメイトたちは、今二つに分かれている。

 この状況に慣れた人達と、そうでない人達だ。


 教室の机に腕をついて、色々と思いを巡らせる。

 初めは怖いという理由で部屋から出てこない子もいた。

 でも今はそんな子はいない。

 多分私の呼びかけの成果じゃない。

 脅されたのか知らないけれど、いつも怯えた様子で授業に出席している。


 そういう子達を見て見ぬふりをするのは私の信条に反するし、カウンセリング紛いなことをしてはいるけれど、恢復(かいふく)には程遠そうだ。


 一応はここに来る前は、このクラスをまとめる立場にあった訳だし、これまでそれなりに尽力してきた。

 まあ、あの頃に私がなにかできていたかというと、そんなことはなかったかもしれないけど……。

 でも、私には責任があるし、大変な状況の中でも、みんなの事をなんとかまとめようとしてきた。


 正直な話。もう疲れてきてしまった。

 私には人をまとめるだとか、そういう器はないのかもしれないなぁ、と最近しみじみ思う。


 さて、私たちは今38人居る。

 転移してきてから日野くんがいなくなって、一人減った。

 その穴がすごく大きい気がする。

 そんな事を考えているのは、私――と影山くんくらいかもしれないけど。

 一年の時に急に東京へ引っ越してしまった女の子が一人いたけれど、当たり前だけどそれとは比べ物にならないくらい、悲しいというか、もどかしいというか、複雑な気分だ。

 もちろんあの時だって悲しかったけれど、彼の存在はもしかしたら今の私たちにとって必要で、大切なピースだったのかもしれない。


 どの国にいるかは分からないけれど、元気でやっているといいな。

 もう一度会いたい。

 そして謝りたい。

 でも、今はただ、彼が死んでいない事を祈るばかりだ。


 ちょっと考えが離れてしまったけど、そう、38人もまとめるのは私には大変すぎる。

 話を聞かない子達も多いし、心をやられかけてる子も数人いる。

 どうにかならないかなぁ。やっぱり日野くんでもいれば、なにかいい案とかくれたかもしれない。


「和田、ちょっといいか」

「――うん。大丈夫よ」


 少し弱気になって、色々考え込んでいたところ影山くんが話しかけてきた。

 ちょっと気持ちを切り替えて、私は返事をする。

 今の私は学級長モード。……うん、ちゃんとやれてるわ。


「私も丁度影山くんと話がしたいと思ってたところなの。そろそろ時間がないようだし」

「……ああ、そうだな」

「今日も私の部屋でいい? 一応片付けてあるわ」

「それは助かる。いつも悪いな」

「いいのよ、お互い様だし」


 私は椅子を引いて立ち上がり、鞄を持って自分の部屋へと向かった。

 グラス先生に聞いたけれど、私たちの部屋は一応安全らしい。

 完全に安心していいとは言えないけれど、盗聴だとかの危険は少ないんだとか。

 あの先生はこの世界の中で唯一信用できる。

 逆に言えば、彼が居なくなれば私たちは終わりかもしれない。

 いかに自分たちが脆い足場の上にいるのかを思い知らされるわ。


 そんな事を考えているうちに自分の部屋の前まで来た。

 教室と自室は同じ棟にあるし、結構早く着く。

 楽でいつも助かっている。

 まあ、それ故に弛みそうになることもあるんだけど。


「さあ、入ってちょうだい」

「お邪魔します」


 ドアを手で押さえて彼を部屋へ通す。

 周りに見られていないのは確認済みだ。

 変な噂が立つと迷惑だから、当然そこは気を遣わなければならない。

 密会していると王国側に怪しまれて、目をつけられでもしたら、私たちも日野くんと同じ運命を辿ることになるかもしれないし。


「前置きはもういいわよね? 私たち勇者の国民へのお披露目まで、残り1週間を切ったわ。

 先生の言うことが正しいならば、もう動かないと間に合わなくなる」

「ああ、やるべき事はやってきたつもりだ。俺はいつでも動ける。

 だが、どうするつもりだ。逃げるのか、抵抗するのか」


 影山くんは、少し圧をかけるように私に聞いてきた。

 これまで曖昧な返事しかしてこなかったからなぁ。

 彼も痺れを切らしてる。


 私は先生が私たちに言った言葉を思い返す。


『1ヶ月後の、勇者の国民への公開。その後にお前たち勇者に、リュピュトーネと契約を結ばせることが上で決まった。

 奴隷契約と考えてもらっても構わない。少なくとも、お前たちにとって不利益しかない事は間違いない。

 信頼しているお前たち二人だから話した。他のやつに伝えるにしても、くれぐれも慎重に頼む』


 お披露目の時に、私たちは国民たちの前で決意表明をすることになっている。

 そしてその様子は全世界に中継されるらしい。

 要するに、後に引けなくなったタイミングで、もう一つ保険として契約を結ぼうというところかしら。

 

「逃げましょう。元々の予定よりもかなり早いけれど、この先どうなるか分からない。行動に移すなら今しかない」

「分かった。お前の気持ちも固まったようで良かったよ」

「……そうね。もう、迷わないわ」


 逃げるということは、即ち他のみんなを見捨てて置いていくということ。

 まだこの状況に慣れないで泣いている子もいる。

 その人たちを見捨てて、私自身のために……。


「私って卑怯な人間ね。普段はみんなのことを守ろうだとか、優しくしようと思っているのに、自分のためだったらこんなに冷酷になれるなんて……」

「いや、俺はそうは思わない。自分を大切にしてこそ、他人を思いやれるんじゃないか?

 今は緊急時だ。お互いにあまり余裕はない。他の人を気にかけて自分までこの国に潰されてしまったら、それこそ最悪な状況だ」

「それもそうね……。気持ちのいいものじゃないけど」

「そう思えるってことは、和田は優しいよ」

「そうかしら? ……でも、ありがとう」


 励ましてくれるけれど、心が晴れることはない。

 でも少し楽になった。

 共犯者がいるからかしら……?


 さて、下ばっかりは向いてられないわ。


 私は、二重底になっている机の引き出しから地図を取り出して、影山くんに渡した。

 この城の大まかな地図だ。

 グラス先生と三人で作り上げたもの。私たちの生命線と言ってもいいわ。

 これと、私のスキルと、彼の隠密能力があれば、この国を出し抜くこともできるはずよ。


「さあ、計画を練りましょう。いよいよ大詰めだし、抜けのないようにしたいわ」

「ああ、当然だ。実行に移すのは明日の深夜。ルートは確保してある」

「ふふっ、頼りになるわ。共犯者(影山)くん」



 ◇ ◇ ◇



 奇妙なことに、この城には隠し通路だったりが多い。

 日野くんのノートにいくつかメモがあって、それを見た時は疑ったけれど、本当だった。

 先生もいくつか心当たりがあって教えてくれた。

 今回は、それをありがたく使わせてもらう。

 今日までに、それがどこへ繋がっているのかなんかを影山くんが調べてくれた。彼には本当に感謝だ。

 

 さて、今は深夜2時。消灯時間はとっくに過ぎている。上手くいけば一時間足らずで城壁の外だ。


「分かってると思うが、ここからは必要最低限のことしか話さない。

 しっかり着いてこい。そして危険があれば知らせてくれ」

「もちろん、分かってる」

「オーケー、じゃあ隠密魔法をかけるぞ」


 影山くんはそう言って私に魔法をかけてくれた。

 彼のスキルは隠密系らしい。そこから派生して様々な魔法を獲得したようだ。

 深く詮索するのはお互いに良くないと思ってしてないけれど、できることくらいはある程度話し合った。

 こと、こういう場所から抜け出したり、潜入調査するには、私たちの相性は(すこぶ)るいいらしい。


 さて、私たちは持ち物と計画を再確認した後、私の部屋から出発することにした。

 道中に人は見当たらず、意外にもペース早く進んでいく。

 ルートは簡単だ。

 今いる寮棟の出口から外に出ると、寮母さんであったり警備の人に見つかる可能性があるから、それは避ける。

 というか、基本的に辺りの開けている所は見つかる可能性があるので通らない。

 じゃあ、どこに行くかというと一階にある男子シャワールームの隠し通路から行く。


 ここだ。と影山くんが指で合図をする。

 構造自体は聞いていた通り女子の方と同じだ。

 ただ、違うのは一番奥の個室の天井近くの壁に通気口があることくらいだ。

 どうやら、ここが隠し通路として使えるらしい。

 私は影山くんに肩車してもらって、通気口の蓋を外す。

 緊張して、周りの、水が滴る音がすごく大きく感じる。

 けれど当然失敗はしない。

 留め具はネジなんかではないから、簡単に開けられた。

 そしてそのまま中に入る。

 影山くんは一人でこの中へ来れるのかと心配になったけど、後ろを見たら、ひょいと軽くジャンプして来ていたので大丈夫そうだ。

 まるで猫みたいだなんて思ってしまった。


 さて、通気口の蓋を閉めるのは彼に任せて、私は先に進む。

 少し進むと、通路は直角に反り上がっていた。

 けれど、なぜかハシゴがついている。

 錆びたりしないのかなって思うけど、ピカピカでそうなってない辺りちゃんとしてるのだろう。

 上を向くとその先に光が見える。

 ちょっと埃っぽいけれど、今はそんなこと言ってられないので急いで上へ登る。

 そして、一応私のスキルで外に人がいないことを確認して、蓋を外して出る。

 どうやらここは屋上のようだ。

 

 と、外へ出てようやく自分がスカートを穿()いていたことを思い出した。

 ちょっと嫌だけど、気にしてられる状況じゃないし黙っておくことにした。

 支給されてる服が制服と運動着しかないのが悪い!

 運動着だと外へ出た時に困るんだもの。着替えは持っていけないし、だって嵩張(かさば)ったら通気口通れなくて詰まっちゃうから。

 まあ嘆いても仕方ない。周りからバレないように身を屈めて影山くんを待つ。

 ちょっとしたら彼は通気口から出てきた。

 普通に真剣そうな表情をしてて安心したのは、ちょっと内緒だ。


 さて、この先は少し大変ね。


 反対側の棟まで屋上から、渡り廊下の上を伝って行く。

 そして、そこから下に飛び降りる。

 かなりの高さだけど、私たちのステータスならこれくらいは上手く着地すれば無傷で済むわ。

 まあでも、音を立てても困るので、すぐ壁沿いにある小さな倉庫の、その隣に積み重ねられている干し草の束の山に着地する。


 そして、木々の影を伝って教会へと向かう。

 ここは城が近くて見つかりやすいから気をつけて行く。


 城の敷地の中に教会があることには少し驚いたけれど、この教会の礼拝堂の祭壇の裏に隠し通路があるらしい。

 どうやらここから外へ出れるようだ。


 ここまできたらあと少しで着く。けれど、ちゃんと引き締めていこう。

 私は辺りを確認して人がいないことを確かめて、教会の大きな木の扉を開く。

 その先にも人の気配はない。当たり前だけど、この時間にここにいる人なんているはずがない。


 落ち着いて、早足になり過ぎず歩く。

 この廊下の突き当たり、そのドアの先が礼拝堂だ。


 もう少しで、抜け出せる。


 落ち着いて、中に人がいないかを視線を移動させて、スキルで確認する。

 一つ大きく頷くと、固唾を飲み込んで……手をドアに添える。

 そしてゆっくりと押し広げた。


 ギギという小さな音と共に、それは簡単に開いた。

 周りに人はいないし、これくらいの音でバレることはない。

 影山くんがドアを手で押さえててくれたので、私はそのまま中へ入る。


 こんな時に思うことじゃないかもしれないけど、綺麗だ。

 召喚されて、初めてお城の内装を見た時もそうだったけれど、装飾が凝っていてとても美しい。

 ここは特に月明かりが天窓から差し込んで、それに祭壇や壁や柱の装飾や壁画なんかが照らされて、神秘的に見える。

 

 見惚れてもいられないので、私たちは先に進むことにした。

 椅子と椅子の間の、正面の通路を通って行く。

 幅は結構広いし、椅子の角に足をぶつける心配とかもなさそうだ。

 ここへきてそんなミスはするつもりがないけれどね。


 まあ、でも細心の注意を払って私たちは進んだ。

 周りを確認しても、人はいないし、順調にここまで来れた。

 というか順調過ぎるくらいかもしれないわね。

 あとは祭壇の裏にまわって――――



 その時だ、突然視界の上の方が白く(まばゆ)く光った。

 あまりの眩しさに目を細める。

 急に明かりがつけられたのかと動揺する。

 でもさっきまで誰もいなかったのは確かだ。

 そんなはずはない。起こるはずがない。



 (しばら)くして光が収まってゆく。

 くふふふふっ、とコロコロとした、心底楽しそうな笑い声が部屋に響いた。


 私たちはバッと声のした方へ、つまり上を見上げる。

 天窓から薄く差し込む月明かりと、ステンドグラスからの煌びやか光に照らされて、一人の少女が心底楽しそうに祭壇の上に座っていた。

 神様なんて信じたことなかったけど、その時ばかりはその少女が神様かと思った。でもどうやら、彼女の姿には見覚えがある。

 金色の透き通った長く美しい髪。色白の綺麗な肌。小柄だけれど、大人びたような振る舞い。純白の、レースがあしらわれた綺麗で可愛らしいドレス。

 彼女は、この国の王女様だ。

昼頃までには次話を更新したいと思います

昼休みに覗いてみてね♪

(追記:すこし時間がかかるかもしれません……。夕方までには上がってると思います(>人<;))

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