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お久しぶりです

色々とお久しぶりです。


また次まで期間が開くと思いますがどうかお許しをぉ!

「まさか翔くんが本当に生まれ変わっていたなんて……しかも女の子に」

「その話は無しっ、恥ずかしいから! でもわた――僕は咲が何でこんなところにいるのか、それが凄く気になるのだけど」


 遠坂咲、目の前の彼女は僕の小学生時代の友人――というか仲間だ。

 関わっていた時間としては一年もない、けれど僕達は本当に心から信頼しあっていた。

 ――そして、それ故に別れて咲がいなくなってしまった時は本当に悲しかった。


「私はこの世界に神様の裁量というか、運によってこの世界にあの時の姿のまま飛ばされたの。

 だから、どうやら狙ってそうなった訳じゃないらしいわ」

「そうなんだ……。こうして別の世界で会えたのも、なにか運命的なものを感じるかも。

 でも、あの時何も言わずに居なくなるのは寂しくなるからやめて欲しかったな」

「だって、本当のことを話したら翔くんは絶対止めようとするでしょ? …………本当に申し訳なかったとは思っているけど、私なりの精一杯の思いはあの時手紙に込めたし」


 僕の言葉に色々と思わされるところがあったのか、咲は言葉を詰まらせながらもそう言った。


 確かにそう言われるとそうなのだ。

 咲は咲なりに僕に想いを伝えてくれた。

 だけどあの時の僕は無力で、咲がいなくなって初めて何もできなかったんだって実感して、結局のところあの関係に救われていたのは僕だけだったんだと後悔して……それでも何かが変わるはずもなくて。


 ――ただ本当に辛くて苦しかったんだ。

 僕は知らず知らずの内に咲に頼り過ぎてた、依存し過ぎてた。

 アレは僕が全部悪かった。


「でも……翔くん、本当にありがとう」

「え……?」


 突然咲の口からそんな言葉が飛び出たのを聞いて思わずそう声に出してしまう。

 だって僕は咲から貰ってばかりで何かを返せた事はなかった。だから、そんな言葉が僕にかけられるはずがないと思っていたから。


「どうして……?」

「どうしても何も無いよ。私の事をこうして覚えていてくれた、それだけで嬉しいの。

 どうせ親なんてもう私の事を覚えていないだろうし、だから、こうして私の事を今でも考えていてくれてた翔くんには本当に感謝してる」

「そんな……! あれは単に心に刻まれたと言うかそういうものであって、実際僕は咲に何もしてあげられなかったのに」


 思わず少し大きな声でそう言ってしまったので、僕の言葉か、それとも突然大声を出したからか咲は驚いたように目を丸くした。

 だけど、少しして、やれやれと言った感じで話し始めた。


「……やっぱり翔くんは相変わらず背追い込みすぎみたい。

 人生、起こった出来事を全部を背負い込むにはちょっと大きすぎるわ。だから、適度に忘れてしまうのが丁度いいのよ。……まぁ、それをできなかった私が言うのも何だけど。

 ――とにかく! 人の感謝は素直に受け取ったほうがいいわ。おーけー?」

「は、はい……」


 咲の勢いに押され、僕は思わずそう頷いてしまう。


 でも、確かにそうだ。僕は少し背負い過ぎてしまっていたみたいだ。楽感的になるまではないけど……もう少し軽く、それに誰かと運ぶくらいが丁度いいのかもしれない。


「さて、お二人さん。お互いに色々思うところはあると思うけど…………続きは別のところでしません?」


 ――と、ここでゼニアスさんが間に入ってそう言う。


「まぁそうですね。少し周りの目も痛くなってきましたし」


 ……周りの目?


 そう言われて辺りを見回してみると、大勢の人達が私たちの方を見ていた。


 はいはい、確かに枷に縛られて椅子に座っている人とかいたら気になっちゃいますよね、分かります!

 それにさっきまでお姉ちゃんのくすぐり攻撃によって大声を上げてましたもんね、仕方ないですよね!


 ――じゃなくて!


「ちょっと! それ先に言ってよ!?」

「ごめんごめん」


 は、恥ずかしい……。

 


 ◇ ◇ ◇



 突然だけど、私は今この場の状況をよく理解できていない。


 ただ分かることは、私と咲はテーブルを挟んで向かい合ってソファーに座っていて、何故かお姉ちゃんに抱きつかれているということだけ。


「さて、落ち着いた所までやってきたことだし……話の続きでもどう?」

「それは全然構わないんですが……ここはどこなんです? そしてお姉ちゃん、離れてください」


 私はあの後ビルを出て、半ばお姉ちゃんに強引に引っ張られながらここまでやってきた。

 そうして連れてこられたのが今いるこの建物なんだけど……。


 何というか、ここがどういう所なのかは予想がつく。

 だけど、あまりに不明な点が多すぎる。


 そんな、私の疑問を解決してもらいたくてお姉ちゃんに聞いてみたんだけど……。


「見ての通り、ファミレスだけど」


 ――と、一言で片付けられた。


 しかも私に抱きついたまま。

 なんだったら深呼吸…………というか私の匂いを嗅いでる!??


「ファミレスの一言で片付けないで……。そして私から離れてください!」


 くっついて匂いを嗅ぐとかお姉ちゃんは変態さんですか!?

 ……まぁ、今に始まったことじゃないけれども。


 でも、どうしてこの世界にファミレスなんてあるんだ?

 僕の知っている限りではこんなものはなかったけど。

 というか私も全く知らないし。


 なぜかこの世界に洋食とか和食とか、それにビルとかがあったように謎の力が働いたのか……それとも偶々コレができたのか。


「もう少し抱きついていたかったのに……。

 それで、ファミレスがなんでこの世界にあるのか気になっているんでしょ? …………そうだよね?」


 お姉ちゃんは少し名残惜しそうに腕を離して私を解放した。

 本当に何がしたかったんだろうか。


 まぁ、それは置いておいて。

 そう、ファミレスが何故この世界にあるのか、それが気になっていたんだよ!

 やっぱり向こうの世界から来た誰かがこういう地球にあった文化をこちらの世界でも作ったというのが一番考えられる話なんだけど、どうなんだろう。


「うん。僕の見ない間に色々と技術が進化している気がするし転移者とかが地球の技術を広めたのかなぁ……なんて思ってるんだけど」

「なんだ、全部分かってるじゃん…………せっかくいい所を見せようと思ったのになぁ」


 最後の方はなんて言ってるのかよく聞こえなかったけど、どうやらあってたみたい。

 でもなんかお姉ちゃん心なしかしょんぼりしている。

 もしかしたら『妹にいいところを見せられなくて残念』だとかなんとか思ってるのかもしれない。

 だとしたら可愛らしいなあ。

 でもお姉ちゃんって結構そういうカッコつけな所あるし本当にそうかも。


 ――っとと、閑話休題(はなしがそれました)


「やっぱりそうなんだ。ところで一体誰が地球の技術を広めたの?」

「それはね……なんと、こちらにいらっしゃいます咲ちゃんですっ!!」

「え、そうだったの!?」


 お姉ちゃんは隣に座っている咲に向かって両腕をパタパタと振る。

 ――あれ、いつの間に咲の隣に……。

 でも、まさか咲がファミレスとかビルとかを作ってしまうなんてね。

 しかもビルに至っては内部構造までしっかりと。


「でも、なんでお姉ちゃんが驚いてるの? というかどうして咲はあまり嬉しそうじゃないのさ!?」

「私は別に、そこまでの事をやったと思ってないもの。

 だってコレは片手間に作ったものだし建物なんかの大まかな構造自体は他の人から盗んで――貰ってきたから。……まあでも、翔くんに褒められるのは素直に嬉しいわ」


 今『盗んで』って…………気のせいかな?

 でも、こんな物を片手間に作っちゃうなんて凄いなぁ。

 《創造(クリエイト)》は知識に無い所までは作れない。

 だからイメージと知識がものを言うんだけど……咲が《創造(クリエイト)》を使いこなせるようになったらまさに鬼に金棒なのかも……。


 そうなると私のチート具合が相対的に下がってしまうような気がするけど……そんな事はどうだっていいのだ。

 だって、昔は辛いことがあって笑うことなんてほとんど無かったのに今はこうしてお互い笑顔で話せているから。

 僕にはできなかった事だし、やっぱりお姉ちゃんには感謝かな。


「……ありがとう、お姉ちゃん」

「え!?」


 私はなぜかありがとうと言いたくなったので、そう気持ちを伝えた。でも言った後で気づいてしまった。


 ――あれ、よく考えたらこの流れで私がお姉ちゃんにありがとうって言うのはおかしくない!?


「やっぱり今の忘れて……!!」

「えぇ…………」

閑話休題くん、ろんぐたいむのーしーだね!(←?)

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