44エピローグ
誤字脱字報告ありがとうございます。(*- -)(*_ _)ペコリ
俺、相模 樹は平凡な大学生だが、二つ非凡なところがある。
一つ目、実は俺は小説家で、結構な稼ぎがある。
二つ目、実は大学生にもかかわらず妻がいる。まだ17歳だけど高校は卒業済みだし、もちろん合法だ。
嫌、高校卒業してなくても結婚は法律上はできるけど、彼女の学校がざわざわする未来しか見えないし、教職者の方々のことを思うと、卒業まで待たざるを得なかった。
まあ、結局卒業式の次の日に結婚式挙げたから妻のクラスメイトは結局ざわざわしたけど。
実は俺の大学の友人も式に呼んだからざわざわした。
今時なんだから地味婚かなぁ〜と思ったけど、俺の親も妻の親もそんなことは許さなかった。
親戚一同呼んで、盛大なのをやらされた。もう、やらされたという感じだった。
まあ、妻は喜んでくれたから良かったのかもしれない。
真っ白なウエディングドレスを着て、嬉しそうにはにかむ妻の顔がとても愛おしく思えたのが懐かしい。大勢の人に祝福されて涙ぐむ妻を見て、絶対幸せにするぞと誓った。
俺は小説家として成功したが、大学に進学した。そして普通の会社務めもするつもりだ。何故なら社会経験を積みたかったからだ。小説家にとって経験は重要だ。経験がないとひらめきも半減する。それが俺の考えだった。
妻は俺の考えに同意してくれて、大学も俺と同じ処を受験してくれた。俺の頭じゃ中堅処の大学しかうからなかったから、妻には申し訳ない。だけど、二人でキャンパスを楽しむことが出来て嬉しかった。
……まあ、何故か妻の元侍女まで一緒に入学されて困ったけど。
そういえば、高校の時からの友人 大和も同じ大学に入学した。今ではすっかり親友と言える間柄だ。そもそも小説家の知り合いなんて大和しか知らないから、彼は貴重な存在だ。
人間、同じ境遇じゃないと共感できない。小説家だなんて珍しい職種の友人なんてそう簡単に出会えないだろう。だから、大和と話していると、ほんとにお互い共感する。
大和は俺のことを稼ぎじゃ敵わないだなんて謙遜するが、彼の小説は本格的なミステリーだ。既に映画化されたりと一般的な知名度ではあいつの方が上だろう。俺なんてラノベ中心で、アニメ化がやっとだから、稼ぎが上でも社会的ステータスは大和の方が上だと思う。
それで編集の辻堂さんにも勧められて本格的な文芸作品も書くようになった。まあ、評論家からは散々こき下ろされた。ラノベ作家がそんな世界に出てくると当然なような気がする。意外と売れたけど、まだまだ自分の未熟さに気がつかされた。結局俺のファンが買ってくれているだけで、文芸作品としてはまだまだだと思う。
そんな文芸作品の完成度を上げる為にも社会人としての経験は必要だと思った。
「ただいまー!」
「お帰りなさい! 今日は早かったね!」
俺と妻との愛の巣。2LDKのマンションの一室に帰ると妻が出迎えてくれた。今日はマルカワ出版の編集の辻堂さんと打ち合わせしてから帰宅なので俺の方が遅く帰った。普段は一緒に帰るんだけど、今日は妻が出迎えてくれる。
なんか、結婚した感を強く感じるな。
「今日はあなたの大好きな唐揚げにビスクスープばい」
「ありがとう。そんな手のこんだ料理食べれるなんて、俺は幸せ者だよ」
「そげんまで言うてもらえると、陽葵、幸せ!」
「俺も幸せだよ」
そんな妻の手の込んだ手料理に舌鼓をうつ。妻は料理上手だ。俺も料理の勉強したけど、こればかりは妻の才能には勝てない。それでも時々俺が作った料理を美味しいと言って嬉しそうに食べてくれるとやはり幸せを感じる。
妻は料理好きが高じて料理の配信を始めたところ、結構な反響があって、今ではかなり有名人だ。
俺も負けてられないな。頑張らないと!
「ところで先輩?」
「先輩? 陽葵どうしたんだ? 今更先輩だなんて……確かに俺は今でも大学の先輩だけど、最近はあなたって呼んでくれてるだろ?」
「先輩は駄目ですね〜。今日が何ん日か忘れたんか?」
思わず頭の中の引き出しを片っ端から空けるが……ない……今日は何の日? 記憶がない。結婚記念日はだいぶ先だし、婚約記念日でもないし、誕生日でもない。じゃ、何の記念日? 何の日? 夫婦の日か? 違う筈だ。マズイ。もしかして大事な日?
「あ、あの陽葵……今日何の日? 俺、わかんない……」
「もう、先輩は本当に駄目ですね〜。今日は先輩が陽葵ば助けてくれて知り合うた日、大切な日やなかと。やけん記念日ばい。やけん今日はあん頃に戻って、あの頃みたいに呼び合おうって……思うたんばい、先輩」
「今日だったの?」
「そうです」
俺たちの記念日は一体いくつあるんだ? 日々増えていく記念日に俺の脳は既にキャパオーバー気味だ。
「お、覚えきれないよー」
「酷か先輩! それが愛する妻へん言葉と?」
「だってぇ〜」
陽葵はプリプリと頬を可愛く膨らまして怒ると。
「だってぇ〜やなかやろ先輩! 先ずはごめんなさいやろ!」
「ご、ごめんなさい」
俺のことを尻に敷かれた可哀想な旦那だなどと思うな。言われた通りすぐ謝らないと、とんでもなく機嫌が悪なることがあるんだぞ。妻を持つ身の先駆者として言っておこう。
謝った方が無難だ。謝らないと陽葵は婚約破棄モノの主人公の如く俺のことをブッチめるから、女の子のスタンダートは婚約破棄系のあれだ。
「大人しゅう謝ったけん今日は特別に許しちゃる。やけん先輩もあん頃んごと陽葵んことば呼んでください」
「う、うん、じゃ……」
俺は一旦一呼吸置くと。
「陽葵ちゃん。これからも宜しくね」
「こちらこそ宜しゅうお願いします、先輩!」
そう言うと陽葵ちゃんは俺にギュッと抱きついて来て、俺も思わず陽葵ちゃんを抱きしめてキスした。
終わり
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