34毒親襲来
俺は先日の祝賀パーティで、ある提案をマルカワ出版の社長から受けていた。
それは俺の毒親対策だ。俺は有名な小説家になった。収入も軽く年に億へ行った。
そこで心配なのが……俺の毒親だ。俺はあの二人からこれっぽっちも愛情を受けていない。
あの二人にあるのは……無関心。好きの反対は無関心。確かにそうなのかもしれない。
俺にとって親はどうでもいい人……というより関わりになりたくない人達だった。
あの二人が俺に資産があることを知ったら何を言い出すんだろうか?
少しでも俺に対してまともなところがあれば産んでもらったお礼に多少資産を分けるべきなんだろうけど……そんな気持ちにはなれない……何より。
あの二人がまともなことにお金を使うとは思えない。
先日の海水浴から3日ほど経って俺は辻堂さんと話し合っていた。
その件と小説の編集としての相談だ。そして何故か陽葵ちゃんもいる。
まあ、毎日俺の家に来てご飯作ってくれてるから当たり前なんだけど……。
自分でも幸せ者過ぎてニマニマが止まらない。
「しいくがかり先生。次回作は女性向けの恋愛小説を書いてみては如何ですか?」
「え? でも、俺は女性の恋愛観っていうか、女性向けの小説ってほとんど読んだことないですよ?」
「じゃあ、先生の代表作『最恐の吸血鬼になるぞ』はファンタジーでしたがファンタジーを読んだ上で書かれたのですか?」
「え? いや……あれは辻堂さんに勧められて適当に書いただけで、その」
「そこが先生のすごいところなんです。ジャンルなんて関係ありません。先生が書けばどんな作品でもヒットします。もしかしたらネーチャーとかの論文でも評価されるかもです」
それは無いと思う。俺、学者じゃ無いから。
そして、今日はなんて訪問者が多い日なんだろう。何故か俺の毒親が突然来た。
合鍵で勝手に俺の部屋に入り込むなりいきなり突然言い放った。
「い、樹! お、お前の書いた小説がまぐれでアニメ化されるんだってな! 社長がうちの会社でも、他の作品を映画化したいって言いだして、お前に頼んで来いって言われてな。喜べ、大手のうちがお前の作品を映画化してやるぞ!」
「樹、あなたにしては良くやったわ! 今、うちにはお金が必要なの! 蓮の予備校代が足らなくて! あの子が有名私学に入れなかったら大変なのよ! だから、お父さんの言う通りにして! そうしたら、お父さん、出世して特別ボーナスも出るのよ!」
俺はあまりのいいように呆れてしまった。
それに兄は中学の頃から成績が落ちていたけど……。
子供の頃神童、今は凡人……という訳か……でも、親の愛情は今も変わらないんだな。
ご愁傷さま。この親に拘わっていたら、まともな人間になんてなれない。
断るしかないよな。
「お待ち下さい。先生のご両親方、わたくしは先生の編集担当で辻堂と申します。先生はあなた方との取り決めを既になされています」
「は? 他人のあなたが一体何を言っているんだ? それに先生? たかが樹ごときに? ましてやその樹の編集風情が一体何を?」
俺の親ってホントに馬鹿だな。俺の担当がただの編集な訳がないだろうに。
それに俺はどうしてここまで馬鹿にされなきゃならないんだろう?
俺は勉強も運動も出来なかった。だから代わりに小説で頑張ったのに、その小説家としての俺も馬鹿にするのか?
「わたくしはマルカワ出版の編集長、辻堂と申します。先生はこんな場合に備えて、あなた方が先生の地位と名誉を利用しようとしたら、親権を取り上げるよう決断されています」
「一体何を?」
この人たちは自分が俺に何をしてきていたのか、覚えていないんだろうか?
「あなた方のやったことは親としてネグレクト行為です。高校生をなんの支援もなく独立させて、見守ることもしないで! それだけではありません。小学生、中学生の頃の裏もとってあります。あなた方が先生の力を利用しようとするなら、親権を取り上げます!」
俺は自分の作品の売り上げが上がるにつれて、自分の親が後更、すり寄ってくるのが予想できた。
だから、編集長の辻堂さんに頼んでおいた。彼女にも利益はもちろんある。
「私達が親じゃないなら、誰が樹の親になるんだ?」
「そうです。樹は私が生んだ子なんですよ!!」
何が親だ。全部、兄の蓮の為に俺を利用して金が欲しいだけだろう。
「親権はマルカワ出版、つまりわが社の社長がなります。集鈍社の一担当の海老名さんじゃ身に余ることです」
父親はぽかんとした顔をしていた。マルカワ出版と集鈍社はライバル会社同士だ。
「そ、そんなことになったら、私はクビになってしまう!」
「れ、蓮が大学に進学できなくなる!!」
「これはしいくがかり先生、つまり海老名 樹様の後見人、我がマルカワ出版社長の請求書です。明日にでも裁判所に提出します。弁護士の話では受理され、早急に処理されるだろうとの事です。さっさと諦めてください!」
はは、いいよね、こんな親見捨てても、バチ当たらないよね。
毒親達はしばらく辻堂さんと押し問答していたが、しばらくするとスゴスゴと帰って行った。
そして1週間後、俺はマルカワ出版の社長の養子になっていた。
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