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28パーティ会場で神絵師の美玖凛さんと会う

ハイヤーが俺の所属しているマルカワ出版の社屋の正門に止まると、辻堂さんが迎えに来てくれた。ドアは例の黒服のおじさんがわざわざ開けてくれてどうも所在ない。


「良く来て頂けました、しいくがかり先生。今日は先生の作品のアニメ化をお祝いする祝賀会を設けさせて頂きました。関係者も何人か来てますので、顔合わせに丁度いいでしょ?」


「辻堂さん。わざわざ俺なんかのために祝賀会なんて」


「何を言ってるのですか? 先生の作品がアニメ化されるということは更に先生の小説が売れるんですよ。我がマルカワ出版としても喜ばしいことです。これも全て先生の作品が魅力的だからです。今日は遠慮なく楽しんで行ってください」


そう言って社屋の一番大きな会議室に連れて行かれた。


「わぁー!」


陽葵ちゃんが感嘆の声をあげる。会議室は臨時で祝賀会に相応しいように色々デコレーションされていた。それに立食スタイルのビュッフェに並んだ美味しそうな料理の数々。


「お、美味しそう!」


はは、どうも陽葵ちゃんは食いしん坊みたいだ。そこも可愛い。


「陽葵ちゃん、食べすぎないでね」


「先輩、失礼ばい! それじゃまるで陽葵が食いしん坊みたいじゃなかと?」


「だ、だって」


だって食いしん坊の陽葵ちゃんってめちゃめちゃ可愛いだもん。


「それに先輩ん……キスん方がうまかばい」


「ううッ!?」


思わぬ陽葵ちゃんの反撃に狼狽える俺、さっきのキスを思い出して顔が赤くなる。


「帰りもしようね♪」


「う……ん」


思わず赤面しながら言ってしまった。陽葵ちゃんは見た目年下可愛い系なのに結構グイグイ来る。俺、なんか引っ張られてるだけのような気がする。


「おお、今日の主賓が到着したぞ! さあ、先生、まずは祝賀会開始の前にスピーチをお願いします!」


そう言ったのはなんかマルカワ出版の社長なような気がする。応接室とかで写真を見たことがあるような気がする。そんな人までいるの?


俺は手短にスピーチをした。皆さんへの感謝と協力にお礼を言った。


「しいくがかり先生は謙虚だなぁ〜」


「ああ、絵師さんとか編集さんとかにお礼ばかり言ってるな」


そんな感じで主賓の義務を果たすとようやく陽葵ちゃんのとこに戻って来れた。


「先輩素敵ばい。先輩ってやっぱり本当にしいくがかり先生なんやなー」


「一応ね。でも、小説って俺だけの努力じゃ無理だからね。感謝は伝えないと」


「謙虚な先輩ば好いとー。これは帰りにご褒美をあげないといけんね」


「え?」


ご、ご褒美って何? キスしながら言葉当てゲームだけで十分ご褒美なんだけど?


そんな狼狽えている俺に話しかけて来る人物がいた。


「おお、しいくがかり先生、さすがだな。俺なんてこんな祝賀会無理だよ」


そう言って声をかけてきたのは俺の唯一の親友大和だった。


「や、大和、なんでお前がここにいるの?」


「いや、実はな……俺も小説家なんだ。お前みたいな売れっ子じゃないけど」


「ええっ!!」


俺は驚いた。まさかこんなに身近に仲間がいたなんて。小説家って結構孤独だからお互い共感できる小説家同士の友達を作った方がいいって辻堂さんから言われてたけど、ボッチ体質の俺にそんな友達作るの無理。だってSNSとかで知り合う必要があって、そう簡単に友達になれるもんじゃない。


「いやな。俺の担当の編集さんから連絡があってな。誘われたんだけど、いい機会かなってな」


「俺も大和が小説家ならよりいい友達になれそうだよ。びっくりした。お前がまさか小説家だったなんてな」


「お前が言うなよ。誰がお前があのしいくがかり先生だなんて思うんだ? 俺なんてしがないミステリー作家だからお前の小説の売り上げの1/10もないぞ」


「いや、ミステリーでそんなに売れるなんて俺より凄いんじゃないか?」


「そう言ってくれると嬉しいけど、やっぱりお前のは桁外れの売れ行きだろ? わざわざ祝賀会なんて普通しないぞ」


「はは、そんなに持ち上げないでくれよ。書店の目立つところに置いてくれるように営業してくれた辻堂さんのおかげだよ。それに俺は絵師さんにも恵まれたし」


実際、辻堂さんは敏腕だった。俺の小説がここまで売れたのは彼女の力が大きい。それに絵師さん。俺の作品は美玖凛さんと言う絵師さんがいつも担当してくれるけど……これがすごい可愛い絵を描いてくれて、俺の小説のヒロインがめちゃめちゃ可愛くしてくれている。


実際、ジャケ買いしてる読者さんもたくさんいると思う。


「あ、あのう?」


大和と話ていると突然声をかけられた。目を移すと金髪の女の子が。金髪?


俺は突然現れた金髪の美少女にアワアワする。


「しいくがかり先生ですよね? 美玖凛です。いつもお世話になっています」


「あ、あなたが美玖凛先生? いや、こちらこそお世話に、本当お世話になってます!」


慌てて挨拶を返す俺、今まで散々お世話になっていたけど本人と会うのは初めてだ。


普段はSNSでやり取りをしている。主にキャラの設定を聞かれる。それに合わせて美玖先生は最高のキャラを妄想の世界から形を与えてくれる。俺の恩人だ。


「わ、私、しいくがかり先生を尊敬してます!」


そう言って近づく美玖先生。


だ、だけど! 近い、近すぎる! 若い女の子、俺と同い年位の女の子がそんなに近くに寄って来られると驚いてしまう。


「あ、ありがとう。美玖先生には感謝しかないですよ」


俺は狼狽えながらも感謝の言葉を伝えた。


「か、感謝なんて、私感激です!」


そう言うと、彼女は……俺に抱きついて来た。いや、これはハグというヤツか?


ぎゅっとされて陽葵ちゃんの推定Cカップより大きいDカップの胸が俺に押し付けられる。


俺、ヤバい。色々な意味で。


「むぅうううううう!」


「ひ、陽葵ちゃん、違うんだ。こ、これは唯の挨拶だと思う、多分」


「え? 美玖はしいくがかり先生じゃなきゃこんなことしませんよ?」


お願いだから美玖先生、空気読んで! 空気大事!


「せ、先輩! 帰りんご褒美はなしやけんね!」


「そ、そんなぁ!」


気がつくと左から陽葵ちゃんに腕を引っ張られて、右からは美玖先生から腕を引っ張られていた。


引っ張り合いでらちがあかないと今度は二人とも俺に身体をピトっと密着させて来た。


お願い、そんな柔らかいもの俺に押し当ててくるの止めて!


「なあ、樹……俺、なんか、お前に殺意が湧いて来た。次の新作はエロ小説家殺人事件にする」


いや、人をモデルにしないで! ていうか、俺、悪くないだろ?

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