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2嫌われ者は後輩を助ける

俺のことをあざ笑うクラスメイト達を後に残し、俺はフラフラと学校から自分の家に向かっていた。


明日からはもっと生きづらくなるんだろうな。それは間違いないことだろう。


そんなことを考えながら帰途についていると、一人の女の子が何人かの不良ぽい奴らから絡まれているっぽい場面に遭遇してしまった。


彼女の制服は同じ高校のものだ。


どうせ、俺に助けられても嬉しくなんてなくて、せいぜい罵声を浴びせられるだろうな。


そう思った、でも、


「や、止めてくらしゃい。わ、うち、あんたとなんか付き合いとねえばいー!!」


「へへ、そんなこと言うなよ。俺の知り合い、めっちゃイケメンなんだぜ!」


いや、それだったら、そのイケメン連れて来て、お前は去れよと心の中で突っ込んだが。


「や、止めて、お願いやけんぁ!」


女の子は本気で嫌がっている。声色からかなり恐怖を感じているのだろう。


見た感じ可愛くて慣れてそうなのに意外だが、こういう手合いのヤツらを上手くあしらえないようだ。


俺は余計なおせっかいだとは思っていたし、俺の正体を知ったら、どうせ罵倒されるだけだと思っていたが、彼女を助けることにした。


たとえ俺が学校中から嫌われていて、最低なクズと言われていても、俺はクズなんかじゃない。


たとえ、助けても罵声を浴びせられるだけとわかっていてもほおってはおけない。


それは俺の矜持のようなものだった。本当の最低のクズになんかになりたくない。


気が付くと、俺は女の子と男達の間に割ってはいっていた。


「ごめん、待たせたね。何? ナンパされちゃったの?」


「あ、あの?」


一瞬驚く彼女に俺はウィンクを送って、合図を送った。


「ああ! はい、ナンパされて困っとーんばい。陽葵ん彼氏しゃん!!」


わぁ……この子大根役者だ。


案の定、演技がバレた。


「こいつ、正義の味方のつもりか?」


「ふざけやがって、漫画かよ!」


「いいカッコしてんじゃねぇ!」


男達は俺に殴りかかって来た。もちろん俺に対処する力なんてなく、一方的に殴られた。


「や、止めてぇえええええ!?」


女の子の叫び声が響いた。だが、幸運なことに何人か、大人の男の人が集まってきた。


「君たち何をやってるんだ? ケンカか?」


「いや、一方的に殴ってるぞ、これ!」


大人たちは声を聞きつけて何人か集まり始めた、すると。


「やべぇ。逃げるぞ!」


「ああ!」


「事件にされたらかなわん!」


そう言うと、逃げて行った。


俺は大人達にお礼を言うと、みな安心して去っていった。


そして、俺と女の子だけが残された。


「陽葵ば助けるために命ばかけて……あの名前は何て言うと?」


「えっ? ああ、海老名樹って言うんだ……」


命をかけだなんて大げさな子だな。


「君は同じ高校なんだね?」


「はい。厚木陽葵ちゅう。 樹さん、陽葵ん事はこれから呼び捨てにしてくれん。これからのうちと樹さんとん間に……そげん遠慮だなんて、うち達相思相愛やなかと?」


はい?


どうも、変な女の子を助けてしまったようだ。俺はちょっと後悔した。


でも、どうせ俺の正体がわかったら、見向きもしなくなるだろう。


そうして、その場を去った。そして、一週間が過ぎた。


俺は放課後、いつもの廃部になった書道部の部室で本を読んでいた。


ここは日当たりが良くて、日が落ちるギリギリまで読書ができるからだ。


「せーん、ぱい♪」


俺は無視した。例の助けた女の子は何故か俺にまとわりつくようになった。


多分、あの噂をまだ知らないからだろう。


何処で聞きつけてきたのか、俺の居場所を発見して、毎日この元書道部の部室にやって来る。


でも、止めてくれ、俺に係わるのは……情が移った相手に拒絶されるのは辛い。


幼馴染の花蓮のことを思い出した。


「もう、せんぱいったら、可愛いんけんぁ♪ もう、陽葵ちゃんが来たけんホントは嬉しゅうてしょうがなか癖に、意地なんてはってぇ! 先輩は陽葵ん夫になる人なんやけんぁ♪」


その口からいずれ、拒絶の言葉と蔑みの言葉が出るかと思うと、ぞっとした。


頼むから関わらないでくれ! 本気の思いだった。


陽葵ちゃんは1年下で、下級生だった。


茶髪の髪をポニーテールにした活発な可愛い容姿と個性的な瞳が映える。


ギャルらしく、ゆるっと着た制服に身を包んではいるが、彼女はとんでもない美少女だった。


「で、結婚式はいつにする?……もう、先輩は全然真面目に考えてくれんでぇ♪ 先輩はうちん夫になるん方なんばい。うちが決めたんや。優柔不断ではダメですよ。……ふふ、うちに意地悪しとーんどえすね?」


「俺に関わらないでくれ!」


俺はとうとう本音を言った。正直、花蓮に振られたばかりの俺にとって、この陽葵ちゃんには癒された。


しばらくなかった人との交流をもらって、嬉しかった。


でも、そんな陽葵ちゃんの口から拒絶と蔑みの言葉を聞くかと思うと、絶望しか見えなかった。


『もう止めてくれ!』


という魂の叫びが思わず口から出た。


「せ、せんぱいの馬鹿ぁ! どうせ、例ん噂ば気にしとるんやろう? 陽葵だって知っとーよぉ! ばってん、陽葵がそげなと信じるとでも思うとーんと!!」


「えっ!?」


俺は思わぬ陽葵ちゃんの言葉に驚いた。


誰も信じてくれなかった……。


先生も、両親も……幼馴染の彼女にすら……なのに。


「ほ、本当に俺のことを信じてくれるのか? 俺はこの学校一の最低ヤローていうことになってるんだぞ? 俺のこと怖くないのか?」


「怖い人が陽葵を助けてくれる訳がないし……噂が本当なら陽葵はとっくにせんぱいの餌食ですよね?」


俺は間抜けな顔をしていただろう。そして、気が付くと涙が出ていた。


人から信じられる。信用される。


俺には久しく感じたことがない感情だった。


「な、なんで俺のこと、信じてくれるんだ? 助けたって、一回位? それに罠とか思わなかったのか?」


「せんぱいのバーカ! 陽葵が助けてもらうまで、先輩んこと、知らんやったとでも思うとったと? 前から好き、あわわわっ!! いや、気になって見よったばい」


前から俺のことを知っていた? でも、それならいっそう、俺の悪い噂をよく知っているんじゃ?


「な、なんで俺のこと、信じてくれるの? 誰も信じてくれないのに?」


「先輩はよう下校ん時、倒れてしもうた自転車軍団ば直したり、ボランティアでゴミ拾いしとーよね? 陽葵、知っとーばい。それと噂ん先輩が同一人物な筈がなかやんか?」


「あっ!!」


俺は驚いた。誰も知らない筈の影の行い。


別に誰かに褒めてもらおうとかそういうんじゃない。


ただ、ほおっておけなかったんだ、俺は。


「あ、ありがとう」


俺はなんのひねりもない言葉しか出なかった。


でも、こんなに心が晴れたのは初めてだった。


それから、それまでそぞろに聞いていた陽葵ちゃんとたくさん話した。


もう3か月近く誰とも話していなかった俺はにはとても嬉しいことだった。


そして、あっという間に夕方になった。


時間が経つのがこんなに早く感じたこと、人と話すのがこんなに楽しいことだということに久しぶりに気が付いた。

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