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15酷インの罠

酷インSide


「ふ〜ん、それで例の件をかぎ回っているヤツがいる訳だな?」


「ええ、それに昨日、元バスケ部の後輩のつてで私と綱島先輩の関係を探ってる奴がいるって」


「……それは三浦莉子って1年か?」


「うん。そうだけど、なぜ知ってるの?」


「俺の方も散々周囲を嗅ぎ回られている」


昼休みの学校の屋上、私は彼氏の綱島と相談をしていた。


私は彼氏の綱島と美人局をしていたが、その現場を海老名樹に見られた。それで一計を案じてアイツを嵌めた。しかし、そのことをアイツの女の厚木陽葵とその友達三浦莉子に嗅ぎ回られていた。


特に厚木陽葵の友達、三浦莉子の追求の手がどんどんと私の耳に入って来た。


「心配するな。お前は別に樹が犯人だと言った訳じゃない、いいな?」


「……でも」


綱島は自信満々の様子だが、私は不安感に襲われていた。


確かに樹の件はクラスメイトの暴走が原因だ。川崎君が協力してくれたおかげだ。


二人の計算で仕組んだ罠にまんまと嵌った。


それの何処も悪くはない。


だが、もし、私達がやっている美人局のことがバレたら?


思わずぎゅっと自分の身体を抱きしめる。


「心配するな。全部俺に任せておけ。お前は俺に任せておけばいい、これまでと同じように」


「わ、わかった。あなたを信じるから」


気のせいか綱島の口角が釣り上がった気がする。


「まあ、3ヶ月前の事件のカモの証言程度で真相がバレるとは思えんがな」


「そ、それはそうなんだけど……」


そんなことを言っても、なお、不安がよぎる。


「なに、あの日、お前は例のカモと気まぐれでデートをして、たまたま通りかかった俺に見つかって、俺は勘違いをしてお前とあの男の仲を邪推してヤツを脅した。いいな?」


「でも、樹のことはどう説明するの?」


「まあ、例のカモにホテルに連れ込まれそうになって怯えていた。そして、お前は樹がその相手だとは言っていない。川崎が勝手に勘違いしただけ。そして、たまたま通りかかった樹に見られていたから、樹の顔を見るたびに恐怖が蘇っていた。どうだ? 筋は通っているだろ?」


「でも、それだと樹を嵌めておいて、なんの説明をしなかった私がおかしく思われるんじゃ?」


私はため息が出そうになった。なぜこんなことをしてしまったのだろう?


いつまでも隠し通せる筈がない。担任が馬鹿だから素知らぬフリをしているが、樹の問題はどんどん大きくなっている。そのうち、学校と警察が本格的に調査し始めたら簡単にバレるんじゃ?


「まあ、お前はあの事件以来、心神耗弱状態で、他人を気遣う余裕がなかったということだな」


簡単に言ってくれるが、その演技するのは私なのだ。こいつじゃない。


「でも、うまく演れるかしら?」


「お前ならできるさ。心配なんだろが俺が慰めてやるから、安心しろ」


結局そっちか。こいつ、顔もいいし、私の心が弱った時にいつも優しくしてくれる。


こいつの目的が私の身体だけってことは重々承知しているけど、離れられない。


しかも、こいつの頭は少し弱い。私がうまくやらないと破滅だ。


私は段々腹が立ってきた。


「……慰めてやるって、あなたがつまらない小遣い稼ぎをするからこんな面倒なことになったんでしょ! 隠キャな男の子を騙して、あなたが因縁をつけて金を出させて!」


「怒るなよ。お前だって隠キャにチヤホヤされて、随分と貢いでもらっていたみたいじゃないか? すぐに脅さないで、搾り取るだけ絞りとって、金で得したのはお前の方が上だろ? 」


チッ、バレてたか。全くなぜ私はこんな屑を好きになったんだろう。


自分でも嫌になる。だが、とにかく厚木陽葵と三浦莉子の追求をかわす必要がある。


「まあ、俺に考えがある。ようは厚木陽葵と三浦莉子を黙らせればいいんだろ?」


「それはそうだけど。一体どうやって?」


「二人共女だろ? ならやることは一つだ」


「あ、あなたまさか?」


私は慄然とした。綱島は厚木陽葵と三浦莉子に性暴力を振るうつもりだ。


「お前はその次第をカメラに収めろ。そうすれば何も言えなくなるさ」


「あなたって人は!」


呆れた。彼女の私の前で二人を襲うつもり?


目的のためとはいえ、どういう神経してるの?


……とはいえ、他に手段はないか。


全くあの厚木陽葵と三浦莉子いう女、ムカつく。あいつらさえいなければ。


それに二人と関係を……脅しのためにとはいえ結ぶなんて、彼女の私にとって不快極まる。


「とにかく……今日の放課後、まずは厚木陽葵をうまく体育館倉庫に連れ出せ」


「……分かった。任せておいて」


そして、私は綱島と別れて教室に戻った。


……なんでこんなことになったの?


顔のいい綱島の恋人になれて、私は人生の絶頂にいたのに、何故?


そうだ、これも全部、あの海老名樹が悪いんだ。よりにもよって修羅場の場面で金を巻き上げる瞬間に間が悪くも通りかかるとか、信じられない運の悪さ。


その上、何? 後輩の厚木陽葵をたらし込んで、自分の潔白晴らすとか信じられない。


樹がさっさと不登校になればいいものを強情に登校するから、酷い目に遭うだけじゃない。


あいつ、馬鹿なの?


それに厚木陽葵。


なんであの女が隠キャな海老名樹の味方をするのか意味がわからない。


だけど、思い知らせてやるわ。腹は立つが綱島に乱暴されている時の恥ずかしい写真、SNSの裏垢で拡散してやろう。


「ふふ……あの子、生意気にも私とタメはる人気みたいだけど、今回の件で樹共々不登校に追い込んでやる。やだ、嬉しくてよだれが出そう」


教室へと戻る途中、溢れでる笑みを殺すのに苦労した。

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