10.暇になる
不定期で月曜日に更新予定で進めていきます。どうぞ、ゆっくりご覧になっていってください。
〜前回のあらすじ〜
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赤ちゃんの体は響く響く。生まれたら生まれたで早速トラブル発生。
.......
赤ちゃんボディに入り、泣き声が反響することに耐える中
ようやく、他の赤ちゃんがたくさんいる部屋にきたぞっ、と。こうして見てると、似てるようで違いもあるもんだな。面白い
親がオレを間違えないかも面白い。間違えたら指差してやろっと(笑)
親から離れ、ようやく落ち着いてこの先を考えられるかと思ったが、なんだろうなこの不安感。あ、あれか。親が近くにいないから怖いのか。そりゃそうだ、この体の状態じゃなんもできんもんな。赤ちゃんって精一杯生きてるんだな
まだしっかり目で捉えられないから、感覚で捉えてみる。誰かが周囲にいるのだ。うーん、ちょっと疲れてるのかな、はっきりとはわからないや。でも看護師っぽいな。なんか言ってる
「あの子、凛々しいわよね、無邪気な感じがしないっていうか、なんか違和感ない?」
......
いけない、また落ち着いてしまった。しっかり泣いたり無邪気な振る舞いをしなきゃ。というか肉体にコントローラーを委ねればいいだけだからな
「スイッチオフ!」
......
はい赤ちゃんモード。これで大丈夫。ギャンギャン響くけど
「あっ、他の子と同じね、さっきのは気のせいかしらね」
「いやぁ、あの子生まれた後も呼吸止まって途中凛々しい顔してたらしいよ」
「あっ、じゃあそういう子なのね!」
「そうね、きっとそう」
「ふぅ、楽じゃないねぇ、赤ちゃん業務も。」
世の赤ちゃんは立派な仕事をしているな。生きるという仕事を。なんか大人になって仕事してる方が楽かもしれん。だってこの体じゃなんもできないから、万が一体調悪くなって泣くこともできなかったら、、と思うとね。美味いもん食べられないし、ゲームもできない、家でのんびりくつろげないし、本も読めない。こんな人の多いところにいるのも疲れるし。大人ってある意味自由度高いんだわ
さすがにこの部屋、赤ちゃんだらけであって、エネルギーだらけだわ!まぁ、心地良いエネルギーだから良いか
「なぁ、君はいつ頃からここにいるの?」
あまりに暇なので隣の赤ちゃんの魂に話しかけてみる
「僕はね、君が来る15分くらい前かな」
赤ちゃん先輩がいましたね。すぐみんなここを離れるんだけど、今だけ話しておくか
「そっかぁ。暇じゃない?君さ、生まれる前に決めてきたこと覚えてる?」
「いや、覚えてないよ。というか君くらいだよ、話しかけてきたの、珍しいね。」
「やっぱそうなんだ。まぁそりゃそうか。いやぁ、暇じゃんこの状況。思うように体も動かないしテレパシーくらいしかやることないなって」
「面白いね。たしかに暇だったから楽しいよ。」
と、会話をしていると、お隣さんはそろそろ両親の元へ行くようで、お迎えがきた
「迎えがきたから、そしたら行くよ。元気でね。」
「君も元気でね。じゃあね。」
一抹の寂しさとはこのことよ
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