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夢見人の夢は希望か絶望か  作者: 白澤さひろ
4/5

ピグマリオン

夢を見た気がした

夢だったのか、どこかで見た物語を思い返していたのか、とくにかく憶えのある光景だった

この施設の中でも伝わっている話

水銀の少女

可憐な少女が美しさを求め続けて、狂っていく物語

ただ、美しさを求めていたのではなく、僕は少女が求めていたのは周囲からの好意だったと思っている

何もかも自分の魅力に取りつかれてほしい

求め続けて飲み干した異物、それは水銀だったと伝わっている

水銀を体内に含んだところで、ただの毒にしかならないはずなのに

少女は魅了の能力に目覚め、より能力に溺れていく

溺れていって

「また会いましょうね」

僕たちはまた会うことを約束していた


目が覚めたら自分の部屋だった

あの、アルガという人物は発する重苦しい空気に耐えられなかったわけではない

少女―――シルビアという少女の視線にとてつもなく恐怖を感じた

恐怖を感じたはずなのに

それでも、吸い込まれてしまった

その容姿も、瞳も、目を離せなくなったのはあの場にいた全員だったとは思う

恐怖と、心地よさとが同居した不安感

それもあるけど

ボクが感じた、あの気持ち悪い既視感は何だったのだろう

「ユウ、目は覚めた?てはいたし、倒れるのはどうしようもなかったことかもしれないけど

これ以上貸しを作りたくないと思っていたのに

「ユウが、倒れるのは仕方ない。ユウだけを視ていたから。アレは異常だよ」

「なんか恥ずかしいよね。ボクの方がしっかりしないといけないのに」

「それも含めて仕方ないって言っているんだよ。ユウには、大きな貸しがあるから、それに応えるなら何でも協力するって」

コウセイはいつもそう

ボクの先を見て、気遣って

多分、ボクにしかできないことも見通して、だからボクもその期待に応えたい

「それにしても、コウセイはあの重圧に大丈夫だったの?」

「大丈夫だったというか、また夜更かしして寝坊してしまって……たまたま大丈夫だったというか」

「なんかさぁ、コウセイは運が良いんだよ、いつも。だから、何か知っているんじゃないかって思ったりするんだけど」

「いやいや、何も知らなかったよ。遅れて着いたときには、ユウが倒れた状態だった。タクとキョウも、アレにやられはしてたけど、ユウのこと心配してのだから」

そうだよね、ボクもボク自身が知らないうちに気を失っていたのだから、それは心配するよな

あとで、タクとキョウにも元気な姿を魅せないと

「どう進めるかは、ユウが決めていいのだから」

「そうだよね、自分なりにやってみるよ」

カスミ先生のことも、この閉じられた施設のこともどうにかしたい

それでさえも大変なのに、得体の知れない存在まで現れて

視線にまつわる施設だけど、このまとわりつくような恐怖はあるだろうか

だってこの魅了は、かつてこの街を襲った悪魔と同じものらしいから

少女は、あのシルビアという可憐な人は、この街を魅了した悪魔でないことを願う

神話じみた現象が起こるわけがない

悪魔を模した何かであってほしかった

コウセイは消えてしまう

そして、コウセイの部屋からはカスミ先生の遺書らしきものが見つかる

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