End(less) - 1
これはゲームだった
いつか、誰かが終わらせないといけないゲーム
それでも、ゲームと呼べる何かならまだよかったし、楽しかった
こんなのは、ただの騙し合い
僕からすれば、登場人物の誰もが踊り、踊らされていた
主人公ですら、訳も分からない状態で役目を演じさせられていた
あなたの視点に映るすべての命は、どのように見えていたのか
ボクを見ていることの方が楽しめたのだろうか
だけど思い通りにいくつもりはない
例え手のひらの上だとしても
神に等しいような力で強制させられることがあっても
この話の結末は、強制させられた内容としては終わらせない
目にものを見せてやる
僕だけの想いではないから
僕のこの想いの出どころは、狂ってしまったあの娘から受け継いだものだけど
自分なりに何年も考えて、何年も生きて、何年も違和感を辿った
そして、ある答えにたどり着いた
完全ではないけど、気味が悪いと言っていた視線の正体に
気づける人物はごくわずかだけど
僕のこの想いも託して
主人公として踊らされることは、ここで終わるよ
あとのことは、任せるよ
いつか、何も残らなくなってしまうのではないか
そんな、奇妙な恐怖心を抱きながら過ごしていた
その一因としてあるのは、きっと数日前にこの学園の先生が失踪してしまったからだと思う
そして、この得体の知れない恐怖心を抱いているのは、他のみんなもきっとそうだろう
みんな、同じように怖がっている
いつものように、安心して過ごしていた日常が容易く壊れてしまったことで、この先も不安定な中で生き続けなければならないと思い込ませる
「……ユウ?ちょっといい?」
先生は……カスミ先生は色々なことを教えてくれた
この学園に集められたボクたちが、普通には生きられないにも関わらず、普通に生きられる術を丁寧に教えてくれていた
そんなカスミ先生が、突然いなくなってしまった
仕方ないとはいえ、不安ばかり募るよ
「……でさ、なんでボクの机の上に肉まんを置いてるんだよ。めちゃくちゃにおうわ」
「あー、今日は10個だったか。日に日に少なくなってるな」
「いやいや、気づくわ。目の前に肉まん置かれて気づかないのおかしいから」
「そう言うわりには、あんまんの時は15個いけたけどね」
「それはやばいね」
「やばいのはユウだけどね」
一体、どこからこの数の肉まんを持ってきたのだろうか
それもあるけど、コウセイの大人買いする対象はいつも間違っていると思う
「ユウの考え事すると周りが見えなくなるのはいつものことだからいいけど。それよりも聞いてほしいのが、カスミ先生がいなくなったことの真相を追うのはやめた方がいいってこと」
ボクよりも先に、コウセイの方が先にカスミ先生のことについて、何かをつかんでいるようだった
「みんな気になってると思う。それは、俺も気になった、理事に聞きにいったけど、結局何もわからないまま……ではなかったけどさ。これ以上踏み込んでくるなら、退学だってさ。それは、俺たちには、もう行く当てがなくてこの学園にいるのだから、それは困るだろ。だから、やめとけ」
「そうなんだ。なんか簡単に引き下がりたくはないのだけど」
「……いや、やめときな」
コウセイの真剣な視線を感じて、どうにかしたいとか、解決したいという気持ちは抑えることに決めた
そう、ボクたちに、行くところなんてないのだから
大人になって、独りで生きていけるまで、ボクたちは自分たちの奇妙な力と向き合わないといけないのだから
ものごころついた時には、親からうっとおしがられていたのかもしれない
そうでなければ、親から離れて小学生のうちから暮さないと思う
もう親の顔すら覚えてない、というよりは入学初日にそれまでの人間関係をすべて忘れるようにしたと説明を受けた
その処置をしないとならないほど、精神的な苦痛がある子供が集まっていると
そして、漏れなくその子供たちには、ほんの少しだけ力があった
大きな影響力があるわけではないけど、他者にはない力
とは言え、ビームが出るとか、炎が出せるといった、魔法みたいなことではなくて
視線を特定の方向に強制誘導させるとか、少しだけ他者の視界を見るとか、色味を誤認させるとか
視界に関することの力を持った子供が集められた
集められたといっても、そんなに多くはいなくて
ボクとコウセイを含めても、学園には十数名ほどしかいないから、学園とは名前から大きな敷地を想像してしまいそうだけど、実際にはそうでもない
閉鎖的だけど、閉鎖的でないと今は生きていけないボクたちだから
カスミ先生が必要だった
この後、ボクはうまくできるのだろうか
大人になることですべてが解決できるわけではないけど
せめて、自分と、大切な何かだけでも守れるようになりたい




