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夢見人の夢は希望か絶望か  作者: 白澤さひろ
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わたしの生まれた日。

初めてパパに連れて行ってもらった劇場で、本当に、とっても衝撃だった

きれいで、かわいくて、美人さんで

なによりもね、すっごくキラキラしてた

大人になれば、わたしもそうなれるのかな

どこか見覚えのあるような

雪解け水よりもひかる

いったい、どんな水なのかな

飲むとパパに怒られるかな

でもね、私はきっと飲める気がする

たぶんね、あのひかる水を飲んでしまうのはいけないことだと思うけど……

パパは明日お出かけするって言ってたから

明日、わたしはこのキラキラした水をのむ

私もきれいになりたいから

特別な私になりたいから

劇場で見た、女優さんみたいに

私だって、誰にも責められず、この病的なほど白い顔でも注目を浴びたい


結局、眠れないまま今日になってしまった

不安だけどわくわくしている

だって今日は、わたしがキラキラになれる日

どうしても楽しみで眠れなかった

あのキラキラの水は飲んだ後にどうなるだろう

何か、私が変わることはできるのかな

どうなるのかな

なりたい私になれるのかな

お願い、神様にも祈る

どうか、私がなりたい私に

誰にも自慢できる私に

いじめられない私に

そんな幸せをください

……夜寝る前に、また日記を書こう

幸せな自分になっていることを信じて


しばらく日記を書けていなかった

何か変わってほしい

そんなことを考えてたの、私は

私を見る視線

みんな私を見てくる

私の何が変わったのか

みんなは何も分かっていない

だけど私を見てくる

そう、それでいいよ

醜いところもあるよ

姿も

心も

本当に悪魔のような心になり果てた

魅了する

男も女も、動物でさえも魅了させる

そんな私になっていく

あぁ、日に日に私の心は澄んでいく

私の気味の悪い容姿のように

白く不健康そうな私に呼応して、私の心は冷えていく

落ちていく

その一方で、視線はすべて私のもの

言うことを聞かせたいわけじゃないの

ただ、私はパパとママにきらきらを見せたかっただけ

それはもういいの

だって、パパとママも私を魅ているから

私の心は見てないから

いいよ

私は悪魔で

気に入らないことは寄せ付けなくて

もう、私がこの街のすべての視線を奪えばいい


気持ち悪い

視線に何か混じってきている

この正体はなに

私の街に何しているの

いつからなの

いつから私を見ていたの

不快でしかない

私を意図的に見ているなんて

何か言いなさいよ

私が魅せた街をずっと見降ろして

何をしようというの

不要な人間は排除した

私だけの理想を描くの

きらきらがほしいの

パパとママだって、私を操ろうとしてさ、きらきらを独り占めしようとする

誰も、私の街を奪わないで

そこで見ている誰であろうと

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