酔った聖女は記憶を無くす —酒の力は良くも悪くもチートパワー、聖女は今夜も大吟醸片手に笑い出す—
新年明けましておめでとうございます!
ここ王都近郊では夜の犯罪が極めて少ない。
それは我々、王国騎士団の力……、と言いたい所だが違う。
夜、悪魔が徘徊するのだ。
それは王都近郊であれば周知の事である。聖女様1人を除いて……。
「8人……か」
私の目の前には後頭部から肩までを地に付け、足を天に向ける遺体が8体。
王都近くにある村の広場の光景である。
「はっ、これら8人はロガーダン公国より警報のあったガストン盗賊団、その一味かと思われます」
昨日深夜、この村はこの者たちに襲われたそうだ、そして、どこからともなく甲高い声と共に現れた何者かの手によって……。
「死因は……」
「はい、見ての通りジャーマンスープレックス、もしくはパワーボムかと……」
「そうか……、これは迷宮入りだな」
私は悔しさを滲ませ、ボソッと呟く。
「おい! ここの足跡全部消しておけ!! 他の痕跡も全てだ!……、はい、証拠、痕跡が見当たりませんし……」
騎士団、村人たち一丸となって証拠や痕跡を消して行く。
そして、私たちが捜査を諦めかけたその時、新たなる情報が舞い込む。
「団長!! 胸に拳型の陥没が見られる遺体が、村からおよそ300m先で発見されました!」
「な、なに?! 見なかった事しろ!」
「はっ! 気のせいでした!!」
王都近郊には夜、悪魔が闊歩する。その正体は誰も知らない。
今年もよろしくお願いします!