【……俺、もう転生しなくて良いや】 異世界転生!はじめ……られない!ポンコツ女神のせいで次の世界が決まらず一〇〇年が経過しちゃいました
※これは一二月に投稿予定の作品の短編になっております。もし面白いと思ったらコメント、ブクマ、評価をよろしくお願いいたします。
「さあ、次の世界へ行ってらっしゃい!」
ブワッ!
ここは世界と世界の中間にあるはざまの世界。女神はここに来たものを次の世界に転生させるのが仕事だ。
あるものはチート系スキルを付与して魔王を倒す世界へ……あるものは植物や錬金術、育成系スキルでスローライフをする世界へ旅立つ。
また時にはハズレスキルを付与して残念転生をさせる事だってある。
『登場人物 ミミ:見習い女神 二〇七歳』
「さすがアレス様……さすがですね」
「二〇〇年もここで仕事したら誰でもそうなります。ここに来た方の今までのおいたち、性格、仕事、得意分野、趣味などから分析して適正な世界に送りだすことはそんなに難しい事ではありません。最近だとタブレット……『イセパット』の普及で、ボタンをぽちぽちーと押すだけで、適正な世界を選ぶことができるのです。だからミミさん、女神見習いのあなたもこのタブレットを使えば安心して次に来た人をぴったりの世界へ飛ばせますよ!」
「はい! アレス様! 私がんばります!」
「さあ! それでは女神最終試験です! 試験は次にここに来たものを最善の世界へ送る事です。ここまで学んだことを活かしてください。わたしはあなたを手助けはしません。『すべてあなたが自分で考え、自分で聞き、自分で解決するのです』。自分でタブレットに書いてある異世界リストから決めてください」
「ありがとうございます! アレス様、わたし最善を尽くします!」
「ええ。それでは私は天界にもどっていますね……検討を祈りますよ」
「はい!」
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「よし、最終試験! これが終わったら私もついに女神の仲間入り! 沢山の人々を異世界へ送り出す仕事につくことができるわ!」
ブワッ
「こ……ここは?」
(あ! ついに来た! 私の最終試験が始まった! 男の子だ! ちょっとイケメン! まだ未成年かしら。学生服をきているわ)
「えっと……ゴホン。あなたは死んだのです(よし、落ち着いて、わたし、学校で勉強した事を思い出して……)」
「俺が……しんだ?」
「田中将大様、あなたは死んだのです。えっと……死因はスマホをお風呂場に落として感電死ですね(タブレットをぽちぽちっと押せば次の世界の候補がいくつかでてくるんだから簡単だなぁ)」ぽちぽち
「な、なんで俺の名前を?」
「あなたの名前はわかりますもの……だってわたし女神(見習い)ですから……私はミミと言います」ぽちぽち
「そ、そうなんだ……で、ここはいったい?」
「ここは天界と次の世界をつなぐ時空の狭間です。そしてあなたの次の世界を決める場所です」ぽちぽち
「なるほど。と言うことはよくある異世界転生って事かな?」
「あら、理解が早くて助かります。さすが日本人ですね。」
「ほうほう」
「あなたの生まれた環境、仕事、趣味、特技、希望から総合的に判断させていただきますね(学校で習ったことを思い出して……)」ぽちぽちぽちぽち
「あのー……さっきから何ぽちぽちしているんですか?」
「あ! これはですね『イセパット』と言いまして、ここに必要な情報を入力すると候補の世界が三つ出てきます」
「異世界だから……イセパット……なんか無理矢理感が凄いですね。」
「最近だと天界もかなりデジタル化しましたからね。いままでは蔵書からいちいち確認していたみたいですね。入力中ですのでちょっとお待ちくださいね」ぽちぽち
ピコーン!
コウホ デテキマシタ
「出てきました!」
「お! なんだなんだ?」
「えっと……イセパットはの情報を見るとですね、一つ目の候補は……『惰バナナ! 転生したらゴリラでした。ゴリラに転生してスローライフ』で……」
「え! まって、ミミさん。いろいろツッコミどころあるんですけど、タイトルがなんかweb小説のタイトルみたいになってるし、転生先って人間じゃないの?」
「もちろんです、人間じゃない世界もあります。なぜか日本人はこんなタイトルに目をひかれるみたいですね」
「まじか……一応詳細を聞いてもいいですか?」
「えっと、ここはですね……、ゴリラの王様になって毎日惰バナナをむさぼるという世界ですね。スローライフが好きな方へおすすめです」
「だ……ばなな???」
「惰バナナです。ほら、惰眠をむさぼると言う言葉があるでしょう。そんな感じです」ニコ
「たしかに……スローライフは夢だったけど惰バナナはちょっと……あとゴリラはやだ。ミミさん、次の候補を聞せてくれるかな?」
「えー(さっさと決めてくれれば楽なのになー)、じゃあ次は……」ぽちぽち
「第二の候補はですね……人間です」
「お、いいね! それでそれで? どんな世界なんですか」
「はい……『パイナップル栽培で世界最強!リンゴ軍VSブドウ軍』……」
「な、なんじゃこりゃあ。パイナップル栽培ですか? なんで世界最強? リンゴ軍とブドウ軍? なんで?」
「はい。この世界はりんご好きのりんご軍とぶどうがすきなブトウ軍が二つに分かれていて争っていて、パイナップルは英語で書くとpin『apple』……つまり異形のリンゴという事で、チートスキルを持っているんです。パイナップルを敵に向けて投げると爆発するというチートスキルです。パイナップル爆弾は破壊力抜群です。このスキルで世界を統一するという世界ですね。いかがですか?」
「チートスキル……憧れていたものではあるけど、内容がかなりカオスで気に食わないです」
「ちなみにブドウ軍は『武道軍』とかけていてその名の通り武術が得意みたいですね……」
「……微妙に凝っていますね。あの……ミミさん、三つ目の候補も聞かせて欲しいです」
「三つ目ですね……(なかなか首を縦に振ってくれないわ。スローライフやチートスキルに興味を持ってくれて即答だと思ったんだけどね)えっと、『音楽救済! 失われた音を取り戻せ!』」
「お、これはなんか名前だけじゃわからないけど面白そうだね」
「えっ! 好評価! じゃあここにしちゃいます?」
「あ、ミミさんすごく嬉しそう……。あの、まずは詳細を教えてください」
「はい! この世界ではドレミファソラシの七音が魔王ヴィーヴルによって奪われてしまいました。あなたは勇者になって、音を取り返してください!」
「すご! この三つの中で一番良さそうだな」
「ちなみに転生後四〇年は勇者ではなく掃除係としてこき使われるので気をつけてくださいね」
「え、四〇年間掃除係をしてから世界を救う勇者になるの? 四〇過ぎてからの勇者ってどうなんだ……」
「さあ、どうします? 惰バナナのゴリラにしますか? パイナップル爆弾の人間にしますか? 四〇年間掃除係の勇者にしますか?」ぴこぴこ
「うーん、あの……申し訳ないんですけどどれも嫌ですね」
「え!? なんで? このイセパットに必要情報を入力したのに! 指名、年齢、趣味、特技……あ、希望を入力してなかったわ、忘れてた! てへ! ほら、わたし見習い女神だからごめんね! ははは!」
「え、ミミさんは本当の女神じゃないんですか?」
「これから女神になるのよ! あなたを希望の世界に飛ばせたらね! さあ、希望をイセパットに入力するから言ってみなさい!」
「見習いさんだったんですか……希望かぁ……そう言われると特別望んでいることはないんだよなあ……」
「なんでも良いから、思った事をとりあえず口に出してみてください!」
「うーん……僕の願いってみんなが思ってるちっぽけな願いだからなぁ……。人間に転生でさっきの候補以外ならどんな世界でもいいけど、しいていうならば……。
生まれた場所は貴族の屋敷で、男の子、母親はロリ巨乳ママで、親父は伝説の貴族、俺はその間に生まれた超絶美形な男の子。二歳の時にはすでに母国語と、近くの外国語をマスターしていて、五歳にして武術は師範代レベル。魔法が使えて、その世界の全ての属性と裏属性および禁呪含めあらゆる魔法がMP0で利用することができて、錬金術で金を生み出すことができて、空が飛べて、七歳には世界を一つに束ねる代表党首になって、九歳には俺の結婚相手が合計二〇〇人を超えてて、みんな美人で、でもロリ巨乳ママも僕を溺愛してきたと思えばツンデレ系の幼馴染が僕と駆け落ちしたり……さらに大人になってからはあまりある金と財産で世界の全てを購入して俺の理想の国をつくる。しかも俺への支持率は一二〇%! これくらいになればかなり楽しいよなー。あ、あと天界や死後の世界もも自由に行き来できて、ミミさん含めいろんな天界人にもお会いしたいです。せいぜいこんなところで、俺全然高望みしてないから! 全! 然! 高望みしてないから!」
「あの……将大さん、人間に転生するところまで聞こえましたけど、そのあとは呪文ですか?」
「人間って……最初のところじゃないか」
「だってあなた、希望が多すぎて……」
「そうかなぁ? 抑えたつもりだけど」
「抑えられたらもっと一言ですむわ」
「ミミさん。イセパットって俺が入力してもいいんですか? 多分そっちの方が早いかも。」
「それはダメです。私が入力しないと試験に合格できないの。あなたを満足した次の世界に送り込むのが私の課題なんだから」
「えー、でもそれじゃあ俺の昨日の世界を見つけるまで時間がかかるじゃないか! 俺に入力させろ!」
「ダメですよ! イセパットは女神のツールなのですからダメです! こら! 引っ張らないで!」グギギ……
「少しだけ! 少しだけでいいから見せてよ! 変な事しないからさ!」
「ダメって言ってるでしょー! えい!」
ピョーン
「あ」「イセパットが宙を舞って」
グシャ……
コワレ…………
デンゲンツカナイ……
「あーーー!!私の……正確には借りたイセパットが!」
「ごめんなさい!でもミミさんが思いっきり引っ張るから……」
「まさかイセパットが壊れてしまうなんて前代未聞です!」
「俺はちゃんとした世界を選んで行きたい」
「イセパットを新しいものに交換してもらわないと……もう、今日のところは無理です。今日は天界の宿で泊まって行きなさい。私はアレス様のところに行ってイセパットの修理をお願いしてきます」
(全く……出だし最悪だわ)
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「ここが、天界か」
「はい、通常なら普通の人間は次の世界に飛んでしまって、ここに立ち入る事すらできないのですが、事情が事情なんだから仕方がないですね」
「俺が想像していた天界とは全然違うな。なんというか、もっと豪華で地面は白い雲が敷き詰められていて、まるでRPGゲームででてくる聖地を期待していたのに今いる世界と殆ど変わらない」
「あなたは『ザ・聖地』を期待していたみたいだけど……期待外れで残念だったわね」
「思った世界と全然違う……」
「あはは。そうですね、次の世界ではあなたをそういう気持ちにさせないために頑張りますからね! あ、あそこが将大さんの今日泊まる宿屋です。」
「なんかビジネスホテルみたいだな」
「天界のお金は持っていないと思うので、私のなけなしのお金で泊まってくださいな」
「あ、本当に? ありがとー!」
(はぁ……私のアルバイト1日分が……消えていく……)
それでは私は女神アレスの所に行ってくるのでまた明日迎えに来るまでこの宿屋で過ごしててくださいね。食事もついてるプランを予約しといたので」
「食事……天界の食事ってなんだろう、少し楽しみだな」
「あ、誤解してるかもですが一番安いプランなので、夜ご飯はそうめんですよ」
「……。どうせなら天界のオリジナル料理が良かったけど我慢するよ」
「(イラっ)はい、それではまた明日」
(何こいつ! 私が天界のパン屋さんで汗水垂らして働いて稼いだお金なのに我慢ってなに? この人を宿屋に泊めてあげるだけでも感謝して欲しいのに! いっそさっきのゴリラ転生させてあげようかしら?)
『女神たるもの平等に審査しなさい。主観で次の世界を決めてはいけません』
(ああ、アレス様。こんなことがあっても学校で習った内容を忘れていない私は優秀だわ。早くこの人を次の世界へ送って、わたし一人前のの女神になります!)
天界 女神アレスの事務所
コンコン
「あ……アレス様……」
「あら? 課題終わったのかしら? おめでとう。これであなたも立派な、めが……」
「違うんです! 実は……タブレット……イセパットを壊してしまって」
「ん? なんですか? おもしろい冗談ですね? このイセパットは現代社会の女神には必要不可欠です。見習いのあなたはまだ所有する事ができないので、私のイセパットを貸してあげてるのですが、まさか壊してしまったなんてあり得ません」ハハハ
「あ、あのーこれ、なんですけど……」ボロボロタブレット
「あらあら……て! 本当に壊したのですか? 女神の必須アイテムのイセパットを! なんで? どうして?」
「じつは……かくかくしかじか」
「ええええええええええええええええええええ! 本当に壊したのおおおおおおおおお!」
五分後
「はぁ、はぁ……なるほど、わかりました」
「本当にすみませんでした! 新しいイセパットと交換してください!」
「あ、はい。タブレットは用意できますが、交換費用は払えますか?」
「ん? 交換費用?」
「ミミさん、学校で習ったことを思い出してください」
「えっと……」
『女神見習い卒業試験では公平な判断を必要としているため、対象者が無事適正な世界に辿り着くまでの費用は個人で持つものとする』
「いまは試験中です。そのためあなたが全て自分で解決するところも評価に入っているのです。だから、イセパットの交換費用はあなたが出してくださいね。」
「そうでした……ところで、イセパットの修理費用はいくらなんですか?」
「えっと、このイセパットは百二十万エリカですね」
「百二十万エリカ!? アレス様、それはかなり高額です。今すぐに用意できるわけありません!」
「女神たるもの、仕事器材に遠慮はしていてはいけません」
「そ、そんなあ。今一〇万エリカしか持ち合わせてなくて……つけといてもらえませんか?」
「だめです」
「分割は?」
「だめです」
「じゃあどうすれば?」
「決まっているでしょう? アルバイトして稼ぎなさい! 幸いこの試験の大抵の事があっても大丈夫なように期限は九十九年もあるわ」
「確かにそうなんですけれど……どれくらいの期間で女神見習い卒業試験を合格しているの?」
「えっ……と基本的には一週間前後の子が多いわね。今年の受験者は十五人だけど、もうすでに二人終わった人がいるわ。あなたも早く卒業できるように、まずはイセパットの交換費用を集めてきてくださいね!」
(と言われたものの、女神見習い卒業試験卒業の為に用意したお金は十万エリカしかない……百二十万貯めるためにまた、バイトをしないといけない……お金を貯蓄する必要があるわ。あとアイツの宿代がもったいないからそこをなんとかしないと……)
「そうだ!」ピコーン閃き!
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次の日 朝 天界の宿屋にて
「ムニャムニャ……」
「こら! 起きてくだい!」
ゴス! ゴス!
「??? 痛い! 痛い!」
「将大さん、お迎えに来ました。こちらへ来てください!」
「迎えって何? もしかして夜のお誘い?」
ゴス! ゴス!
「違います。宿代がもったいないからうちに来てください!」
「え? まだ早朝だよ?」
「この宿は朝ご飯前にチェックアウトすると少し安いんです!」
「え……そうなんだ……」
「さあ、行きますよ!」
「行くってどこへ?」
「私の家に来てください。詳しくはそこでお話しします」
「あ、はい……」
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天界 ミミのおうち
「ここがミミさんのおうちですか……なんというか普通のマンションですね」
「天界だから素敵なおうちを想像してしまいました? 現実はそんなに甘くないですよー。異世界があくまでもイレギュラーなだけであなたの生きてる世界とほぼ変わらないです」
「まじかぁ」
「さあ、ここが私の部屋よ。入って」
「はい……お邪魔します……いい匂いがしますね。インテリアもすごく女の子ってかんじ」
「ラベンダーの香りよ。心を落ち着ける効果があるの」
「なんか女の子のおうちって感じがします。この長い髪の毛はミミさんの?」
「キャ! 恥ずかしい。ちゃんと片付けしたのに……」
「いえ……大丈夫です。むしろご褒美です」
「? なんかいいました? えっと、そこらへんに適当に座ってください。これからあなたがやらねばならない事をお伝えしますね」
「あ、はい。よっこいしょっと」
「わたしもお隣り失礼しますね。よいしょっと……さて朝ご飯食べてなかったから用意しました!ハムカツサンドです」
「ありがとう、ミミさん」
「どういたしまして。さて、あなたは昨日異世界紹介タブレット……通称イセパットを壊してしまいました。これは大変なことでした。今回その交換代金がとても払える金額ではありません」
「というと?」
「アレス様からはイセパット修繕のために百二十万エリカが必要と言われました。この金額はあなたの住んでいた世界と同様な価値で百二十万円必要です」
「マジか……それ補償とか入ってないの?」
「天界では故意に壊す人はいませんので、補償などはありません。天界のタブレットなので、システム的なエラーは絶対起こらないので保証の必要がないんです。普通に壊す人なんて私初めて見ました」
「あの時は悪かった……ごめん」
「いえいえ、わたしもここに来るものがそういう事をすると予測しなかった点は反省です。ですが、今後はイセパットは私が入力しますので、触らないでくださいね」
「わかりました……ミミさん」
「わたしは実は女神見習いで今回はあなたを次の世界へ飛ばす事が最終試験なのです。それはあなたの満足いく世界に飛ばさなければなりません」
「なるほど」
「その為にまずは壊れたイセパットを新しいものに交換する必要があるのですが、その費用の一部をあなたにも手伝っていただきます」
「うん、わかったよ。お金を節約する為に宿屋から早朝チェックアウトしたのもその為だね」
「はい。その通りです。見習い卒業試験は対象者が次の世界へ向かうまでが試験なので、それまでは全て私のお金が使われてしまうのです。私のなけなしのお金では修繕費も宿泊費も足りませんのでそのため私があなたにぴったりなお仕事を用意しました! これから二人で一緒にお金が貯まるまでバイト生活です!」
「おー!」
「はい! それでですね……わたしはいつもパン屋さんで働いています。」
「へぇ……ミミさんってパン作れるんだ」
「誰がパンツ、くれるんだ! ですって? あげません!」
「いや、パンですよ! パン!」
「知ってます!」
「じゃあ言うなよ」
「ネタなので、すみません!」
「ミミさんって結構はっちゃけてるんだね……。じゃあ俺もパン屋で働くということか?」
「ちがいます!」
「違うんかい!」
「わたしの働いているパン屋は時給七〇〇エリカだから、あなたはもっと時給が高いアルバイトを用意しときました! 先輩女神のダリアさんが経営しているアルバイトなんですがあなたがやるのは時給一万エリカです!」
「おお、一万エリカ……大金だな。一日八時間労働で八万エリカ……これなら五日働けば四〇万エリカ……余裕稼ぐことができるじゃん!」
「将大さん。そう言うことです。お金を貯めてタブレットを新しいものに交換してちやんと使えるようになった後、あなたの次に行く世界を決めることができるのです!」
「なるほど!」
「ちょっと特殊なアルバイトなんで、詳細はダリアさんに聞いてください。さあ、朝ごはんを食べてそれぞれのバイト先へ向かいましょう! 私が作ったハムカツパンを食べてください!」
「いただきます! お、おいしい!」
「ふふふ! 気に入ってもらって良かったです」
「そういえばミミさんはどうして女神を目指そうと思ったんですか?」むしゃむしゃ
「それはですね…………」
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「ミミさんがパン屋へ出かけた後、俺は『快晴や』に来た。ここがミミさんが言っていた先輩女神ダリアさんの経営しているお店で俺のバイト先か……。日本語で看板作ってくれてる親切設計はほんと助かる……」ガチャ
『登場人物 ミミの先輩女神 ダリア 四〇一歳』
「あら? いらっしゃい。あなたがバイトの子? ふーん……結構可愛い顔をしているのね。わたしの名前はダリア。このお店、快晴の店主よ」
「(ツンデレ系の女神きたぁ!)あの……ここで働かせてもらう将大と申します。よろしくお願いいたします」
「ふん、ここの仕事はキツいから、何かあればわたしを頼ってくれていいんだからね!」
「もちろん、そうさせてもらいます。ちなみにこのバイトは時給一万エリカって聞いたんですけど大丈夫ですか?」
「もちろん。大丈夫よ」
「ありがとうございます。ちなみに仕事のことを伺っていいですか?」
「え? ミミから聞いてないの?」
「じつは……聞いていないんです。ご勘弁を……」
「もう、おばかさんね……」
「教えてください(ダリアさんのこの話し方……案外嫌いじゃない)」
「じゃあ仕事をあんたでもわかるように説明してあげるから感謝しなさい! あなたはこれから異世界に送るから、次の転生者が転生しやすいようにこちらで指示をしたクエストをクリアしてくれればいいわ」
「クエストか……ん? いま異世界に送るといいました?」
「ええ、そうよ。あなたを異世界に送るわ。ただしそれはあくまでも次の転生者がそこの世界に行くまでのつなぎキャラとして送るわ。今日の仕事はそこで十日すごしてもらうわ。」
「なるほど、イメージとしてはおためし異世界転生みたいな感じですか?」
「そんなかんじね。まあ天界に住んでいるものからすれば重労働の部類に入るわ。だって、あっちの世界の一日は天界の六時間程度にしかならないんだから」
「え……一日が天界の六時間程度(と言うこと実のところの日給ってかなり低い?)」
「ちなみに、その世界で死んでしまってもこっちの世界にちゃんと戻ってくれるから安心してね」
「わ、わかりました。ちなみに仕事で行く世界はどんな感じですか?」
「えっと、あなたに今日お願いしたい世界は『伯爵! ドラキュラ退治!』よ。この世界では吸血鬼……つまりドラキュラが存在しているわ。彼らはトマトが大好き! この世界で行われたトマト祭りの最終日の夜でドラキュラ伯爵が転生前の町長の息子を誘拐してしまうの。そしてそのまま町長の息子がそのまま殺されて……このままじゃ異世界転生した人がすぐに死んでしまう可能性があるから、イセパットに登録できないの! イセパットのせるための条件として、最初の街で転生者を死なせてはいけないという規定があるの。だからあっちの世界で十日間以内にドラキュラが転生者の死亡フラグを折ってきなさい!」
「は、はあ……」
「わかったのなら早く行く! 開け異世界への扉!」
ブアン
「う、うわああああ!」
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アルバイト (1日目)
「こ……ここが異世界か。まさかアルバイトで異世界行くなんて思っても見なかったよ」
「おーい! おめえさートマト祭りの収穫の準備してけろ!」
「あ、僕ですか?」
「この街で若いもんいうとおめえしかいねえだろ! さっさとトマトを収穫してけれ」
「あ……はい。(いきなり飛ばされて目の前の知らない人にトマト収穫をお願いされた)」
(それにしてもたくさんトマトができているな)
「今年は異例で七〇〇万個くらいトマトが作れたけん! 祭りが大いに盛り上がるたい!」
(……たしかに目の前一面がトマト畑だ。どれだけとっても回収できるまで時間がかかりそうだな。それにしても目の前のおじさんはかなり訛りがつよいな……とりあえず、収穫カゴにトマトを入れてっと……)
「おら! もっとちゃっちゃと回収せい!」
二時間後
「おーい! そろそろ休憩にするべー」
「あ、はーい!」
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「今年は本当に最高にトマトの実りがいいっぺ、ドラキュラ伯爵様も喜びになられるっぺ!」
「そうですね。……おじいさん。こんなに広いトマト畑は初めてです。あの……付かぬことをお聞きしますが、トマト祭りってどんな事をするんですか?」
「!!! おめえさはトマト祭りいつも出てるだろう! おらの孫なんだからトマト祭りはトマトの収穫が終わった三日後、トマトの神『トマガミ』様に今年もたくさんのトマトありがとう! 来年もおねげえします! っていう祭りの事ばい! 祭りは二日間とおして行われるだぁ。トマトを使った伝統的な食事、歌や踊りでどんちゃん騒ぎ! この街は大いに賑わうから楽しいで!」
「なるほどトマト作りが盛んなこの街だからこそできるお祭りですね」
「そう、お前もこのトマト食ってみぃ!」
「お、このトマトまるで果物を食べてるみたいに甘い! しかも全然酸っぱさを感じない! みずみずしくて最高です!」
「そうじゃろう! この町の特産物のトマトは美味いんじゃ!」
「ですね!」
「おめえも、この町の長の息子だからな。将来はてめえが頑張って管理するんじょ!」
「はい! おじいさん!」
(この世界で俺は町長の息子っで目の前にいるおじいさんは俺の祖父らしいな)
「さあ! 食べ終わったらトマトの収穫を続けるべー。この広大なトマト畑は町のみんなで種隠しても一週間はかかるけん!」
(……予想はしていたけどトマト収穫は膨大な時間がかかるんだな……)
「トマトとってはカゴに入れ……トマトとってはカゴに入れ……トマトとってはカゴに入れ……」
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アルバイト(八日目)
「明日はトマト祭りだ! みんな準備するぞー!」
「うおおおおおおおおおおおおお!」
(はあ……まさかトマトの収穫だけで七日を過ごしてしまった……本当に収穫してカゴに入れて、そのあと倉庫に入れての繰り返しだった……頭が狂いそうだ……町のみんなはよくトマト嫌いにならないなあ……)
ビー
『将大! 聞いてる? ダリアよ』
「そ、その声は……ダリアさん? まるで頭に直接声が届くようだ」
『そうよ。そろそろ締めの時間よ。ドラキュラに殺される前に早くなんとかしなさい。今年は豊作で取れすぎて思った以上のトマトが畑に投げられたの。トマト祭りで来日したドラキュラ伯爵がトマト投げの現状をみて、そこで何かが起こってしまい、ドラキュラ伯爵がと怒ってしまって町長の息子をこっそり攫っていくの……そしてその後恐ろしい事が……』
「トマト投げって俺の世界でもどこかの国でやっていたなぁ。というか何かってなんですか?」
『私もよく町長の息子やドラキュラ伯爵をみていたんだけど。よくわからなくて……』
「なるほど、つまり僕はその謎を解き明かして。ドラキュラ伯爵に誘拐される運命から回避する必要があるんですね」
『そう、つまりドラキュラ伯爵の怒りを収めて無事に次の日を迎えることができればアルバイト終了よ。朝起きた時に自動的にこちらの世界に戻ってこれるわ』
「ちなみに、そこで死んだら俺はどうなるんですか?」
『あんたさっき言ったじゃない!あ……そうね、あなたの時間では八日経過しているから忘れてしまっても仕方ないわね。これは天界のアルバイトなんだから、もし失敗してもここに戻ってくるだけよ。時給もちゃんと一時間一万エリカ、合計八万エリカをお支払いするわ。ただし死んだ時の痛みは覚えてるから、死なないようにするのが最善ではあるわね』
「ミミさん……これじゃ日給一万エリカだよ。なんて言うアルバイトをとってきたんだ……」
『ということで頑張るのよ!』
ブッツン
「ほら! 祭りの準備だ! おめえさはよ準備せい!」
「あ、はい」
(倉庫からせっかくの思いで収穫したトマトを取り出しては料理人の人たちへ配り、倉庫からトマトを取り出しては料理人の人たちへ配り……これだけのトマトみてたら悪いけどなんか吐きそう……ドラキュラ伯爵はトマト好きと言ってるけどんだけ好きなのだろうか。ドラキュラだから泣いて喜ぶのだろうか?)
アルバイト九日目(トマト祭りの日)
「さあ、今日がトマト祭りの日だ! 本当にたくさんの人が集まっていて朝からどんちゃん音楽がなり、小さい子から大きなお友達まで陽気に踊っているなぁ」
「えー! それでは皆様お待ちかねのトマト投げを開催します! 参加される方は汚れてもいい服装をきて畑に行ってください」
「お、ついに始まるぞ! 畑へ向かおう!」
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「それでは! トマト祭りのメインディッシュ! トマト投げの始まりです。まずはトマト投げ委員会会長のドラキュラ伯爵からご挨拶があります!」
(え……ここでドラキュラ伯爵が登場するの!?)
「みなさんこんにちは。はじめまして、わたしがドラキュラ伯爵で……
いいところで区切ってごめんなさい!※これは一二月に投稿予定の作品の短編になっております。もし面白いと思ったらコメント、ブクマ、評価をよろしくお願いいたします。