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意識覚醒、クラゲになっていました。  作者: 佐藤莉
〜第1章〜溟海帝国
9/29

〜9〜危険感知しました。

 先程見つけた崖にも見える岩肌。

それに沿ってひたすら下へ下へと潜っていると、近くで見ないと分からないような、所々に様々な色に光り輝く宝石のようなものが岩から見え隠れするようになった。

それがなんなのか気になって、そのうちの一つに触れようと触手を伸ばした。

同時に、ブチッと効果音がなりそうな感じに、伸ばした触手がちぎれた。


 ちぎれた触手は近くを流れていた海流に巻き込まれて遠くへと流れて行き、切られた断面からは青みがかった紫色の液体が辺りに解けていく。

それを補助の目で確認しながら、私は目の前に突如として現れた禍々しい雰囲気を纏う蟹……。

いや、海老か?

蟹と海老が合わさったような生物から主要の目を離せなかった。

小さめの体に対して異様なほど巨大な鋏を持ってこちらを見つめてくる目は真っ赤に染っている。

体の真下には私が触れようとした光り輝く宝石のような石がある。



「ギッギッ……サワ……る……ナ」



 まるで壊れた機会が軋みながら動くような。

そんな感じの鳴き声を発しながら、敵意を剥き出しにして現れた魔物と思われる生物。

この際、蟹海老の魔物でいいや。

蟹海老の魔物はゆっくりと前進して、鋏を高く上げると、思いっきり私に向かって振り下ろす。

え、振り下ろす?

うわっ!?

危ない!!


『水流操作』のスキルがなければ今頃、振り下ろされた鋏に容赦なく直撃して、私の魔核が粉々になっていただろう。

避ける際に触手が鋏に当たったのだが、固く分厚い甲羅が邪魔をして全く効かなかった。

今までの魚の姿をした魔物は鱗で体が覆われていようが関係なしに効いたのに。

何故蟹海老の魔物には効かないのか。

もしかして、こいつも私と同じように毒耐性を持っているとか?

あ〜、こういう時に相手のステータスとかを見抜くスキルがあったらいいのに!!



 なんてタラレバの話をしている間もこいつは攻撃を止めてはくれない。

しかもなんだかだんだんと攻撃する速度が早くなってきているし、そのせいで避けきれなかった私の長い触手の先がちぎれて、辺りをゆっくりと青紫色に染めていく。

それで私の姿を見失ってはくれないか期待したのだが、何をどうしてかこいつはピンポイントで私のいる位置に鋏を振り下ろしてくる。

逃げようと離れても、先回りして攻撃を仕掛けてくるから、逃げようにも逃げられない。


 麻痺の方も試しているが、やはり甲羅に阻まれて効かない。

もしかしたらリヴァイアランさんのように会話ができるのでないかと、『念話』を試したが聞く耳を持たない。

というより、知能が低すぎて会話が成り立たないという方が正しい。

蟹海老の魔物は本能で私に攻撃を仕掛けてきている。


 一度も使ったことがない『氷結操作』。

もしかしたら、このスキルならこいつの甲羅を粉々にできるのでは?

いや、さすがに攻撃を避けながら氷を用意してぶっ飛ばすなんて難しすぎる。

そもそも、氷を用意したところですぐに壊されるのがオチだ。

何より、私はこのスキルを使ったことがない。

どんな風に発動するのか分からないスキルを使っての即死はごめんだ。


 あぁ、どうしようか、このままひたすらに、どちらかが力尽きるまで続けるの?

それは、嫌だ。

絶対嫌だ、お断りだ。

ここに来て死ぬなんて絶対嫌だ。

だが、このまま続けば体力云々で私が負けるのは目に見えている。

何か、何か今の状況を覆せるものはないだろうか。

何か……そうだ、蟹海老の魔物が必死に守っているあの宝石みたいな石。

あれがこの魔物の魔核だったりしないだろうか。

いや、だとしたらこんなに沢山あるのはおかしい。


 どの道、この状況をひっくり返すにはあの宝石しかないと心のどこかで確信してしまっている。

ならば、なんとしてでもあの宝石を手に入れる、もしくは触れる行動を取らなければならない。

ゆっくり、ゆっくりと慎重に。

絶え間なく攻撃してくるこいつに気付かれないように、きっとミリ単位で宝石に近付いて行く。

しかし、降り注ぐ斬撃が激しすぎて、とうとう触手だけでなく傘の部分まで霞むようになった。

でも、宝石まであと少し!!



『届いた!!』




 《”世界より伝達”》

 《無の大魔石の接触を確認しました》

 《無の大魔石を取り込み、スキル『情報看破(強)』を取得しました》




 ぁ……、見えた。

これがこの魔物のステータスか。



 〘名前:無し

 種族:カエニビ・キング

 HP:685/685

 MP:0/0

 発動中スキル:『攻撃貫通(弱)』『気配察知(中)』『甲羅防御(弱)』〙



 この『甲羅防御』というスキルのせいで私の攻撃が効かないのか。

甲羅を粉砕するほどの衝撃を与えないと相手に攻撃が通らない、という防御スキルとはなんと厄介な。

残念ながらどんな耐性を持っているかは分からなかった。

けど、このスキルのせいで触手が塞がれているのが分かった。

それだけでは無い、『気配察知』というスキルで私の位置は丸わかり。

どれだけ動いても確実に鋏が振り落とされるのはそれが理由か。


 よっし!

まだまだ魔石と思う宝石は沢山あるから、どれだけ時間がかかってもなんとかして攻撃系のスキルを手に入れよう。

これだけの数があるんだ。

必ずひとつくらいはあるはずだ。

もし無かったら、逃げられるかは分からないけど全力で逃げるしかない。


 もう、それしか道がない。

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