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意識覚醒、クラゲになっていました。  作者: 佐藤莉
〜第1章〜溟海帝国
7/29

〜7〜水底探検しました。

 私は今、ひたすらに水底を目指して沈んで行っている最中だ。

スキルのおかげでサクサクと進んでおり、前まで感じていた体を締め付けられるような感覚はなくなって羽のように軽く感じる。

上から水流を流す事で早く沈むことが出来、触手を広げて傘の部分を覆うようにしながら進むと、あの光の生物達が襲いかかって来てもすぐに毒で倒せる。


 水底まで後どれくらいの深さがあるかは見当もつかないほど、ここはあまりにも深い。

真っ暗闇の陽の光が届かない水の中を、沈みながら手探りで進んでいくしかない。

沈むにつれ、光の玉や他の生物の気配は少しづつ少なくなっていき、やがて一つも見られなくなった。

その代わりに、虹色に光り輝く小さな光の粒子が辺りを軽やかに舞うように、まるで久しい来訪者を歓迎するか、警戒するかの如く現れるようになった。

光の粒子は生き物の気配、生気そのものは感じないが何か別の、言葉に言い表せない不思議な気配を感じた。

なんだか、こっちに来てと言っている気がする。


 そうして気が付いたら、呼ばれるままに体を呼ばれている方向へと向けていた。

自然と、なんの違和感もなく、そうしなければならないと思って、絶対にこんな暗闇だと気付くはずがない洞窟らしき所に入って行った。

どこに向かえばいいのかは全て、光の粒子が教えてくれるから、私に迷いなんてこれっぽっちも無かった。


 この洞窟はさらに下へ下へと続いていて、斜め下だったり真下に落ちるように沈むところもあり、段々と道が険しくなっている気がする。

それに、いきなり道が狭くなったり、振り返ると行き止まりになっていたり。

これではまるで迷宮探索ではないか。


 あぁ、何となく、この向かう先にボスと呼ばれる存在がいるのだなぁと理解してしまった。

今更戻ろうとしても、そこは行き止まりだったり、光の粒子が邪魔をして帰り道を分からなくしてくる。

だから、進むしかない。



 もしかすると、この光の粒子には催眠効果があったのかもしれない。

でなければなんも違和感もなく、こんな怪しい洞窟に入ろうなんて考えもしないし、そもそもはっきり目が見えない私がこの洞窟を見つけることなんて出来なかったはずだ。

まさか、この先にいるボス(仮)は私のことを知っていたりしないだろうか。

でなければ、光の粒子で……いや、考えすぎか。


 あぁ、でも、嫌な予感がしてならない。

進みたくないが、進むしかない。

だってもう、引き返す道は存在しない。

ここのボスが弱かったらいいのだが、ひしひしと感じるようになった強者と呼ばれる威圧が容赦なく私を突き刺す。

今まで淡々と倒してきた生物達とは次元が違うと本能が叫んでいる。




 《”世界より伝達”》

 《一定の条件を満たしました》

 《催眠耐性(中)を取得しました》




 はぁ、そうゆうのはもっと早く取得したかった。

催眠に気付けたから手に入れたのだろうけど、遅い。

いや、気付けなかった私が悪いのだけど。

あぁ、もう、本当に嫌になる。


 光の粒子は催眠が解けたの気付いたのか気付いていないのか知らないが、変わらずに辺りを舞い続けている。

凄くムカついて攻撃しようとしたけど、そもそも攻撃自体が当たらなかった。

ヤケになった私は、光の粒子を置いていく勢いで先に進んだ。


 勢い任せに進んだ先に待っていたのは、それはそれは大きな扉と思われる障害物だった。

見ることが出来ないからこれが本当に扉かどうか判断は出来ない。

けど、まるで、挑戦者を待ち構えるボスが、お前に入る資格はあるのかと問いかけてくるようだった。

入ったら最後、勝つまでは出ることが不可能な、そんな気配を持っている。



 心の中で、深く深く深呼吸をすると、私は目の前に立ち塞がっている扉(仮)に触れた。

その瞬間、扉(仮)はゆっくり奥へ開き、周りを漂っていた光の粒子は消え去って、完全なる暗闇が私を襲う。

暗闇と静寂が辺りを包み込むが、理解できない言いようのない不安が襲いかかる。

見えないが、聞こえないが、目の前に”何か”がいると分かる。

気配は何も感じなくて、頭が混乱するのを必死に押さえつけるが、既に破壊寸前でどうにかなりそうだ。



『ファッファッファ。

よく来たのう、”確定者”よ』



 頭の中に直接、年老いた女性のような声が響いた。

体の動きが触手一本すら動かせなくなり、私の命は今話しかけてきた声の主に握られているのだと悟った。

声色はどこか楽しそうで、私の抱える恐怖や不安を全て無いものと扱い、遊ばれているような気がして怒りが湧いてくる。

だが、ここでどこにいるかも分からない声の主に攻撃を仕掛けても即死確定、死因を思い出すなんて夢のまた夢となる。


 今は相手がどう出るかをみて、プライドも何もかも捨てて命乞いをする。

もしくは一か八か命を懸けて逃げるか、もう何もかもを諦めて負け戦に挑むか。

一番いいのは戦わないことなのだが、これまでの経験から一番無いだろうなと思っている。

話し合いになってくれたらいいのになと思っても、私は話せないし、意思疎通の仕方を知らないから、それも捨てている。



『そんなに警戒しなくて良いぞ、確定者よ。

妾は無益な争いを好まぬ。

故に戦う意思の無い者とは戦わないし、弱い物を揶揄うなどという低俗な行いもしない。

ただ、そうじゃの。

会ってみたかったのだ。

かの御方が直々に見定めた名も無き者に、美しき魔核の持ち主にな』



 突っ込みたいことがいくつかあるのだけど、一先ずは戦わなくていいということでいいんだよね。

ここで死ぬという可能性が無くなったということで、旅への道は途絶えてないということで、いいんだよね。

取り敢えずはその事に喜ぶとして、私はどうしたらいいのだろうか。


 会ってみたかったと言われても”かの御方”なんて知らない。

私のことをなんだか知っているようだけど、どこで知ったのだろうか。

そもそも、私は誰と話しているのだろう。

そんな私の困惑が伝わったのか、声の主はまた笑った。



『ファッファッファ!!

なんじゃなんじゃ、確定者は何も知らんのか。

まぁ、この世界に生まれてからまだ一年もたっておらぬというのだから当然と言えば当然かのう。

ん、んん〜?

そんなに不安そうにしなくて良いぞ。

何せ、これから知らなくて良いことまで知ることになるのじゃからな。

まずはそうじゃの、妾の自己紹介でもしようかの。


 妾の名は”リヴァイアラン”。

かの御方の忠実な配下であり、この美しき”みなみのしかい”を統べる者じゃ。

そして、かの御方からお主の名付け親になることを許された者でもある』



 あぁ、また情報量が多くて頭がパンクしてしまいそうだ。

そもそもかの御方って誰って話だし。

これから知ることになるって何を知るのか。

それに名付け親になることを許されたって一体何?

名無しでは無くなるのは嬉しいけど、まさかこんな人、待って、水の中にいる時点で人ではないか。

こんな得体のしれない生物が名付け親になるなんてさすが異世界だ。


 それに、さりげなくここが何処だか言ってくれたのは嬉しいけど、地図とかがないから何ッにも分からないんだよね。

”みなみのしかい”ってなんだか名前が恐ろしい。

みなみが方角のことを表しているとしたら、他にも北とか西のしかい?というのがあるということだろうか。

しかいって漢字でどう書くのだろう。

内容的に目の事では無いようだから、死の海で”死海”だったら恐ろしいな。



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