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意識覚醒、クラゲになっていました。  作者: 佐藤莉
〜第1章〜溟海帝国
5/29

〜5〜目的決定しました。

 泣いていいなら思いっきり泣きたいと、私は心底思いました。

何があったかというと、やっとの思いで辿り着いた水面に傘の部分を出した瞬間、あまりにも眩しすぎる光に目が眩んで、意識がぶっ飛んでしまった。

おそらく私は失神したと思う。

その間にいつもの色鮮やかな光の生物達が襲ってこなかったのは、不幸中の幸いでしかない。


 失神した理由は至って簡単。

元々真っ暗闇の中で怪しく光る小さな光しか判断出来なかった私が、いきなり直射日光の当たる場所に出たことによって、その包み込むような明るさに全部の目と一つの脳が対応出来なかったのだ。

何かの間違いだと思って、もう一度試して見たけれど結果は変わらず、水の中から少しでも体の一部が出ると脳がショートする。

よって、私はこの中から出ることは出来ない。

水越しの光なら問題は無いのだが……なんで直日はダメなのだろうか。

取り敢えず、このまま水面付近を漂っている最中に光の生物が襲いかかってきて私を外に打ち上げたら即死は免れないので、今度はひたすらに下に潜っている。


 あぁ、さようなら、夢にまで見た水面よ。



 下にゆっくりと落ちていくと、たまに真下に何かの生物が居て、そのまま毒で倒してしまうことがある。

敵意の無い相手を倒すのは少し罪悪感があったのだが、下にいた生物が悪いことにした。

毎回毎回、罪悪感に駆られていると、そのうち精神をすり減らして参ってしまいそうになるから。


 上に行くにはひたすらに体を上下に動かしてスキルをフル稼働しなければならなかったのだが、下に行くのは体の力を抜いているだけでも行けるので非常に楽だ。

登るより降りる方が楽で早いのは特殊なことがなければどの世界でも変わらないようで、もう既に陽の光が届かないところまでやってきた。


 結局、上を目指しても得られたことは終わりがあるということのみで、ここがどこなのかとかは何一つ分からなかった。

今はひたすら下を目指しているが、私はこれから何をすればいいのだろうか。

目的もなしに行動してしまえばそのうちに路頭に迷うことは確実だから、何となくでいいから目的を作ろう。

本当にやりたいことが出来れば、そちらを優先できる目的。


 うーん、そうだね。

今の私は沢山の目はあるけど微弱な光しか判断できないから人間と同じ、もしくはそれ以上の視力を手にいるでもいいし。

今度こそ外に出れるようになる、でもいい気がする。

他には寝れるようになりたいとか、ご飯を食べれるようになりたいとか。


 それか、そう、ここに来た原因。

つまり、私の死因を思い出すための旅、ていうのもいいかもな。

割り切ってしまっても知りたいものは知りたいし、死因が分からないというままなのは、これって本当に生まれ変わったのか、となるから。

まぁ、そんなしょうもない理由でもいいかな。


 よし、決めた。

”私の死因を思い出すための旅”にしよう。

やっぱり、どうしてここに来たのかを知りたいし、なんだか意図的に思い出させないようにされている気がしてならないんだよね。

ずっとずっと頭の中に霞がかかったような感じで、すっごくモヤモヤする。


 だけど、思い出すにはどうしたらいいのだろう。

もしかして、進化し続けたら思い出すとか、忘れたことを思い出すみたいな効果のあるスキルを取得すればいいのかな。

それか、なにか関連付けるものを見るとかしないといけないのかな。

……どの道、進化するにも旅に向かうにも強くなる他ないか。

途中で死んだら元も子もないからね。



 目的が決まってから、私は積極的に襲ってくる生物を倒すようになった。

おそらく私はMPが増えれば自然に進化できるのだろうけど、進化してもその力を使いこなせなければ、戦う方法を知らなかったら宝の持ち腐れとなってしまう。

だから私はひたすら戦って、戦って、倒して、倒して、倒して、殺して、戦闘経験を上げていく。

何度か弱点となるだろう傘の部分を攻撃されそうになって走馬灯のようなものを見たが、その度に頑張って生き延びてきた。

その走馬灯の中に死因が出てこなかったのは、喜ぶべきか悲しむべきか。


 だが、そのおかげで『水圧操作(弱)』が『水圧操作(中)』となり、『水流操作(微弱)』も『水流操作(中)』へと進化して、前よりも早く動けるようになった。

毒と麻痺のスキルと耐性も揃って(強)に進化して、物理攻撃耐性(弱)は物理攻撃耐性(中)に、魔核攻撃耐性(微弱)は魔核攻撃耐性(弱)に進化した。

物理攻撃耐性については攻撃を受ける前に避けているのでなぜ上がったのかが分からない。

戦闘前に毎度の如く私を襲いかかるあの激しい振動のおかげなのだろうか。



 水底を目指して落ちて言っているが、どうやらここは上にも下にもかなり距離があるようで、進む速度が上がってもたどり着くにはかなりの時間を必要とするようだ。

先程、大きな海流のような流れが現れたので、その流れに身を任せてジェットコースターのような速さで流れるのは面白かったけど、そのうち途切れて終わってしまった。

これまでの状況からここは海なのだろうけど、本当にそうかと怪しむ私がいる。

周りは真っ暗で光玉の生物が動いてどこにいるのかがよく分かる。

だが、こちらから行くと追いつけない速さで逃げるので、相手がこちらに来るのをひたすら待つしかない。

まるで釣りのようだ。



 初めて戦ったのが緑色の光玉の生物だったが、やはりあれはここでは弱い分類に入るようで、今の私じゃ毒を纏った触手に触れるだけで絶命させられる。

麻痺も前まではあまり効かなかったが、今では心臓麻痺、違うね、魔核麻痺と言えばいいのか、そのよう効果でも倒せるようになった。


 その次に強いであろう黄色の光の玉の生物も大体緑色の光玉の生物と同じくらいの強さだが、あれらは共倒れを狙ってくるので苦手だ。

それに、私の唯一の武器である触手を食いちぎろうとしてくるから油断も隙もない。


 そして、ここで一番危険なのは赤色の光玉の生物だ。

この生物はとにかく大きくて、背鰭だけでも既に私を超えてしまうから、実際の大きさはもっと大きいと思っている。

口を開けたら丸呑みにされてしまうから、閉じられる前に何とかして触手を当てることが肝心。

あまり会うことがなく、今までで3、4回くらいしか会ったことがない。

出来れば会いたくない。



 ここで私を襲ってくる生物はこの三種類しかおらず、他にも沢山生物はいるだろうと思うけど、近づいてくる気配すらない。

私の毒と麻痺に恐れているのか、私を襲う生物と関わりたくないかのどちらかだろう。


 そういえば、ここは私以外の同じ種族のクラゲの”何か”はいないのだろうか。

意識が覚醒してからそれなりの時間が経ったけど、光しか判断できない私には、同じ種族がいたのかということすら分からない。

それはなんだか、悲しい気がする。

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