百鬼 渠像の目の先
ブザー音
開演
オーケストラの演奏
しばらくの拍手
語り部の登壇
口を開く
「規模の大きな話をしたい
それは遥か昔の事か
それとも明々後日の件か
どこの物語を指し示しているか
事実はどこの脚本でもない
そもそも
彼らが誇らしげに立っている場所ですら
誰かの見る舞台上でしかない
それに気づいている人間がどれほどいるか
これは一町村の枠組みでの話ではない
宇宙規模の話である
ではいつからこの宇宙は生まれたか
5秒前の可能性も捨てきれないが
今は無視をしよう
例えば二回起きた世界大戦からか
欧米で起きた自由の尊重からか
欧州で起きた革命の数々か
それとも人類が生まれた時からもうすでに
ここはまるで大きな箱の中だ
『運命とは、最も相応しい場所へと、
貴方の魂を運ぶのだ。』
世界中に用意された舞台上の幕はまだ上がらず
ただ我はそれを待ち遠しく思う
ただの虚像なのだから」