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6. 東京トラム

 (あき)()神社に戻ると、ちょうど舞子が夜食を持ってきてくれたところだった。

 お礼をいって受け取ってから、みんなで社務所から持ち出した(しょう)()——折りたたみ式の椅子——を並べる。夜になって涼しくなってきたところで、おむすびもハルが淹れたお茶も温かい。お盆を囲んでしばらく食べるのに専念した。

 モジャコは、ほれ、と頭の上のジシェに半分にしたおむすびを渡す。具は焼きたらこ。

「おおっ、なんとも香ばしい!」

 ミチルはバックパックからノートPCを取り出して起動した。

「——だいたいのことはわかったつもりだけど、どうしたらいい?」

「昔の都電の路線図って持ってる?」とハル。「まだたくさん走っていたころの」

「一九六二年のなら」と、ミチルは画面に古めかしい絵地図のような画像を表示した。

 左上に「電車案内図」と大きく書かれた紙面には、都電の運転系統が色や線の種類で区別して描かれていた。右下に記されているのは「昭和37年10月現在 東京都交通局」。

「都電全盛期の路線図。欠番の26を除く1系統から41系統まで、全部で四〇の運転系統があった時代の」

 ミチルはウィンドウを切り替え、今度はブラウザー上に二十三区を範囲とした実際のマップを表示した。

 そこに四〇色のラインが重なる。文字どおりに網の目のごとく。現在の地下鉄に似ているような——違うような、不思議な感覚だ。

「どこのホームページだ?」とモジャコ。

「僕のだよ」とミチル。

 モジャコは口をヘの字に曲げた。(なにか質問したら、三、四時間しゃべりそうだから、やめとこ……)

「そのオーラさんが〈追憶のカケラ〉を残したという一九六七年にすると——」

 ごく一部、現在の東京メトロ丸ノ内線の新宿から荻窪までの区間と重なる14系統と、都営三田線の巣鴨から北の区間と大部分が重なる41系統の全部、そして18系統のうち41系統と重複する部分が消える。

 理由はつまり——そういうこと。けれどもそれを差し引けば、ミチルのいう「全盛期」のままに路線図は広がる。

「いまからいう停留場ってある?」

 ハルは菊屋橋、三原橋、今川橋、浜町中ノ橋、そして広尾橋の名前を挙げた。

 ミチルがキーボードを叩くと、五つの赤い点が地図上で点滅した。

 あった——と無意識にハルはつぶやく。それぞれの場所は、現在の地図でその名前を持つ交差点の場所に一致していた。

「この五つと三ノ輪橋、面影橋以外で『橋』で終わる名前の停留場は?」

「こんな感じかな——」

 地図の上で五十数個の点が赤く表示された。ハルの考えが正しければ、その中の三か所に残りの〈追憶のカケラ〉が眠っていることになる。

「一九六七年」

 ミチルはつぶやいた。「この路線図のままに電車が走っていた最後の年。時代の流れについていけずにすっかり邪魔ものになって、都電はそのあとの五年間で、いまの荒川線を残して一気に消えてしまったから」

 無くなっていこうとする路面電車、その停留場の名前には残っていたけれど、そのときにはもう無くなっていた橋——。

 ハルは心に思い描こうとして——やめた。

 五〇年前というのは、想像するにはあまりにも遠過ぎる。

「でも……」

 オーラは確かにそこへ想いを預けたのだと、ハルは強く信じられるようになっていた。

「まず、それぞれの停留場周辺をいまの地図で見て、名前の一致する橋の存在が確認できたら、五〇年前もあったとみなして候補から落としてく。例外はあるかもしれないけど、キリがないから考えない」

 荒川や隅田川に架かるような大きな橋なら、地図から名前はすぐわかる。該当するのは荒川と隅田川に架かる橋で、前者は葛西橋、後者は上流側から千住大橋、(こと)(とい)橋、吾妻橋、駒形橋、(うまや)橋、新大橋、永代橋、(かち)(どき)橋の八つ。

 ここからは手分けして、馴染みのある場所を足がかりに作業を進めていく。橋の名前がわからなければ、近くの交差点の名前や周辺の地名から特定する。

 神田川は、井の頭公園の井の頭池を源に、東へ杉並区と中野区を流れ、高田馬場駅の北で山手線の内側に入り、御茶ノ水の谷を貫通したあと両国付近で隅田川に合流する。上流からたどっていくと、面影橋、石切橋、江戸川橋、小石川橋、水道橋、万世橋、浅草橋があるのを確認できる。これに飯田橋駅付近で合流する(そと)(ぼり)の飯田橋を加える。

 その神田川から小石川橋付近で分流し、南東に流れるが日本橋川で、上流から一ツ橋、神田橋、新常磐橋、そして日本橋がある。どれも上空を首都高速都心環状線が覆っている。

 もっとも多くの橋を確認できるのが渋谷川。渋谷川は、渋谷駅付近でいくつかの支流を集めて東へ流れ、浜松町付近で東京湾に注ぐ川。下流は古川と呼ばれる。河口からたどっていくと、金杉橋、芝園橋、赤羽橋、中ノ橋、一ノ橋、二ノ橋、三ノ橋、古川橋、四ノ橋。ここまでは首都高速都心環状線と2号目黒線が上にかぶさっているため、地図上で水面を確認するのは難しい。首都高速が離れ、天現寺橋、渋谷橋、そして並木橋。

 隅田川と旧中川に挟まれた江東区から墨田区にかけてのデルタ地帯には、江戸の頃に開削された運河が縦横に走っている。(きた)(じっ)(けん)川は、おおむね西北西から東南東の方向に東京スカイツリーをかすめて流れ、隅田川と旧中川をつなぐ。ここには押上駅もほど近い(じっ)(けん)橋と、その西に福神橋がある。

 ()()()川はその南をほぼ東西に流れ、同じく隅田川と旧中川を結ぶ。隅田川から分かれてすぐのところに(たか)(ばし)がある。

 (おお)(よこ)川は東の(よこ)(じっ)(けん)川とともに(きた)(じっ)(けん)川と()()()川を南北につなぎ、東京スカイツリーの(たもと)には浅草通りに(なり)(ひら)橋がある。東武伊勢崎線の「とうきょうスカイツリー駅」のもともとの名前は「(なり)(ひら)橋駅」。その南には江東橋があって、この二つの橋を含む(おお)(よこ)川の北半分は親水公園として整備され、運河としての役割はすでにない。

 (きた)(じっ)(けん)川と()()()川の間には、(たて)川も東西に流れる。全線に渡って上空は首都高速7号小松川線であり、また東半分は親水公園となって役割は終えている。

 最後に、川ではなく山手線をまたぐ駒込橋は、JR駒込駅のホーム西側をかすめる本郷通りに現存する。

 見つからなかったのは、鍛冶橋、合羽(かっぱ)橋、京橋、呉服橋、桜橋、霜降橋、新橋、数寄屋橋、(なみだ)橋、有楽橋の一〇か所。

「順番に回ってみるか?」

 モジャコの問いにハルは思案した。

 答えは——桜橋と霜降橋と(なみだ)橋。

「この三つから行ってみる。想いを受け止めてくれる、優しい響きの言葉だから」

 いちばん近いのは(なみだ)橋で、松が谷の(あき)()神社から見ると北東へ直線距離で二キロ弱。日比谷線で入谷駅から三ノ輪駅まで戻ることになる。


 九つの〈追憶のカケラ〉。

 ——一つ目は小星形十二面体、朝顔の花のカード。

 橋の名前を残したのは菊屋橋停留場、現在の菊屋橋交差点。ここには神田の須田町から万世橋、上野駅前を経由し、浅草方面へ向かう24系統と30系統が東西に、31系統が南北に通って交差していた。

 菊屋橋から先、24系統は隅田川を吾妻橋で渡り、(きた)(じっ)(けん)川に沿って本所吾妻橋、(なり)(ひら)橋、(じっ)(けん)橋を経由して福神橋まで、30系統は本所吾妻橋で分かれ、(こと)(とい)橋を経由して東向島三丁目まで。

 ——二つ目は大星形十二面体、桜の花のカード。

 橋の名前を残したのは三原橋停留場、現在の三原橋交差点。ここには、それぞれ中目黒、渋谷駅前、新宿駅前から桜田門、数寄屋橋を経由して築地方面へ向かう8系統、9系統、11系統が東西に通っていた。

 8系統は恵比寿駅前を経由し、渋谷橋から赤羽橋まで渋谷川・古川に沿って東へ進み、築地まで、9系統は青山を通り抜け、六本木を経由して8系統に合流、築地からはさらに桜橋、水天宮前を経由して浜町中ノ橋まで、11系統は四谷と麹町を通り抜けて8系統と合流、築地からは(かち)(どき)橋を経由して月島まで。

 ——三つ目は大十二面体、銀杏(いちょう)の葉のカード。

 橋の名前を残したのは今川橋停留場、現在の今川橋交差点。日本橋と万世橋を経由する1系統、19系統、40系統が南北に通っていた。

 1系統は品川駅前から金杉橋、新橋、京橋、日本橋、万世橋を経由して上野駅前まで、19系統は東京駅八重洲口の通三丁目から日本橋、万世橋を経由し、湯島を通り抜けて本郷通りを北上、駒込橋、霜降橋を経由して王子駅前まで、40系統は銀座七丁目から銀座を通り抜け、京橋、日本橋、万世橋を経由し、上野や根津、千駄木を通り抜け、いまは文京区立本駒込図書館になっている神明町車庫前まで。

 ——四つ目は大二十面体、リグナの次世代型ルドゥフレーデとしての力の開放。

 橋の名前を残したのは浜町中ノ橋停留場、現在の浜町中ノ橋交差点。9系統の終点であるほか、築地から桜橋、水天宮前、新大橋を経由して錦糸町駅前まで向かう36系統が東西に通っていた。

 ——五つ目は正二十面体、円環(ロンド)のセキュリティ解除コードの復号キーが格納された白いメモリーカードの一枚目。

 橋の名前を残したのは広尾橋停留場、現在の広尾橋交差点。品川駅前から古川に沿って古川橋、四ノ橋、天現寺橋を経由し、青山を通り抜け、四谷三丁目まで結ぶ7系統が南北に通っていた。

 ——六つ目は正十二面体、まやかしの金色のメモリーカード。

 橋の名前を残したのは、21系統、27系統、31系統の三ノ輪橋停留場。

 27系統は赤羽から南下、王子駅前から三ノ輪橋までは荒川線の東半分として現存するルートを通っていた。一方、21系統は水天宮前から北上、三ノ輪橋を経由し、千住大橋を渡って千住四丁目まで、31系統は都庁前から新常盤橋、浅草橋を経由し、三ノ輪橋まで。21系統と31系統の三ノ輪橋停留場は、いまの停留場からは離れ、その延長線上の日光街道にあった。


 ハルたちはパスモをタッチして、三ノ輪交差点方面と表示された改札口を抜けた。通路を少し歩いてさらに階段を上る。2番出口から地上に出たところで、ハルは地図アプリを起動した。周辺一キロメートル四方を表示して駅を左手に据える。

 左上には都電荒川線の三ノ輪橋停留場、右上には南千住駅と広大な貨物ヤード。

 日比谷線の三ノ輪駅は昭和通りの地下、大関横丁交差点と三ノ輪交差点の間にある。北の大関横丁交差点(昭和通りはここで日光街道に名前を変える)にあるのが、松が谷の(あき)()神社へ向かうときに利用した明治通り方面改札で、南の三ノ輪交差点が現在地。

 そこからほぼ真東に直線距離で八〇〇メートルほど、地図上では右の端に位置するのが(なみだ)橋交差点だ。

 国際通りが合流する大きな交差点を歩道橋で渡り、脇道を抜け、ヘッドライトが行き交う明治通りを歩いていく。まもなくたどり着いたその場所は、かつて路面電車の停留場があったという痕跡すらない、四車線の道路どうしが交わる平凡な場所だった。

 反応を確認し、ハルは携帯(おお)(ぬさ)を北東の角で差し上げた。地面からゆっくりと、きらきらと虹色に輝く立体が回転しながら昇ってくる。

「正八面体……」

 正八面体とはプラトンの立体の一つで、正三角形八枚からなる正多面体のこと。

 粒子状に弾けたそこには白いメモリーカードが浮かんだ。


 九つの〈追憶のカケラ〉。

 ——七つ目は正八面体、白いメモリーカードの二枚目。

 橋の名前を残したのは(なみだ)橋停留場、現在の泪橋交差点。新橋から銀座を通り抜け、京橋、日本橋、浅草橋、(うまや)橋、浅草を経由して南千住まで結ぶ22系統が南北に通っていた。


 ゆっくりと降りてきた白いメモリカードを、ハルは手のひらに受け取った。

円環(ロンド)のセキュリティ解除コードの復号キー、二つ目——」

 ミチルが上空を警戒しゴーグルを装着した。リグナはすぐに高く跳び上がる。

 そのリグナを、一辺が一〇メートル超の透明なキューブが包囲した。その中を無数の光線が駆け巡る。上空の大気が一気に沸き立つ。

 光線は透明な壁で跳ね返って上からも下からも、前からも後ろからも襲いかかる。

 それを——自由の利かない空中でリグナはすべてよけ切った。

 キューブが消滅する。

 同時に、リグナはクロイツェルを分離し、空間の一点を撃ち抜いた。十数階建てのマンションの屋上だ。碧い光弾はデッサを直撃した。

 デッサもひるまずリグナに向かって一直線に突っ込んでくる。

 リグナは落下しながら、重心を入れ替えただけで軽く受け流した。デッサは商店に突っ込む。

(すご……!)モジャコは唸った。

 驚異的だ。もしいまの動きのすべてが、ミチルの動体視力と反射神経を反映したものだとしたら。

 デッサはすぐに瓦礫を撥ねのけ、リグナに光弾を放った。「くそっ!」

 二人はそのまま撃ち合いながら、南千住駅のほうへ移動していく。

 それを追いかけながら、ミチルは何も無いところで派手にすっ転んだ。足がもつれたらしい。

 驚異的な動体視力と反射神経——そして奇跡的な宝の持ち腐れ。

 ハルとモジャコの周囲に大量のボーデが出現する。

 目の前にはコルヴェナが現れた。

「お待たせしちゃったわね!」

 すばびんっ、とコルヴェナは指を突きつけた。「この都市の公安のかたは、お話のわかるかたばかりで助かるわ!」

(やっぱり職質されたんだな……)とモジャコ。

(どう説明したんだか……)とハル。

 それはともかく、おかしい、とハルは思った。(いままでデッサだけがこんなに先行することはなかった)

 ジシェをハルに預け、モジャコもコルヴェナと乱闘を繰り広げながら北方向へ移動していく。

 コルヴェナにはデッサが放った流れ弾が何度か直撃した。コルヴェナは相変わらずの頑丈さだが、連携できているようには思えなかった。

(デッサを制御できなくなっている……?)

 まもなく、横切る貨物線の線路に道路は途絶えた。

 正確にいえば車道はアンダーパスへ、歩道は跨線橋へ。右手には貨物ヤードが扇型に広がる。

 モジャコはボーデに足下をすくわれ、バランスを崩した。

「チャンス!」コルヴェナは嬉々として向かってくる。

 そこへ、やにわに閃いた七色の光が彼女を跳ね返した。「ふんぎゃー」

 光は一点に収束して人のシルエットに重なった。

「パルノー殿!」ハルの頭の上でジシェが叫んだ。

 小柄な少年だ。パルノーは腰のホルダーから素早くハンドガンを抜き放ち、周りのボーデを続けざまに破壊した。

「げげっ!!」コルヴェナは呆然とする。

 げげって……。

 すかさず、モジャコはコルヴェナの腕をつかんで投げ飛ばした。コルヴェナは側道から下の車道へ。で、ちょうどやってきたトラックの荷台に落ち、そのままどこかへと運ばれていった。

 行き先は不明。

 デッサを空中へ振り飛ばし、リグナは右脚からクロイツェルを分離した。

 クロイツェルは瞬く間に巨大なマシンガンへ変形する。それを軽々と持ち上げ、リグナはデッサに光弾を浴びせかけた。

 動けなくなったところへ高く跳躍、振りかぶって強烈な回し蹴り。

 デッサは貨物ヤードへ一直線に突っ込んだ。

(JR貨物関係者のみなさん、ごめんなさいっ!)

 ポジティブな鉄道ヲタクは心の中で謝罪した。

 跨線橋を渡って向こう側へ。階段を下りれば、目の前が日比谷線南千住駅の南口。

 ポジヲはパルノーにパスモを貸してあげる。当然のように持っていたスペアで、何かの記念で発行された特別なものらしい。

 パルノーはガーノスピネルのような、夜空を想わせる深い青色の瞳が印象的な少年だった。髪も心なしか青みがかって見える。黒いケープの意匠は、どことなくコルヴェナのド派手な制服のものに似ていた。

 あらためて自己紹介し、パルノーは一礼した。

「ありがとう——そして巻き込んでしまってごめんなさい」

 面白いから構わない——というのがハルとモジャコ、そして丸眼鏡の共通した回答。「それはよかった……」とパルノーは苦笑いした。

 1番線ホームへ上がれば、反対側の2番線から北春日部行きがちょうど出発するところだった。もう夜も遅く、休日とあっては車内もゆったりしていて、窓から漏れる光には温もりを感じる。2番線にも中目黒行きの電車がやってくる。こちらも車内は空いていたので並んで座った。

 日比谷線の電車は、レールを軋ませながらカーブを曲がって、高架から地下へと潜っていく。


 路面電車の停留場に名前を残した橋。

 ——菊屋橋。(しん)(ぼり)川に架かっていた。

 (しん)(ぼり)川は江戸時代に開削された水路で、いまのかっぱ橋道具街通りを流れ、鳥越川に合流し、隅田川に注いでいた。もともとは自然の川で、その後、水路として整備された。役割を終えて埋められたのは昭和のはじめごろ。()()()()道具街の合羽(かっぱ)橋は同じ(しん)(ぼり)川に架かっていた橋で、菊屋橋の北。

 ——三原橋、今川橋、そして停留場の名前には浜町を冠した中ノ橋。

 それぞれ(さん)(じっ)(けん)(ぼり)川、竜閑(りゅうかん)川、浜町川に架かっていた。

 どれも江戸の街に張り巡らされていた運河の一部で、(さん)(じっ)(けん)(ぼり)川と(りゅう)(かん)川、そして浜町川の北側は、戦後すぐの瓦礫処理のために埋め立てられた。浜町川の南側だけは、かなりあとになるまでそのままで、首都高の建設にともなって完全に消滅したのは一九七二年。

 一九六七年の時点ではまだ面影を残していた水辺や橋に、オーラは何を想ったのだろうか。

 ——広尾橋。(こうがい)川に架かっていた。

 (こうがい)川は古川の支流で、青山霊園付近を源にいまの外苑西通りに沿って流れていた。道路の整備にともなって埋められたが、渋谷区と港区の蛇行する区境に、そこに川が流れていた痕跡をいまも残す。

 ——三ノ輪橋と(なみだ)橋。

 (しゃく)()()用水とその分流の(おもい)川に架かっていた。

 (しゃく)()()用水は、王子付近の(しゃく)()()川から引かれた歴史の古い灌漑用の水路で、音無川とも呼ばれた。音無川も(おもい)川も、市街化にともない役割を終え、昭和初期に埋められた。こちらも荒川区と台東区の蛇行する区境にその痕跡を留めている。


 八丁堀駅でハルたちは電車を降りた。南側の桜川公園方面改札を抜け、階段を上ってA3出口から地上に出る。

 地図アプリで周辺を表示すれば、東西に横断するJR京葉線・有楽町線と南北に縦断する日比谷線・都営浅草線とで、五〇〇メートル四方のひしゃげた格子を形づくっていて、上の辺が鍛冶橋通りの地下を走るJR京葉線、下の辺が佃大橋から銀座へ続く通りの地下を走る有楽町線、左の辺が昭和通りの地下を走る都営浅草線、右の辺が新大橋通りの地下を走る日比谷線。右上の角が現在地の八丁堀駅、右下が有楽町線の新富町駅、左上が都営浅草線の宝町駅。左下の角に駅はない。

 改札口の名前にもなっている()()公園は八丁堀駅の南東。隅田川から西へ、公園を含む七〇〇メートルほどは周囲と区割が異なっていて、西の端には()()ポンプ場。その目の前の通りを北へたどれば鍛冶橋通りとの()()交差点。——これが桜川と桜橋の痕跡でないはずがない。

 鍛冶橋通りの一つ南の、河岸沿いだった道を歩いていく。周辺は商店や出版社が多いオフィス街で、休日の夜、ビルに明かりもなく街は静かだった。

 通りを抜けたところが桜橋ポンプ場の目の前。ハルはすでに輝きを帯びている携帯(おお)(ぬさ)を差し上げた。

 七色に輝く立体が回転しながら、ゆっくりと浮かび上がってくる。

 正六面体だ。

 正六面体とはプラトンの立体の一つで、正四角形、つまり正方形六枚からなる正多面体のこと。普通は立方体と呼ぶ。

 立方体は粒子状に弾け、白いメモリーカードをハルの手のひらに残した。


 九つの〈追憶のカケラ〉。

 ——八つ目は正六面体、白いメモリーカードの最後、三枚目。

 橋の名前を残したのは桜橋停留場、現在の桜橋交差点。目黒駅前から古川に沿って古川橋から芝園橋まで進み、都庁前、鍛冶橋、京橋を経由、永代橋までを結ぶ5系統が東西に、9系統と36系統が南北に通って交差していた。


 路面電車の停留場に名前を残した橋。

 ——桜橋。桜川に架かっていた。

 桜川は江戸期からの運河で、以前は八丁堀と呼ばれていた。戦後すぐの埋め立ては免れたものの、一九六〇年代から八〇年代にかけ、西側から段階的に埋め立てられた。桜橋の前後から水辺が消えたのは一九六六年、橋の構造物が撤去されたのは一九六七年のこと。

 オーラはその痕跡を見たのだろうか。


「これで円環(ロンド)のセキュリティ解除コードの復号キーがぜんぶ揃った……」

 ミチルが周囲を警戒した。すぐにリグナはポンプ場の建物の上へ。

 再び大気が沸騰する。地上にはコルヴェナも遅れて現れた。

 鍛冶橋通りへ飛び出し、リグナとミチルはデッサの攻撃を、モジャコとパルノーはコルヴェナと大量の六型ボーデを相手にしながら西方向へ。

 やっぱりおかしい——とハルは感じた。デッサがコルヴェナに対してまったく気を配っていないばかりか、意思疎通が図られているようにも思えない。まったくの無言であるのもこれまでと異なっていた。

 入り乱れながら大きな交差点に躍り出る。

 ちょうど浅草線の宝町駅がある交差点で、クロスする昭和通りは片側三車線の間に四車線分の緑地帯を抱えて幅が広い。緑地帯の真下はアンダーパスで、交差点の南側、東京高速道路の高架と直交するあたりで顔を見せる。東京高速道路は、交差点南東の京橋ジャンクションで首都高速都心環状線から分岐している。直角に急カーブを曲がり切ったあたりで、道路上には料金所がある。

 二つの高速道路はかつての運河の流路を利用している。この付近では、首都高速都心環状線は楓川と築地川、東京高速道路は京橋川。桜橋のあった桜川は、現在の京橋ジャンクションがある場所で京橋川につながっていた。

 交差点の上空でリグナはデッサを蹴り落とした。デッサは東京高速道路の料金所へ突っ込む。

 その直後、昭和通りの緑地帯から投げ飛ばされたコルヴェナは、アンダーパスを走る高速バスの屋根に落ちた。

「むきゃー」

 どこ行きのバスなのかは不明。

 そのまま、ハルたちは宝町駅A3出口の狭い階段を駆け降りた。京橋方面改札を通って押上方面の2番線ホームへ。

 最後の霜降橋は、桜橋からは北北西へ八キロほど、駒込駅から北へ四〇〇メートルほどの地点。

 地上のオフィス街と同じようにホームは閑散としていて、ほかに待っている人は一人もいなかった。浅草線の電車はもう一〇分に一本くらいしか無く、しばらくやってこない。

「ロートの追憶——」

 パルノーは話しはじめる。「それは、テヴェとルジェの民が忘れてしまった遥か遠くの記憶。ひとつの神話は、それを古代の星の舟であると説明しています」

「星の舟?」とハルは聞き返す。

「テヴェとルジェの二つに分かれるよりもずっとまえ、かつて星の海を旅していたロートの民を運び、そして神域に封印された舟である——と。長い年月の間に、テヴェの民は星の舟の記憶を失い、ただ神域と呼ばれる場所を守りつづけました。一方で、神域がどこにあるのか忘れてしまったルジェの民は、しかし星の舟のことは覚えていて、ひそかに探しつづけていたのです。千年前のある年代記によれば、ルジェの不可解な動きに気づいたテヴェはさらに古い記録に当たり、星の舟のことを思い出しました。そして確かめるために神域の深くに入ってわかったのは、そこに星の舟は無かったということ——」

「無かった……?」

「いつのまにかこの星に移動していたのです。急ぎイクリューエル転移したテヴェの民は、ある種の結界で星の舟を隠し、やがてルジェの動きも鈍くなっていきました」

 ようやくやってきた電車に乗って、北へ一駅の日本橋駅へ。日本橋駅からは東京メトロの東西線で飯田橋駅へ、飯田橋駅からは南北線で駒込駅へ向かうことになる。

「その年代記は比喩なのか何かの暗示なのか、興味深い表現を多用しています。たとえば、神域に星の舟は()()()()のではなく()()()()()と。またロートの民が結界を施したのは、星の舟の()()()()()()()()()()()()()だと伝えています。いずれにせよ年代記が語るのはここまでで、そして千年のときの間に、星の舟の記憶は再び遠くなっていったのです」

「だけど一九二三年九月、あの大地震で結界が揺らいだ……」

 ジシェによれば、このときルジェは〈ロートの追憶〉の位置を特定したという。

(特定したということは、おおまかな場所はそれよりも前から知っていたことになる——)

 ハルはパルノーに質問した。「この星に〈ロートの追憶〉が眠ることを、ルジェはいつ、どうやって知ったの?」

「時期については、一八八八年ごろと推定できています。ただ、どうやって知ったのかはいまだわかっていません」

「一八八八年……」

 元号でいえば明治二一年。何かが引っかかる。

 知っていることがあるはず。でも——すぐには思い出せない。

 ハルはドアの上を見上げた。

 そこには東京都交通局仕様の路線図があって、東京メトロの九つの路線より都営の四つの路線のほうが太い線で表現されている。右下から左上へ弓なりにブルーの三田線、右下から右上へ斜めにローズの浅草線、左から右へ横断するライトグリーンの新宿線、そして横長の楕円を描くパープルの大江戸線。

 なかでもパープルの楕円は中央にあってよく目立つ。もっとも、正確にいえばそれは楕円ではなく、パープルのラインは、左回りも右回りも都庁前駅に向かって合流する形になっている。

 ジシェの話によれば、円環(ロンド)のためにルジェが構築した環状地下空間は、直径一〇キロメートルほどもあるという。

 大江戸線と同じくらいの大きさだろうか——とハルは考えたものの、まるで想像がつかなかった。

(日本橋から飯田橋は東西線、飯田橋から駒込は南北線……)

 視線でスカイブルーのラインを飯田橋まで、そこから北へはエメラルドグリーンのラインを追って行く。これで東京の地下鉄十三路線のうち九つの路線に乗ったことになる。

 残りは丸ノ内線のレッド、千代田線のグリーン、副都心線のブラウン、そして大江戸線のパープル。

 それにしても都営新宿線の住吉駅から向こう、千葉県方面のやっつけっぷりがひどい。東京メトロ仕様の路線図でも多少は存在感あるのに。

 日本橋駅は、南北に並行する銀座線と浅草線のホームを東西線のホームが結ぶ形になっていて、浅草線の2番線から東西線へはホーム中央に直結した改札口を抜け、短い階段を降りればすぐ。浅草線は日本橋方面改札、東西線は江戸橋一丁目交差点方面改札。

 東西線も本数が少ない時間帯で、ポジヲの推奨に従い、待っている間にホームの端から端まで歩いていく。飯田橋駅の乗り換えで都合がいいらしい。

「でも、最近はスマホのアプリも充実してるし、便利になってるよ」とミチル。

(そのスマホアプリをひとつも起動しないで乗換案内できるポジっていったい……)モジャコは思い悩む。

 鉄ヲタ。

 中野行きの電車に乗って飯田橋駅へ。

「——僕たちの調査に間違いがなければ、クレン兄妹の兄ロカは、ほんの数日前まで公安組織に拘束されていました」

 ハルとモジャコは眉をひそめた。パルノーは説明を続ける。

「機密文書を格納した政府のサーバーに侵入した容疑です。入手しようとした文書はアクセスが厳重に制限された極秘のものであり、確実に禁固刑に処せられるレベルです。しかしどういうことか、バエル・ボヒーユという政府高官の権限で唐突に釈放されたのです」

「きな臭いね」とモジャコ。「もみ消す代わりに円環(ロンド)の再稼働を持ちかけられた?」

「おそらく……」とパルノーは答えた。「失敗したところで二人に責任を押し付ければいいわけですから、ボヒーユは痛くも痒くもありません」

「その極秘文書については?」ハルが尋ねる。

「おそらくは一〇年前の、ある事故を巡る資料ではないかと思います。封建的な色合いを残すルジェの社会でクレン家は名門の家系です。しかし一〇年前、ある王族の事故死を巡って両親に嫌疑がかかり、そのままクレン家は没落、両親もじゅうぶんに弁明できないまま数年後に病死しています」

「事故の真相に迫る資料……」

 飯田橋駅で南北線に乗り換える。

 JR線と(そと)(ぼり)が間にあるので東西線と南北線は少し離れている。けれども、いちばん前の車両から降りてすぐ目の前のエスカレーターで上がれば、飯田橋交差点方面改札はすぐ。そしてコンコースを少し歩いてほぼ直角に曲がり、階段を下りれば南北線の中央改札。

 南北線のホームまで降りると、天井まで届く透明なホームドアの向こうに浦和美園行きの電車が入ってきた。直通先まで行く最終らしく席はだいたい埋まっていたので、ハルたちは反対側のドアあたりに固まった。駒込駅までは九分ほど。

 そういえば——とモジャコ。「『アイル』って聞いて、パルノーはなんかわからないか?」

「アイルですか——?」

 パルノーの答えはジシェと同じで「思い当たるものが無い」。しかし——。

AISLE(アイル) ——①〔建築〕(教会堂の)(そく)(ろう)、(礼拝堂の)通路、②(列車・劇場などの座席列間の)通路」

 ミチル情報。

「通路を完成させる、通り道を完成させる。どこなのかはわからないけど、どこかに通り道をつくろうとしている、って考えると、意味は通らない?」

 確かに——という納得感はともかく、どうしてそんな単語を知っているのだろう……?

 ポジヲは得意そうにスマホに写真を表示した。

 写っているのは「7A 窓側 7B 通路側」と表記された何かのラベルで、「窓側」と「通路側」のそれぞれに、小さく WINDOW(ウィンドウ)AISLE(アイル) が併記されていた。

 いわく「E5系はやぶさに乗ったときに撮影した座席表示」とのこと。

(なんでこれをわざわざ撮るんだろ……?)

(首尾一貫というか、初志貫徹というか……)

 モジャコとハルは思い悩んだ。

 駒込駅で電車を降りて北改札を抜ける。5番出口から地上に出れば、午前〇時を回った街は静かだった。

 周辺一キロメートル四方の地図を表示すると中央、 右から左下がりに横切るのが山手線で、掘割の下を通る山手線を駒込橋でまたぐのが本郷通り。山手線ホームの西端にあたり、本郷通りの地下を走る南北線のほうは駒込橋を挟んで南北に改札を設ける。

 本郷通りは右にカーブを描きながら緩やかに下っていく。人通りはなく行き交う車も少ない。三〇〇メートルほど歩いて坂を下り切ったところが霜降橋交差点だった。

「……」

 ふと立ち止まって、パルノーは手首に装着した小型コンソールを操作した。

「どうしたでごさる?」モジャコの頭の上からジシェが覗き込む。

円環(ロンド)のコアを検知していない」

「存在してないってこと?」モジャコは怪訝に眉をひそめた。

「いまだ健在である以上、位相の変動をまったく検出しないというのは不可解です」

 とはいえ、顔を見合わせたところで答えは無い。


 九つの〈追憶のカケラ〉。

 ——九つ目は……?

 橋の名前を残したのは霜降橋停留場、現在の霜降橋交差点。東京駅八重洲口の通三丁目から日本橋、万世橋を経由し、湯島を通り抜けて本郷通りを北上、駒込橋を経由して王子駅前まで結んだ19系統が南北に通っていた。本郷追分から先は、現在の地下鉄南北線のルートに重なる。


 路面電車の停留場に名前を残した橋。

 ——霜降橋。()()川に架かっていた。

 ()()川は、染井霊園付近にあった長池を水源とし、不忍池に注いでいた川。上流は()()川または境川、下流は(あい)(そめ)川と呼ばれた。市街化の進行にともない、一九三〇年代に埋められたが、いまでも北区と豊島区、文京区と台東区の蛇行する区境に痕跡を留めている。


 交差点の南西の角でハルは携帯(おお)(ぬさ)を高く掲げた。

 足下から四つの正三角形で構成されたシンプルな立体、正四面体が回転しながら昇ってきた。立体はキラキラと輝く粒子を残して消えていく。

 すると、そこには不思議な容器が残るのだった。

 手のひらにおさまるくらいの碧い、半透明の球体。それ自体に光はないのに夜の色を映して虹のように輝き、見る方向によって表情を変化させる。半透明とはいっても容器そのものの色は濃く、中はほとんど見通せない。液体なのか気体なのか、傾けると何がゆっくり動いて見えた。

「メモリーカード……じゃない……?」

「ヴィルテ……」とパルノーはつぶやいた。「円環(ロンド)のエネルギー源です」

「それが取り出されてここにあるから、円環(ロンド)のコアを検知できなかったんじゃないのか?」モジャコは指摘した。

 おそらくそれは正しいだろう。

 ただ、何かが足りない——と、ハルは心がさざめくのを感じた。

 気づかなければならないことがあるはずなのに、それがわからない。

 ひょっとしたら、これはもうひとつの大きな疑問のせいかもしれない——。

 最後の〈追憶のカケラ〉がヴィルテだとすれば、セキュリティ解除コードはいったいどこにあるのだろうか……?

「ちょっと待て!!」

 不意に感じた猛烈な殺気に、モジャコは一歩前に出てハルを遮った。

 周囲を見渡す。けれどもその正体がまるでわからない——と、三枚目のカードを見つけたときと同じように、コルヴェナが目の前にいきなり出現した。そして、真っすぐモジャコに向かって突っ込んできた。

 すでに怪我を負っているのか、コルヴェナは額と口許から血を流していた。

(こいつ……!)

 モジャコはコルヴェナの動きがまったくわからない。

 身を低く急速に接近したかと思えば、コルヴェナはモジャコの間合いをあっという間に擦り抜け、躊躇なくハルに脚を振り上げた。

 とっさにリグナが間に入って受け止める。

「きゃっ!」

 ハルの手からヴィルテの格納容器が離れる。

 それを、コルヴェナは無理な姿勢のままにもぎ取ると、モジャコの反撃をかわして跳び退き、そして——消えた。

「な……!!」

 コルヴェナは忽然と姿を消していた。

「いや」と、ミチルはゴーグルを装着し上空を見上げた。「現れたときと同じように超高速で移動した! たぶん建物の上だ!!」

「フォルトヴか!? でも、あれは短距離の移動も連続使用も無理だって!!」

 ——が、大気に混じる血の臭いに気がつき、モジャコは言葉を飲み込んだ。

「無理を承知で強引に……? 確かにあいつ、どこかおかしかったけど、あれだけ奪っていったい……?」

「あ……」とハルはつぶやいた。

 頭の中で“アイル”という言葉と、電車の中で円環(ロンド)を想像しようと何気なく眺めたパープルのリングが重なる。

「はじめから、狙いはセキュリティ解除コードでもその復号キーでもなく、ヴィルテだけだったのかもしれない……。新しいコアを持ち込んで、秘密裏に別の環状地下空間で円環(ロンド)を展開する準備をしていたのなら、ヴィルテさえあればいい……」

「別の環状地下空間……?」

 パルノーは反論する。「まさか! 〈ロートの追憶〉を転移させるには巨大な空間が必要です! 彼らがこの星に降り立ったのは、ほんの数日前……そんなことが……!!」

「地下鉄の大江戸線という不完全な円を、新宿に通り道(アイル)をつくることで強引に完成させたら……?」

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