50. 姉と弟 前編
「見つけた……!」
ふぅ、とコレーは安堵の息を吐いた。ようやく見つけたのだ。ロイアルティーを取り戻す好機を。
公爵は通常自分の首につけており、盗る機会がなかった。だが、唯一風呂に浸かるときのみロイアルティーを外していた。
コレーは屋敷の見取り図を広げ、計画を立てる。だが、その間にも疑問が浮かぶ。
ーーあまりにも、簡単すぎる。
まるで獲物を釣るために用意された罠。だが、公爵が首のかけている時が一番安全なのだ。そして色々考えた結果、コレーはロイアルティーを盗るのを後にしようと決めた。
***
「後一週間か……」
リアンは窓の外をボーッと見つめていた。
「まだでしょうか」
すると気を利かせてくれたのか、イベルが紅茶を机に置いてくれた。
「ええ。まあ、仕方ないわ。なんの準備もないまま、たった一週間ちょいでロイアルティーを盗むなんて本来なら自殺行為だから」
自殺行為。あまりにも直球な言葉にイベルは呟いてしまっていた。
「他に方法はないのでしょうか」
「……さあ」
するとリアンは何か思い立ったのか、箱を抱えて扉に向かった。
「……ちょっと行ってくる」
あまりにも突然すぎる行動に唖然とするも、すぐ正気に戻り、慌ててリアンの後を追う。
「え!? ど、どこにですか?」
「偽物のところ〜」
ひらひらと手を振り、背中を向けてズンズン前に歩くリアンにイベルは叫んだ。
「ちょ!? せめて、せめて護衛を!」
だがイベルの悲鳴は虚しく消えていった。
***
コンコン、と扉が鳴り、誰だろうとアデルは扉を開ける。
「どちらーー!?」
驚愕のあまりハッと息を飲むと、その存在に声をかけた。
「お久しぶりです、姉上」
出来るだけにこやかに、そして不自然のないように。でもそれは次の台詞で一刀両断されるのであった。
「つい先日会ったばかりでしょうに」
その答えにハッとなるも時はすでに遅く、アデルはリアンを部屋に通した。
「使者を送らずにきてごめんなさいね。あなたがここにいる間に声をかけようと思って、慌ててしまったわ」
「いえ、僕の方こそ挨拶に行くべきだったのでしょうけど」
リアンはアデルがそれを言い終わった頃を見計らって、パンッと手を叩いた。驚いてこちらを見るアデルに笑みをプレゼントする。
「はい、終了〜」
「……え? な、何を?」
「ごめんなさいね。わたし、結構飽きっぽい性格だから、もう終わりにしましょう」
そう言ってリアンは例の赤い箱を取り出した。それを開けると、中には例の髪飾りがある。
「見覚え、あるかしら?」
一ヶ月ぶりの更新。遅くなってすみません。(土下座)




