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5.真夜中の会議


「帝国の第一皇子、ラディム皇子は一週間後に来るはずよ」


「それまでに衣装の準備など色々ありますから、忙しくなりそうです」


コレーはいつのまにか取り出した手帳にメモをしている。その手帳には今までのリアンの計画が全て書かれていた。


「本日中に仕立て屋が来る予定です」


「そういえばリアン様、こんな時間に部屋にいていいんですか?」


イベルが問うとリアンが言った。


「ええ。婚約破棄して疲れたから午前中は休みになったの」


「……絶対、「なった」ではなく「した」ですよね?」


リアンはイベルの訂正をスルーして続ける。


「午後から皇子さんの歓迎パーティーに参加する為のドレスを仕立てさせ、魔道具の交渉をやるわ」


リアンは魔道具を開発し、それを他国と取引していると各国で有名である。

その巧みな交渉術を次々と発明品を開発する様は超人であった。

故にこの国は魔道具で有名なのだ。


「今度は確かイドルイデ王国ですね」


「ええ。あそこは結構、魔道具の原材料をいい価格で交渉してくれるから好きよ」


リアンはニッコリとある意味黒い笑顔を見せる。


「リアン様、そろそろ着替えましょう。忘れていましたがそれは陛下の拝謁の為に来たものです」


「あら、忘れていたわ」


「忘れていたのではなく、放心していたのでしょう?」


リアンの顔が苦虫を噛み潰したように歪む。


「……そうだったわ」


「大丈夫ですよ、殿下。そんなこと、考える暇もなく予定パンパンですから!」


ランがリアンを慰めようと大声を上げるが、リアンは微妙な顔になった。


「…それはそれでなんか嫌ね。この際、魔道具に関すること以外、イベルに任せようかしら?」


「ダメですって!」


「あら、残念」


イベルをからかうリアンを微笑ましく思いながらも、コレーは時間がないと横槍を入れる。


「ではイベル様、出ていってください」


「はーい」


イベルが出て行くとサッと侍女たちは動き出した。



ようやく忙しさから解放されたリアンは夜中の会議を開始する。


「コレー、ラディムと帝国の情報は?」


コレーは書類に書いた内容をリアンに伝える。


「これは既にしてあります。まず、噂ですがとても横暴で女好きだとか」


「次」


「それにしては、帝国の現状は内乱が収まったばかりだとは思えないほどに整っています」


「次」


「どうやら第二皇子と第三皇子はまだ争っているようです」


「次」


「第四皇子は陛下のご寵愛が凄まじく、次の帝王は第四皇子なのではないか、という噂があります」


「……なるほど。イベルは?」


イベルもまた書類に書いた内容をリアンに伝える。


「コレーと同じような情報ですね。あとは第一皇子の評判は悪くないとしか……」


リアンはニヤリと笑う。


「十分よ」


リアンは視線をランに移した。


「ランはどうなの?」


「そうですね。朝廷では第一皇子派はあまり数を成さないとか。それに比べたら第四皇子は凄い支持を得ているみたいです」


リアンは立ち上がって言った。


「本日の会議はこれで終了するわ。何かあったら言って頂戴」


その言葉を合図に会議は終了した。





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