47. 短いティーパーティー
コレーがこの城を去った翌日、リアンはアデルとお茶していた。
「お元気でしたか、姉上」
「ええ。そちらは?」
「この通りです」
ここでリアンは仕掛けることにした。
「そんな堅苦しくなくとも良いですよ」
勿論、これはただの世辞である。まだ王族としての確認を取れていないアデルがリアンに気軽に接するなど問題である。
「ありがとうございます」
だが、アデルは引っかからなかったようだ。
(まぁ、公爵が連れてきたんだから、これくらい当然でしょうね)
仕方ないとリアンは別の策に移った。
「ところで」
その言葉にアデルは身構える。その瞬間をリアンは見逃さなかった。
「公爵に保護されていたようですね。公爵家はどうでしたか?」
「とてもよい場所でしたよ」
ここからだ、とリアンは気を引き締めるが。
「「………」」
さっきの言葉で最後だったのか、それ以上続かなかった。
(会話が続かない……)
おかしい。とリアンは思う。普通なら自分を支援してくれる相手を持ち上げてアピールするはずなのだ。それなのに、まさか感想が一言とは。
するとこの沈黙が辛いのか、アデルの方から話を切り出してきた。
「え、えーっと、あ、姉上はいかがお過ごしで?」
つまりに詰まってなんとか沈黙を破ろうとする彼が、どうしても公爵家の手先には見えず、一瞬本物じゃないかと疑ってしまい、リアンは考えるのを放棄した。
***
その頃のコレーと言えば、侍女のふりをして(実際侍女だが)無事潜入を成功していた。
(となれば次やることは、信用を得ること)
信用を得ることで活動範囲を広くしてロイアルティーを探しやすくするためだ。それに、とコレーは背後を一瞬盗み見る。そこには同じく侍女が仕事していた。こんな時期に入ったが故にスパイではないかと怪しまれているのだ。現在は他の新人と一緒に泳がされている。でも、それに時間をかけすぎてはいけない。コレーは期限までの時間と、それまでにロイアルティーを入手する手順から時間を割り出す。
(とりあえず、一週間ぐらいはおとなしくしましょう)
そう心に決めると、ふとコレーは足を止め、窓の外を眺めた。外では庭師がせっせと庭を整えている。信じると決めても、やはりリアンのことが心配で、頭から離れなかった。
(今頃リアン様はアデル様とお茶してるはず。リアン様は溺愛しておられた弟君を偽物にすり替えられたのを怒っていた。あまり無茶しないといいのだけれど……)
コレーはこっそりため息を吐くと、これ以上怪しまれないように気合を入れ直して掃除に戻った。




