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45. 覚悟


お披露目会は夜中まで続いた。そしてこういうことがあまり好きじゃないリアンはこのお披露目会の主人公じゃないのをいいことに挨拶を一通り終えたところで自室に戻った。

そして早速作戦会議に入っていた。


「……は? 保護された王子は偽物?」


「ええ。そうよ」


「……っ!」


イベルは驚きのあまりすでに着替えを終えソファーに座るリアンを凝視した。

その横ではランやコレーまでも目を丸くしている。


「……マジですか」


「なんでわかったんですか?」


「んー。勘?」


「……は?」


「まあ、いくつかあるけどほとんど勘ね。一つ、あまりにもタイミングが良すぎる。二つ、よそよそしい。三つ、なんか違った」


「な、なんか違ったって……」


「それはそれとして……偽物ならやりようがあります」


コレーのセリフにリアンは頷いた。


「ええ。今から二週間後にある認定の儀で引っかかればわざわざ票取りしなくてもいいからね」


そこでランがおずおずと手を挙げた。


「あの、認定の儀とはなんですか」


「知らなくとも無理はありません。王家の子供の中で特殊な子、例えば養子とかに使われるものです。特殊な宝玉に手を置き、宝玉が光れば王族として認められる儀です」


簡単に言えば、今まで王族じゃなかった人が王位継承権を得るための儀式だ。


「王家の魔力のみに反応するので、養子の子は事前に体内に魔力を注がれますが、この場合はどうするんでしょうね」


アデルは王族だが、偽物なら話は別だ。なんらかの裏工作でもしない限り宝玉が光ることはない。


「そんなの、ただ触れるだけで魔力を注ぐわけじゃないから、何か王族の魔力が込められたものを装備すればあっさり通過できるわ」


「……そんなもの、あるんですか?」


イベルの疑問は正しい。そういうことを防ぐために王族が魔力を晒すことなど滅多にない。だが、それにリアンは即答した。


「あるじゃない。王族の魔力が込められた、公爵が持っているもの」


「……あ」


そう、ロイアルティーだ。


「不味くないですか、それ」


その言葉にその場にいた全員が顔を強張らせた。


「ええ。だから、こちらとしても是非とも取り戻したいものです」


「是非とも密偵をよこしたいところだけど……生憎ヤバライカに一掃されて人員不足なのよね……」


するとコレーは少し考える素振りをしてから言った。


「リアン様、いえ、殿下。わたしが行きましょうか」


「ッ! コレー!?」


その言葉にリアンは驚いた。確かにコレーは侍女でありながらもやはりリアンの従者だけあってそういうのは訓練済みなのだ。


「これは大変重要な話です。信用できるものがいない今、わたしを利用ください」


その言葉に慌ててランが立ち上がる。


「そ、それだったら……!」


「先程言ったようにこれは重要な仕事です。あなたは密偵に向いていません。それにイベルはリアン様についている必要があります」


確かにランは嘘が苦手で仮に潜入してもバレる可能性が高い。バレた密偵の最期は悲惨だ。そしてそれはコレーも例外ではない。


「コレーは……それでいいの?」


「はい。殿下のお役に立てて光栄に存じます」


「………」


リアンは無言だった。こういう時は何かを我慢している時だと知っているコレーはリアンの手を取った。


「では、約束しましょう。わたしは必ず生きて帰ると殿下に誓います」


やはり長い間側にいただけあってリアンのことをわかっているようだ。流石にそう言われてしまえばリアンに断る理由はない。


「……最善を尽くして」


「承知いたしました」


その様子を従者二人は心配そうに見守っていた。




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