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うちの王女殿下は女王になる為なら手段を選ばない  作者: 白
第二章 喜べぬ再会と仕事
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38. 無謀な取引


お茶会終了後。心配性のイベルがリアンが敵地に突っ込むのに、いつものように反対の声を上げる。


「ちょっ、正気ですか!」


「正気もなにも、私以外にできるとでも?」


シェターニアを人質にとれた相手は冷静になっている頃だろう。それで交渉の席に従者を置いても、追い返されるだけである。

だが、それをわかっても、主人を危険なところに突っ込ませるのは従者としても避けたいところである。


「確かにそれはそうですが、確実に罠でしょう!?」


「あら、他になにが方法があって?」


イベルは思考を巡らす。交渉できないなら危険覚悟で正面突破、もしくは裏からだが……正面突破は未だシェターニアが偽物だと確固たる証拠が出ていないため、大義名分がない。大義名分がないのに迂闊に突っ込むのは危険。裏だと後々シェターニアが王になるときに支障が出かねない。

やっぱり、交渉につくのが一番いい案である。


「……あ、りません」


「なら、口出ししないで頂戴」


「それと、交渉の席には私とコレーにするから」


「……え?」


ポカンと口を開けて突っ立っているイベルにリアンは小さいスティックを投げる。


「ほれ」


ぽんっと手に収まったそれは確かジルクとの婚約破棄で散々お世話になった、


「これは……盗聴器?」


があった。


「ええ。リアルタイムで私の持っている盗聴器で得た情報が、そっちにいくようになってるから」


リアルタイムとは進化したようだ。その説明を聞いてイベルの目は遠くを見つめる。


「もう、なんでもありですね……」


「そうでもなくてよ? 魔道具じゃ直接婚約破棄できないし」


「それできたら、やばいですって」


「まあ、そういうことだから、よろしく」


いかにも自然な動作のあまり一瞬行動が遅れたイベルは急遽立ち上がる。


「は? え、ちょっ、何がそういうことだから、ですか!」


そのまま部屋を出たリアンの後ろ姿を見つめて呟く。


「まったく。こうなると、とことんやり通す人なんだから……」


イベルはぐったり肩を落としてリアンと反対の道に歩いていった。




***




リアンはそのあとすぐにシェターニアとの面会を求めた。

予想より早く面会が通され、やはり罠だと実感した。


「本日はどのようなご用件でしょう?」


そう言って首を傾げる彼女は本当によくシェターニアに似ている。


「シェターニア様を、返していただけませんか」


「ふふ、やはり気づきましたのね」


そう言って笑う彼女には驚きのカケラもない。

予測通りだったのだろう。


「あれで気づかない方がおかしいというものです」


「これでも、意外と気づかないものなのですが……良い観察眼をお持ちのようで」


「姉には敵いませんが」


「あの方は異常でしてよ?」


「そうですね」


「無駄話はこれで終了。シェターニアについてですが……条件がございます」


リアンは軽く目を見張る。

まさかこんなにあっさりいくなんて思いもしなかったからである。


「蒼の石を代わりに預かります。これがわたくしたちが最低限提示する条件。これができない場合には、この件は無かったことに」


リアンは今度こそ言葉を失った。

蒼の石とは、アングニュートルが同盟の儀で使うものの名だ。

シェターニアを渡す代わりに同盟の儀を諦めろというもの。

つまりは、王位継承権の争いに興味はないということだ。


「わかりました。……コレー」


リアンはコレーに合図を送る。

元々、目的はシェターニアを王にすることであり、同盟の儀はおまけだ。

それに預かっていると言っているには、時が来れば必要なくなるのだろう。

それに、とリアンは内心ほくそ笑む。

今は好きに笑っていればいい。

だが、私は必ず玉座を手に入れる。

その時に貴方たちは、今みたいに笑っていられるかしらね?




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