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うちの王女殿下は女王になる為なら手段を選ばない  作者: 白
第二章 喜べぬ再会と仕事
32/53

31. 警告


翌日。


「リアン……。きみ、昨日はホントなんてことをしてくれたんだい」


エランは頭を抑える。どうも、朝から頭痛がするのだ。


「それはこちらのセリフです、姉上。あなたこそなんてことをしてくれたのですか!」


そう言い返すリアンも頭を抑えている。

これは昨日のランの料理が原因であった。


「ランの料理を手伝っただけだよ」


リアンは「あなたが手伝うから、余計に悲惨なことになるのでしょう」という言葉を呑み込み、呆れた視線を遣す。


本来のランの料理なら、食べて寝た翌日にはあまり支障はないが、エランが手伝うと、暫くこの頭痛が続くようになるのだ。

ランの料理は下手だが、エランはそれ以上に下手なのだ。

尚、本人は正常な味覚を持ちながら、自分が料理が下手なのに気付いていない。

なぜなら、エランが手伝う相手がランだけに限られているからだ。

ラン自体が下手なのに、そこに自分が手伝っても自分が苦手なことに気づけないのだ。


「そもそも、なぜ姉上はこちらにいるのです」


今リアンたちがいるのは、リアンの執務室だ。

リアンは頭痛がする中で、必至にペンを走らせている一方、エランはソファーで寛いでいた。


(本当なんなのよ、この差は。できることなら私だってソファーで寛ぎたいわよ!)


思わずペンを強く握る。


「妹の様子を見るついでに、昨日の苦情を伝えに来た」


エランがそういう間にも、ペンはミシミシと不吉な音を立てる。


「そんなに強く握ると、折れるよ」


ボキッ


(……しまった)


「わぁー。とんだ怪力姫だ」


まさか本当に折るとは思はなかったのか、エランは目を見開いている。


「あ、そうだ」


突然、思い出したように、エランは懐を漁る。


「これ、あげる」


エランがリアンに渡したのは、一封の手紙だった。


「これは?」


「まあ、見てみて」


「………」


それには、この大陸の北に位置する小国群の政情が事細かに記されていた。

小国群は四つの国があり、よく戦争を起こしている。

なので、いつも定期的に姉から情報をもらっている。

アングニュートルはこの小国群から遠く、得られる情報が限られるためだ。


読み進むにつれ、リアンの顔は次第に険しくなっていく。


「ヤバルガがやけに大人しい……」


ヤバルガは小国群の東に位置する国で、この四国の中で一番疲弊していない国だった。

国境での小競り合いはしているものの、他の国を攻めるようなことはしていなかった。

ここ二ヶ月はずっとそうだ。


――何かが引っかかる。


何か、大事なことを見落としているような……


「それより、うちに来る準備はどう?」


リアンはハッと正気に戻った。


一見、この質問は妹が自分の国に来るのに楽しみにしているようだが、その真意を見抜いたリアンはニヤリと笑う。


()()()()()()ちゃんと出来ているわ」


「それは何より」


エランは満足そうに頷く。


「それとさ、気をつけた方が良いよ」


リアンはなんのことか咄嗟に思いつけず、首を傾げる。

エランはニヤリと笑った。


「どうやら、今回の連中は相当な手練れのようだ」




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