26. 後始末 後編
「さて、どこから話し始めましょうか」
ラディムは女王の証拠集めは大体どうやったか予想がつく(似たようなことをやっている)のでスルーし、コーリスの件は、コーリスがこの事件の中心らへんにいるので、利用するかもしれない、いや、確実にするだろうから頻繁に手紙を送り、やりやすいようにしたからそれもスルー。
だとすればとラディムは答えを出す。
「いつから、父上が犯人だと?」
「疑っていたのはリアンが襲われたと知った最初からですが、確信したのは二度目の時の反応ですね」
ああ、なるほどと、ラディムは納得した。
「普通なら、大使を裁判にかけ、その罪を明らかにしたときに初めていろんな対処をしますが、罪が明らかにならぬように首で帰ってきましたね」
「父上はコーリスのこととなると、前が見えなくなるから」
「確かに、それはありますね」
女王はリアンをチラリと見た。
リアンは呆れた顔をしていた。
「もう一つ聞く。いつから娘と結託した」
「結託した、というよりかは会議後に尋問して、強制的に協力させましたね」
これは国同士の問題であって、もはやリアンだけでは駄目だと判断したのだろう。
確かにリアンはいつ、どこで、何を仕掛けるかわかったものではないから、その行動は正解だっただろう。
「さて、本命に入りましょうか」
その一言で、この空間が緊張でピリピリし始めた。
ラディムがここに残ったのには二つ理由がある。
一つは女王に手口を明らかにしてもらうこと。
もう一つは、今回の事件についての後始末(交渉)である。
「王国側は何を望む」
「帝国との平和条約、それに伴って同盟国となってもらいたい。……ついでにリアンの婚約破棄を」
(ついでですか……)
リアンは女王をジト目で背中に穴が空きそうになるまで見たが、当の本人は全く気にせず、話を続ける。
「それから、先日送られた見舞金の全てを返します」
(なるほど……これはやられた)
帝国は内乱が終結したばかりで金銭に全くと言っていいほど余裕がない。
そんな中で多額の見舞金が返されたら、しばらく王国には頭が上がらなくなる。だが、他に金を集める手段がほとんどない。あっても、時間がかかるし、金庫の金はほとんどが軍事と見舞金で消費されたため、ほぼ空であった。
つまりは、この話を断ることができない。それをわかっていて、女王は返却を申し出た。
さらに、同盟国となるには両国の王太子が行うもので、王国でそれに近いのがリアンのため、必然的にリアンが出ることになる。今、王国のみからずいろんな国でナレイアス事件の色んな噂が流れているため、リアンが出ることにより噂の牽制、何よりラディムは濡れ衣を一時的にとはいえ着せられたため、今は多少帝国の権威が落ちても、すぐ回復が可能になる。
(そんでもって、ちゃっかり婚約破棄ときた)
ここまで出来ていたら、もう後は「これ以上、王国に貸しを作るわけにはいかない」だの、「今の帝国には勿体無い」とでも言えば済む、というか、済んでしまう。
女王のことだから、ここまで全て計画通りなのだろう。
恐ろしい。
「承知した、父上に話をつけておこう」
「頼みましたよ」
「失礼する」
ラディムは会釈すると、その場を去った。
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