―14― ***朱に交われば――
赤になれる、赤になりたい、友也の色に染まりたい。
あの頃の想いと、今の想いに大きな差がないことが凛の誇りだった。凛から失われていなかった純粋なエネルギーは、枯渇することなく現在も凛を突き動かす。
完全に街灯がなくなってから随分経った。うねる道が多くなるほど、鎮む森が濃くなっていく。それでもまだ舗装された道を進んでいた。その舗装も、ところどころ自然の生きる力に形を変えられている。あるところで凛は舗装された道を外れ、砂利道を走りだした。
もう少し。もう少しでたどり着く。そこは、友也との思い出の場所。
友也に手を引かれ、凛は歩いていた。まだ名前すらも知らない男だったが、暗闘の余韻で他人とは思えなくなっていた。友也は沈黙している。言葉を超えるものがあるとしたのなら、もしかしたらそれは闘い、死と生の極限の衝突なのかもしれない。
やがて一台の車に二人は辿り着いた。沈黙のまま、友也は解錠し、凛の手を引いて車に乗せた。車も友也にならったのか、黙ってはしり出す。車のハンドルを握る友也の横顔を、凛は見つめていた。
車は、幻想的な絵画を黒のクレヨンで塗りつぶしたような深い森に辿り着いた。
そのまま、凛は友也に女にされた。知らない世界だった。知るべくもない世界だった。強引なまでに突かれるその事態が、けれども不快とは違う感情をもたらした。
果ての後、友也は車内灯を照らした。オレンジがかったその光に包まれる友也は、優しく赤い色になっていた。それから凛は友也の赤に恋い焦がれている。




