第7話 才能ある奴は大抵闇落ちする
約、二ヶ月後。
この世界の文字はライアのおかげで、ほぼほぼマスターした。
魔法についても、コテツのおっさんや父さんのおかげで、大分出来るようになった。
今なら、岩も木刀で切れるし、獲物を見つけた時もそっちで狩る方が多い。
これで俺もやっと中級魔法使いになれる!
遊び人から卒業して、賢者になれる!
そう思ってたけど、そんな甘くはなかった。
中級魔法、それは身体能力の一時的な強化。
例えるなら、脚力を強化して高くジャンプするなどが出来るようになったり……
正直に言おう。
俺はメラガイアーが使いたい!
メドローアが使いたい!
ルーラが使いたい!
ゲーム違うけどアルテマも使いたい!
とまぁ、コテツのおっさんに泣きついたら……
「ミンウの死も知らずにアルテマなんぞ使えるものか! お前はラスダン手前で詰んで、ウボァーって叫んでろ!」
て、怒られた。
そこまで言わなくても……
てか、FFまでこの世界には存在するのか……
しかも、名前まんまだし……
まぁ、そんなこんながあって早二ヶ月もたってた。
「さて、今日はなにをするかのう……」
「ソラ君、もうほとんどの文字が書けるようになっちゃったし、魔法も普通に上手だから、今できることはほとんど教えちゃったし……」
「うーん……なにか話そうと思っておったのだが」
ライアとコテツのおっさんは、そんな事を言って唸っている。
「まぁ? やっぱり才能ってやつが? あるのかなぁって? 思っちゃったりして?」
「鏡持ってきてあげようか……すっごい腹立つ顔してるから」
「しかし、才能があるのは本当の事であるな。 儂も驚いておる」
「やっぱり?」
「だが、才能がある奴に限って闇落ちしやすいからな。 サ◯ケしかり遊◯王しかり」
「遊◯王は違うだろ!? 確かに闇だけれども」
「復讐! だとか、兄さんの仇! とか、勝手に突っ走って? マジで迷惑だよね」
「それ全部サ◯ケの事だよね!?」
「急に火影になるとか言い出して? 良いところばっかとって? ウザいよねぇ」
「オィィイッ!! もう止めろ! もう止めろ!! これ以上はファンに殺されるぞ!」
「しかも……」
「もう良いじゃん!? 最後は帰ってきたじゃん!? 良い奴になったじゃん!? それで許してあげようよ!?」
「……まぁ、そうじゃな。 映画では丸くなって良い奴になっていたしな」
「…………」
「…………」
「で、なんの話してたんだっけ」
「あんたらが闇落ち云々言って話そらしたんだろうがァ!!」
「おお! そうだった! 明日、基本魔法学校に卒業資格について話てみようって事を言おうと思っていたんだった」
「卒業資格?」
ああ、そういえばそんな話前にしてたなぁ……
「で、明日昼ぐらいにここに来れるか?」
「ひ、昼!?」
「ん? なにか用事でもあるのか?」
「い、いや……」
昼……まだ、父さんも母さんも起きてる時間だ。
しかも、父さんに限っては、その時間は俺につきっきりの状態……そんな中抜け出すのは……
はぁ……言うしかないか。
「わかった。 帰ったら父さんと母さんに相談してみる」
「あれ? まだ親に話してなかったの?」
「まぁ、色々あって……」
ライアとおっさんにもその内話さなきゃな……
「じゃあ、俺今日はとりあえず帰って話し合ってみるから……」
「その必要はない」
「「!?」」
この声!?
俺は声のする方へと振り向き、目を凝らした。
「毎晩縄張りを黙って抜け出していたのか?」
暗闇の中から、うっすらと見えたその姿は、予想していたドラゴンの形ではなかった。
人間……いや、でもこの声……
「あまり我を……お母さんを心配させないでくれ……ソラ」
「……父さん……?」
「ソラ……この獣人達はなんだ……」
声のトーンからして、機嫌はよろしくないみたいだ……
「その……」
なんて説明すれば良いんだ……
言葉に詰まっていると、先に父さんが口を開いた。
「……我は、別に怒っているわけではない……むしろ、その逆だ……」
「え……?」
「すまぬ……ソラ」
父さんはそう言うと、その場に膝をつき頭を下げてきた。
「ちょ、ちょっと! なにやってんの!」
俺は急いで、父さんに近づいて頭を上げさせようとした。
しかし、父さんはしばらくの間ずっと頭を下げたまま、顔をあげようとはしなかった。
いや! ちょっとまって! なんでこうなってんの!
「ソ、ソラ君のお父さん、ですか? あ、あの〜なにがあったかわからないんですけど……とりあえず落ち着きましょう?」
「まぁ、その顔を上げてください……儂らも急に頭下げられても……」
ライアとおっさんが気を使ってくれたのか、優しい声で父さんにそう言った。
二人共……ありが……
「貴様らに頭を下げているのではない。 され。 獣畜生どもが」
「ちょっ! 父さんッ!?」
「け、獣……」
「畜生……」
二人は父さんの急な態度の切り替えに目を皿にしている。
「あなた、失礼でしょう。 そんな事言ってはいけませんよ」
その声の後に、空から綺麗な女性が落ちてきた。
「母さん!?」
後ろから、小声で会話が聞こえてくる。
「親方……! 空から女の子が……!」
「女の子って言うか、天女ですよ……! コテツさん……! あれはヴィーナスですよ……!」
ジ◯リに天女にヴィーナスってなに!?
少しは統一しろよ!!
「驚かせちゃってごめんね。ソラ。とりあえずお父さんが落ち着いたら二人で説明するから」
「う、うん……」
ご閲覧ありがとうございました!
ブクマが一つ減ってテンションだだ下がりしてるんですが、皆様に二つ謝らなければならない事があります。
まず一つ。
先週投稿できなくてごめんなさい!
そしてもう一つ。
前の話の後書きで、今回が最後の時間飛びとかって言いましたけど、あれ嘘です!
多分……
はい! ごめんなさい!
あ、それと、もう一つの連載小説の「ナーガ・ラージャ」の方は、こっちの今の章が終わり次第上げていきたいと思っておりますので、もし興味がある方は……
て事で! また来週会いましょう!
……今回本当はシリアスで行こうと思ってたんだけどなぁ……(小声)