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クズはクズ箱の中でもクズでした  作者: モモノ猫
1章 自覚なき者
9/45

9話 続・クズは恩を仇で返す

「魔力の波動を感じません。

 もしかして、それは共有魔法ですか」


 空間に小さな穴をあけた俺に

 魔獣ちゃんが聞いてきた。


「ああ、知り合いから借りた力なんだけどな

 見ての通りしょうもない力さ」


「人間さん、それは違います。

 空間に影響を及ぼす力なんて並大抵の物ではありません。

 もう少し自信を持ってください」


 力強く力説する魔獣ちゃん。


「それに、共有魔法とは絆の力です。

 人間さんはどこでその力を手に入れたのですか」


 魔獣ちゃんが羨望の眼差しを向けてくる。

 そこまでの事なのか?


「とある暴君もとい姫様に力を頼んだら貰えた。

 そのおかげで… 姫様とは喧嘩別れだけどな」


 俺は今悲しい顔をしているだろう。

 魔獣ちゃんには見て欲しくない姿だった。


「姫様さんの事が好きなんですね」


「ああ、あれは良い女だ。

 まだ抱いてないけどな」


 魔獣ちゃんが顔を赤くする。

 カワイイ奴め。ニヤニヤ


「安心してください。

 姫様さんは少なからず人間さんの事を思っていますよ。

 共有魔法は伊達ではありません。

 有無を言わさず相手に自分を預ける事ができますか?

 共有魔法は授けた相手に自分のステイタスを一部貸し与えます。

 この意味が解りますよね?

 姫様さんは人間さんが好きなんですよ」


 こいつ、断言しやがった。

 少し思案してみる… 姫様が俺を好き?有り得るだろうか?

 有り得ないよな。俺はそう結論付けながらも、心が少し軽くなるのを感じていた。



「そうと分かれば人間さんは、死ねませんね。

 私も微力ながら協力します。元々が私情です」


 先ほどまで、おどおどしていた彼女はもういない。

 きりっとした顔が頼もしいものに思える。


「お願いできるか?

 正直、どうしようもない理由があってな、猫の手も借りたい状況だ」


「猫よりお役に立つ事をお約束します。

 人間さん、私と主従の契約をして下さい」


 ???

 何を言っているんだこの子は…

 主従の関係?この子、ムッツリなのか…


「待て!

 魔獣ちゃん自分を大切にするんだ。

 魔獣ちゃんの趣味については何も言わんが、好きな人ができるまで待て」


「え? えーーーーー?

 何を勘違いしているんですか人間さん!!」


 魔獣ちゃんが涙目で抗議してくる。

 ものすごいカワイイ光景が俺の前で繰り広げられるのだった。


 勿論、主従の関係とは奴隷契約ではなかった。

 眷属としての契約で、俺に特別な力を付与できるとの事。

 まーね、知ってたけどさ。少しぐらい期待してもいいでしょ?

 まあ、大きく育つまでの我慢だ。

 早く大きくなーれ、俺は心の中でお祈りするのだった。



 ◇



「準備はいいですか」


「大丈夫だが、本当に俺でいいのか」


「私の慧眼を舐めないでください。

 ナナシさんはきっと良いご主人様になります。

 では… いきますよ」


 魔獣ちゃんが俺の前に跪く。

 先ほどまでとは違い、真剣な顔をしている。

 意を決したように、自身の手を強く握る。

 そこから赤い雫たれる。

 雫が床に落ちるとそこから魔獣ちゃんを中心に魔法陣が広がった。

 

 おい… これって。

 それはこの世界に来る前に見た光景に似ている。

 多少違いはあるが、あの時の光景とダブって見えた。


「すいません、ナナシさんも血を捧げてください」


 やはり違う儀式か。

 前はそんな事しなかったはずだ。

 俺は指に歯を充てると思い切り噛む訳なかった。


「無理。そんな事したら痛いじゃないか」


 ポカーンと魔獣ちゃんがこちらを見ている。

 気を取り直したのか、立ち上がりこちらに近づく。


「失礼」


 言うが早いか、魔獣ちゃんの指が俺の指をなでる。

 そこには、一筋の傷ができていた。

 こわ… この子、怒らせたらアカン奴や…

 

 俺が呆気にとられる中

 魔獣ちゃんが元の位置に戻り俺の血の付いた指を床に擦り付けた。

 そんな汚らしい物を拭く様にしなくても… 少し悲しい。

 そして儀式は続く。


「私、クフェルメリウスは

 永遠の従属をここに誓います」


 すごく、重たいです…

 意味わかって言ってるのかな?

 クフェの目がこちらを見ている。


「口上は適当でいいので、何か一言お願いします」


 適当でいいのかよ!!

 突っ込みを入れてしまった。俺遊ばれてないか?


 クフェの幼く透き通った瞳が何かを期待していた。


「ああ、クフェはこれから俺の眷属だ」


 俺は無難に了解を示した。


「はい!」


 魔法陣が凄まじい光を放つ。

 クフェが一度見えなくなる程だった。

 魔法陣の光が消えていく。

 そこにはクフェは満面の笑顔があった。



 ◇



「それでは、ご主人様。

 一緒にステイタスを確認しましょう。

 すごく強化されているはずですよ」


 クフェが楽しそうにねだってくる。


「どうやって見せればいいんだ?」


「失礼しますね」


 クフェが俺の胸に手を当てて目を閉じた。

 しばしの沈黙が訪れる。

 布越しに当たるクフェの手が少し気持ちよかった。



 ―――?

 沈黙が長すぎる。

 クフェを見ると目を開き固まっていた。


「うそっ… 

 私のご主人様、ステイタス低すぎ…

 私の慧眼…」


 そんな事を、うわごとのように呟くクフェだった。



====================================

 ナナシ 21歳 男 人間 


 レベル:1

 HP :1/1

 MP :0


 筋力 :3

 体力 :4

 敏捷 :12

 魔力 :0

 耐久 :5

 耐性 :3


 next :?

 経験値:192600


 スキル  :眷属支配(lv1)

 共有スキル:闇の羽衣★

 共有魔法 :獄卒の腰袋(lv1)


 称号 :神の子の主人

 特性 :地獄の囚人 獄卒の不興 罪の代償 即死耐性★

====================================

====================================

 :スキル:

 眷属支配(lv1)

「眷属所持の証。眷属への命令効力はレベルに依存」


 :共有スキル:

 闇の羽衣★  

「強力な擬態能力を持つ。また、完全に闇化する事ができる」

====================================

・・・まだ続きます

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