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クズはクズ箱の中でもクズでした  作者: モモノ猫
1章 自覚なき者
8/45

8話 クズは恩を仇で返す 下

 ドン!

 ドン!ドン!


「ああ… たくようー、いてーな」


 意識が少しづつ覚醒していく。

 頭がずきりと痛む。

 そこは、懐かしの牢… いや、鉄格子がない。

 壁と床は石畳でできており、ごつごつして痛い。

 入口であろう場所には分厚い木板の扉がある。

 ここは地下の物置って処かな…


 床に寝かされている俺は、意識がはっきりしだしたところで

 肩に蹴りをくれていたであろう人物の方を睨む。


「おー怖い。

 その目は良くないぞ、ナナシ君」


「アニ、あんた… やってくれたな」


 寝ながらアニを見上げる。

 アニは数人の男性を連れていた。


「なーに、全ては村の為だ。

 お前にはあれの怒りを収める為の贄になって貰う」


 だろうな。

 予想通りすぎて何も言えない。


「クフェルメキア… あれはもう神などではない。

 我を見失った哀れな魔獣だ。

 まだ村には手を出してこんが、何時気が変わるやもしれん。

 なんせ原因が我らにあるのだ。そこを見ろ」


 アニが、指さす方に目を向ける。


「なん… だ? ありゃ」


 そこには物置を照らす灯りを跳ね除ける闇があった。

 黒く濁り淀んでいるそれは、どこか姫様の瞳に似ていた。


「『這いよる闇』という種の魔獣だよ。

 そしてクフェルメキアの子だ。

 ナナシ君。君は悪い子だ。

 どうしてそんな魔獣を攫ってきたんだい?

 ダメだじゃないか、そんな事をすれば神の逆鱗に触れる事ぐらい分かるだろ?

 諸君、ついに我々は神の敵を見つけた。これで安心だ」


 アニの宣言で、村人たちが安堵の息を漏らす。

 おいおい、茶番すぎるだろ…


「明日だ。明日には全てに片が付く。

 本当に助かるよ。ナナシ君。お前の犠牲は忘れん。

 諸君、我々はこれから祝杯だ。みなを集め楽しもう」


 そう言い残すとアニ達は物置から出て行ってしまった。

 鍵を閉める音を最後に、静寂が物置を包みだした。



 は?

 あいつ等は馬鹿なのか?

 なんで余裕こいて、俺に時間をくれているの???

 舐めプにも程があるだろ。

 とりあえず考えるのをやめ、抜け道を探す事にした。


 抜け道はなし…と。如何したものかな。

 物置の物色しながら、闇の方を見る。

 見なかった事にはできないよな。


「あの、そこの魔獣さん… 話とかってできますか?」


「…」


 やはり無理か… 俺には関係ないしな、ほっと・・


「話せますよ、人間さん」


 話せちゃったよ。どうするの?

 放置しておけばよかったと少し後悔する。

 共闘でも、持ちかけてみるか。


「魔獣さんは逃げないんですか」


「私が逃げると人間達が殺されてしまいます。

 それに鎖で繋がれていますから」


 他人の心配をする優しい子だった。

 しかし、闇を鎖でつなぐ??魔法かな?


「どうやって繋がれているんだ?魔獣さんは闇だろ」


「人間さんは良い人間ですか?」


「俺は良い人間だ」


 勿論、即答である。

 すると闇が薄れだした。

 そこには鎖に繋がれた少女の姿があった。


「チッ!」


「ひぃ!」


 少し幼いな。

 魔獣さんは魔獣ちゃんだった。

 俺の舌打ちに、魔獣ちゃんは怯えていた。


「大丈夫だ。襲ったりしない。攻略対象外だ」


 薄汚れてはいるが、おそらく後の美人さんであろう少女。

 もう少し大きくなってからの方が俺の好みだった。

 おどおどする姿を見て、少しだけ強めに出る事にする。


「おい、逃げるぞ」


「でも、母様の怒りでみんな死んじゃう」


「お前を攫った相手だ。どうなっても良いだろ?」


「違うの、怪我しているところを助けてくれたの。

 それで看病もしてくれて、私感謝しているわ。

 母様は、帰らなかった私を心配して探し回っているの。

 でも今は帰れない、母様は怒ってる。

 ああなると母様は怒りを出し切るまで止まらない」


 魔獣ちゃんは自責の念にかられ俯いてしまった。


 おいおい、ガキに面倒事を背負わせすぎだろ?あの爺婆共。

 老い先短い人生なんて捨てて母親に娘届けろよ。

 最後まで面倒を見切れないなら、手を差し出すなっての。

 俺は、呆れてため息をついた。


 

 ―――ああ、そうだよ。

 怒りなんて知るかよ、なる様になる。

 覚悟を決め魔獣ちゃんに話しかけた。


「怒りを鎮めるくらい俺には楽勝だぜ。

 なんせ、俺は神から娘を攫った男らしいからな」


 適当な事を言い。彼女を納得させるつもりだ。

 なんせ後の美人さんだしな。恩を売って損はない。


「ダメです。それは嘘です」


「嘘をつき通せば嘘のままってな

 真実になんかなるわけない。

 でも、世界にとって都合が良かったりするんだよ。

 こんな話、魔獣ちゃんには少し早いか?

 要は誰が尻を持つかって事だ。

 それが偶々俺だっただけだ。

 余計なこと考えるなって、俺に任せろ」


 不安そうな顔が少し可愛いな。グフフ…将来が楽しみだ。



 ◇



 結局、物置を見渡したが使えそうな物はなかった。

 後は…


 『獄卒の腰袋』… やっぱ、これっきゃないでしょ。

 とりあえず使ってみるか。


 腕を突き出し。頭の中で叫ぶ――― 獄卒の腰袋!!



 ・・・何も起こらない???


 いや違う。突き出した腕の先。

 そこには空間が歪み。小さな穴が開いていた。


 え?

 しょぼくね?

 一抹の不安が俺を過るのであった。

はい… 言いたい事はわかります。

「下」で話が完結していません。

本当に申し訳ございません。

話が膨らんでまだ執筆中です。

もうしばらくお待ちください。

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