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クズはクズ箱の中でもクズでした  作者: モモノ猫
1章 自覚なき者
6/45

6話 クズは恩を仇で返す 上

「ダメでした」



 頭を地面に付け、涙を流しながら、土下座の体制をとる。



「腹案とやらは如何した?クズ」


「万策尽きました。

 姫様、どうかお助けください」



 涙交じりに答える。

 勿論、嘘である。そもそも腹案など存在していなかった。

 バレていない事を前提に話を進める。



「力が無さ過ぎて、何も盗めません。

 力が無さ過ぎて、何も持ち運べません。

 力が無さ過ぎて、相手に殴り殺されました。

 俺、悪い盗賊じゃないのに、あいつら殴りやがった!!

 俺は全裸だったんだぞ!どこに悪意があるって言うんだ!!

 すべて包み隠さず見せてたつーの」



 感情のままに叫ぶ。俺の訴えに嘘はなかった。



「詰まる所、あれか?

 貴様は前と同じく無策で突っ込み。

 あまつさえ、無力な体で正面から盗みを働き。

 全裸で挑発したと」



 俺は全力で頷く。あれ?無策な事ばれてなかったか。



「殴り殺されて当然だな。

 まったく、救いようがないとはこの事だ。

 クズなりに頭が働くかと思えば、なんだそのていたらくは?

 恥を知れ、度し難いクズが、いっそこのまま消えて無くなれ」


「そんな…」



 本当の涙目になる俺。

 姫様は、怒りに打ち震えて…

 あれ? 笑っている?



「清々しいとはこの事。

 なんだこれは? 絵に描いた様な三文芝居ではないか。

 貴様さては私を嵌めようとしているのか?

 本当は何か策があるのだろう?

 あまり焦らすな。いい加減に見せるのだ」



 姫様の表情は柔らかくそして優しいものだった。

 俺は少し罪悪感を覚える。しかし、これはチャンスだ。

 畳みかければ、何か突破口が開ける気がする。



「策ならある。

 ただ、万作尽きたのも事実だ。

 盗む力がない。これだけは如何しても覆らない。

 力を望む訳ではない。せめて、ものを持ち出す為の道具があれば」


「作ればよかろう」


「今の俺に作れると?」



 更に、畳みかける。この機を逃せば本当に策などなくなる。



「頼む。今の俺には姫様が必要だ」


 厳密には姫様の力が必要だ。




 ――― 沈黙が訪れた。



「貴様、侮ったな?

 私が貴様の心を読める事、忘れたのか?」



 深淵の様な黒い瞳が俺を見据えている。

 ただ怒りを感じない。先ほどの微笑もない。

 興味を失ってしまったかのような顔をしている。



「児戯に付き合うのも飽きたわ。

 貴様に何もないのは当たり前だ。

 弱者として生きろ。忘れたのか?」



 口調が先ほどまでとは違い業務的なものになっていた。



「しかし、私を少しとはいえ楽しませたのは事実。

 いいだろう。少しだけ力を貸してやる。 


 ――― 失望させてくれるなよ」



 それから姫様は、俺から読んでも答えてくれなくなった。

 何か大きいものを失った気がする。

 ただ、得たものはあった。『共有魔法:獄卒の腰袋』。


 久しぶりに見たステイタスには少しの変化があったが。

 今の俺はどうでも良い事のように思えた。


 俺は当てもなく道を歩き出す。

 世界がひどく色あせたように思えた。



====================================


 ナナシ 21歳 男 人間 


 レベル:1

 HP :1/1

 MP :0


 筋力 :1

 体力 :1

 敏捷 :1

 魔力 :0

 耐久 :1

 耐性 :1


 next :?

 経験値:176000


 スキル:なし

 技  :なし

 魔法 :なし

 共有魔法:獄卒の腰袋(lv1)


 称号 :罪人     

 特性 :地獄の囚人 獄卒の不興 罪の代償 即死耐性★


====================================

====================================


 :共有魔法:

 獄卒の腰袋

「任意の場所に袋の入口を設定・解除する事ができる。

 袋には物体を収納する事ができる。

 収納容量は獄卒の魔力に依存し、獄卒が任意で指定する。

 使用時の消費MPは獄卒が負担する。

 なお、この魔法を使用しての殺傷行為は不可能である」


 :特性:

 即死耐性★  

「幾多の即死を乗り越えた者に与えられる、完全即死耐性」


====================================

6話まで読んでいただきありがとうございます。

読んでいただけた方はわかると思いますが。

本作品は、

『クズがおくる、他力本願系異世界冒険ファンタジー』です。

あらすじが良くわからないとの助言がありましたので

追記しておきます。助言ありがとうございます。


◇ 追記 ◇

修正箇所があたので、なおしておきます。

場所は『:共有魔法:獄卒の腰袋』の説明部分です。

文法がおかしかったので直しました。


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