混ぜ合わせ 七の巻
久々に、混ぜ合わせが書けました。
ちょっと嬉しいです。
1,傘地蔵
お地蔵様は、道筋のあちこちに見られて実に可愛らしく佇んでいますが、実はとても徳の高い仏様です。
元々、仏の最高位である「弥勒」の到来までの代行を勤める程の位を持つ「菩薩」であり、正式には「地蔵菩薩」とも言いますね。
しかし、取調室にいる彼は項垂れたまま、「すいません」を繰り返すのみです。
取り調べに当たる刑事も、
「まあ、事故と言えば事故なんだろうけどねぇ。
刑法には『未必の故意』って奴があって、こうすれば結果は分かるでしょ?
って感じで裁かれるのよ」
「分かります。 考えが足りませんでした」
と相変わらず項垂れたままのお地蔵様・・・・・・
「しかしね。 いくら傘のお礼だからって、家の中にあれだけものを投げこめば、体力のない爺さん婆さんだ。
逃げ遅れて圧死する事ぐらい分かりそうなもんだがねぇ・・・・・・」
刑事はそう言って大きく溜息を吐いたのだった。
2,売る虎マン
ハヤタ隊員は自らが『売る虎マン』で有る事を決して知られてはならない。
損害賠償額は既に「兆」に達しているからだ。
3,避の鳥
「あなたの罪は重すぎます。 いくら輪廻を重ねても人間に生まれ変わる事はないでしょう。
次は魚に、その次は虫に、次は鳥に、或いは獣に、と幾ら生まれ変わっても人間に生まれ変わる事はありません」
「つーことは、面倒くさい人間関係やブラック企業からも永遠におさらば、って訳ですね」
「・・・・・・ええ、まあ、そういう見方もありますね・・・・・・」
「解脱、一歩手前ッスね」
「・・・・・・今の無しって事で?」
「駄目です! あんたが言い出したんですからね」
※ 解脱:生き物や人間としての苦しみから全て解放されること