死神は月を見て笑う
開いていただきありがとうございます。
死神は月を見て笑った。
今日も地獄にたくさんの人がおちていった。
死神が見る月は、真っ赤で大きいと聞くが、実際に生きている人間でそれを見た人はいない。
死神は一人の少女を思い出した。
少し前に自分が地獄に流した女の子。
ショートヘアのかわいい、元気な女の子だった。
心が動かされたことも覚えている。
ただ……
俺はそいつを地獄に流した。
忘れるために。
彼女は何も悪くないのに。
死神は持っているかまを振り回した。
恥ずかしさを隠すためかもしれない。
自分への怒りを紛らわすためかもしれない。
死神にも心があるのだ。
明日もこれでたくさんの人を地獄に流す。
死神は月に誓った。
ただ、二度とあのようなことはしない。
死神は月を見て笑った……
ありがとうございました。