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【連載版】転生したら断罪の場でヤジを飛ばして石を投げるモブ平民だった  作者: Vou
第四章 断罪の王国編

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第七十二話 彷徨うモブ(前編)

 王城前広場の人々は、何をしていたのだろうという顔で周りを見渡していた。


「おい、おまえ。何をふざけているんだ。断罪台の上になんか立つもんじゃないぞ」


 俺に声をかけてきたのは宰相ジークフリートだった。


「ジークフリート様、俺が誰だかわかりませんか?」


 ジークフリートは少しだけ思案して言った。


「申し訳ないが、わからないな。いいから、降りなさい」


 俺はすぐに状況を理解した。これは「名喰い(ネーム・イーター)」だ。俺は断罪されて名前を奪われ、皆、俺のことを忘れたのだ。


「ほら、あなたも降りて」


 俺とともに、もう一人注意をされた男がいた。王子のように派手な身なりの男だが、俺はその男を知らなかった。俺とともに「名喰い」の巻き添えでも食らったのだろうか。


「あ、おまえ、なぜ『名喰い』を持っているんだ! どこから盗んだんだ?」


 一人の宮廷魔導士がその派手な男に歩み寄る。


「おい、それは試作品だろう? 副作用で使用者にも効果が及ぶ可能性があって危ないから持ち出したらダメだろう」


 また別の宮廷魔導士が言う。


「何だと? 何でそんな危険なものを開発したのだ? 誰の指示だ?」


 ジークフリートが宮廷魔導士たちに尋ねるが、自分たちもなぜそんなものを開発したのか心当たりがなさそうだった。


「そもそもなぜ王政府が禁術などに手を出すのだ。さっさと処分しなさい。今後一切、そんなものを開発してはいけないぞ」


 ジークフリートと宮廷魔導士がやり取りをしている間、王子風の男が「俺は王太子だぞ」「なんて無礼なやつらだ!」と喚いていたが、完全に無視されていた。

 何だか滑稽だった。


 自分の名前を名乗らないところを見ると、やはり「名喰い」の被害者なのだろう。もし俺のせいであれば申し訳ないが、どうしようもない。


 そして……俺も、自分の名前を思い出すことができない。



 俺は黙って断罪台を降り、人々の中に入っていった。

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