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時間を巻き戻せる切符――代償は、君との一年分の記憶でした    作者: まなと
第十六章 さようならの、その先で

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50話

「動くな!」


四方から、松明の光。

役人たちが、一斉に現れた。


「全員確保だ!」


刺客は、抵抗する間もなく取り押さえられる。

尊雅は、愕然とした。


「……なぜだ……!なぜ、役人が……!」


蒼真が、一歩前に出る。


「お前たちの作戦は失敗だ」


静かな声だった。


「刺客はすべて捕まえた。屋敷も、誰一人欠けていない」


尊雅の顔が、歪む。


「お前は……何者だ……私の計画は完璧だったはずなのに、何が起こっているのだぁぁぁぁ!」


怒り狂い、叫ぶ。


「この化け物がぁぁ!」


だが、その声は夜に消えた。


翌朝。


屋敷の門前で、当主とお千代が立っていた。

蒼真を、見送るために。


「どうもありがとう」


当主は、深く頭を下げた。


「そなたがいなければ、我らは……」


お千代は、少し寂しそうに笑う。


「……さみしいな」


蒼真は、胸が締めつけられるのを感じた。


「今までありがとう、さようなら」


短い言葉。

それで、十分だった。


鳥居をくぐり、現代へと戻ってきた。

その後、祖母の家まで戻り、車で自宅へと帰る。

その帰る途中に決めたことがある。

学校に行くことだ。


数日後。


今、学校へ向かって走っている。

以前なら、考えられなかったことだ。

人と話すことも、外に出ることも、怖かった。


——でも、今は違う。

お千代との出会いや、別れ。その経験のおかげで学校へ行けているのだ。

学校にも少しずつ慣れてきて、友達すらできた。しかし、今までの引きこもり生活の習慣で

朝に弱くなっており、毎日遅刻しそうになりながら登校している。


「遅れる……!」


角を曲がった瞬間、足がもつれる。


「うわっ」


転びそうになった、そのとき。


「大丈夫?」


差し出された手。

顔を上げると——


一瞬、お千代に見えた。


同じ仕草。


同じ、やさしい目。


「……ありがとう」


蒼真は、その手を取った。

朝の光が、まぶしく差し込む。


——運命は、静かに続いていく。



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