管理室での会話
そして――夜が明け、時空電鉄の小さな観測室では、ティオとリュカが並んでいた。二人は淡々とした口調で、だがどこか柔らかい笑みを交わす。
「今回、時空管理局の規則――現実世界に干渉するのは禁止だろ?」
リュカが言う。腕を組み、顔に影が落ちる。
ティオは肩をすくめて、少しだけ反省顔をする。
「うん。でもね、僕は車掌だ。あのホームを走るのは、ただの仕事じゃない。時に誰かの背中を押すのも仕事の一部だと思うんだ」
リュカは小さく鼻で笑った。
「よく言うよ。だが監査に引っかかったら、君の制服は洗濯機行きだぞ」
ティオは真顔で首を傾げる。
「まぁ、今回は許してほしい。必要だったんだ。あの子たち、あのままだったら、、、」
リュカはしばらく黙っていたが、やがて頷いた。
「……まぁいいだろう。今回は、な」
二人の間に短い沈黙が流れる。外側の世界では、まだいくつかの歯車が回り続けている。
だがその夜だけは、小さな救いの灯が消えずにいられた。ティオの胸ポケットには、どこかで見た小さな切符の端切れが温かく収まっている。リュカはその切符をちらりと見て、深く息を吐いた。
「次は、もっと気をつけろよ」
リュカが呟く。
「うん。ありがとう、リュカ」
ティオは小さな笑顔を返す。
そして、観測室の大時計の針が一つだけゆっくり動いた。誰かの時間が、ほんの少しだけ、救われた夜だった。




