ホームでの会話
復讐の始発駅から全てが終わった夜。
時空電鉄の車内には、静かな空気が流れている。
車掌のティオは、遠く窓の向こうを見つめながら、リュカに声をかけた。
「リュカ、見ていたんだろう?
あの子は、結局どうしたと思う?」
リュカは窓越しの闇を見つめたまま、ゆっくりと答える。
「……自分で決めた。
そして、自分で終わらせた。復讐も、怒りも。
でも、ちゃんと誰かに守られることも、受け入れたんだ」
ティオは小さく頷く。
>「うん。あの子はもう、自分の手で生きる道を選んだんだね。
悪意に屈せず、自分の心を守った」
リュカがふっと笑む。
「そうだな。俺たちが手を貸したのは、ほんの少しだけ。
本当に必要だったのは、彼女自身の決意だ」
ティオは窓の外を流れる景色に目を細める。
「これからも、時空電鉄は色んな人の選択を見届るんだろうね」
リュカは頷き、呟く。
「そうだ。誰も知らないけど、確かに誰かの人生を変える瞬間がある。
そしてその瞬間を、俺たちは見守るだけでいい」
車内には静かな風が流れる。
過去と未来が交錯する中で、電車は次の目的地へと進む。
「さあ、次の乗客は誰だろうね」
「楽しみだな」
二人の声は小さく、でも確かに響いた。
それは、過去を終わらせ、未来を見届ける者たちの静かな誓いだった。
ここで物語は静かに幕を閉じる。
復讐も、痛みも、救いも、全てが乗客の心の中に刻まれたまま時空電鉄は未来へ走り続ける




