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2.この世界に何を求めるか

「えぇと、ここは?」


キャラメイクが終わり、鈴ことPN.『ベル』はプレイヤーがこの世界で初めて降り立つ街『アルティアラ』にいた。


「さて、確か最初にやることは職業決めかな?」


ネットの掲示板を見て予習はしてある。掲示板の情報によると、初心者はまず職業選定所に行き自身のプレイスタイルを決めるとのこと。鍛冶をするなら『鍛冶師』に、料理をするなら『料理人』に、剣や盾で冒険がしたいのなら『冒険者』といったように職業を決めるとのこと。なかには食材を育てる『農家』といったものもあるらしい。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご要件でしょうか?」


「職業を決めたいです」


「かしこまりました。ではこちらからお選び下さい」


目の前に現れたウィンドウには多くの職業が表示されている。しかし鈴が悩むことはない。なぜなら...


「冒険者の『フリー』で」


「かしこまりました」


このゲームには冒険者を職業として選ぶ際に、武器のスタイルを決定する項目がある。例えば、『片手剣』を選べば片手剣のスキルが覚えやすくなり、剣と盾、剣と剣というバトルスタイルが可能となる。しかし1度職業を選ぶと剣以外の、弓などといった武器を使うことが出来なくなるなどといったデメリットが存在する。さらに職業の選び直しにはかなりの労力が必要とのこと。


そして鈴、彼女の選んだ『フリー』とは文字通り『フリースタイル』のこと。武器防具に制限が無くなり、さらには全てのスタイルのスキルを覚えられ、様々なスタイルで戦闘をすることが出来る。しかし、そんな都合のいいだけの話であれば全プレイヤーが『フリー』を選んでいるだろう。


「えぇと、『フリー』の効果はっと...あぁやっぱり掲示板にあった通りの効果なんだ」


『フリー』のデメリットは「レベルが上げにくくなる」「スキルが覚えにくくなる」「ステータスが低くなる」の3つ。それほどまでにデメリットを抱えているため、このエタプロというゲームでは『フリー』で遊んでいるプレイヤーは少ないのである。


「さて、職業を選び終わったし、さっそく冒険に行ってみようかな?」


始まりの街アルティアラの北門へと向かうベル。彼女の手には2つの剣が握られている。職業とスタイルを選んだ際、プレイヤーにはそれに合った初心者用の武器や道具が支給されるのだが、フリースタイルである彼女には全ての初心者用武器が支給されているのである。


「えぇとまずは...初心者の狩場って言われてるらしい北方草原ってところかな?」












「あ、いたいた。あれがキラーラビットってやつかな?」


今回の彼女の目的はキラーラビット。北方平原で初心者がよく戦闘を覚えるために相手にしているモンスターだ。

大量に湧くうえに食材としても重宝されているため初心者にはうってつけのモンスターである。


「とりあえず、Lv.10くらいになるまでは狩ろうかな」










「あ、レベルアップした。これでLv.10かな?」


「...なにやってんの?」


「ん?あなた誰?」


「あ、そっかここでのPN.を教えてなかったわね。貴女(あなた)の大親友の友紀よ。ここでは『ラファエル』って呼んでちょうだい。」


「...それ自分で名前を考えてて恥ずかしくなかったの?」


「鈴に名前の事をどうこう言われたくないわよ!安直に英語にしただけの『ベル』だなんて...身バレしても知らないわよ?」


「私は仮面付けてるからいいのよ」


私をこのゲームに誘った友紀...この世界では“ラファエル,,と名乗るプレイヤーと合流することが出来た。そして私達は今後について話し合おうとしたのだが...




「ねぇベル、アンタ今レベルいくつ?」


「ん?ちょうどさっき10になったところ」


「はぁ!?」


「え、なにどうしたの?」


「いやいや、ここだけでLv.10はありえないって!普通はここでLv.5くらいまで上げて、それからゴブリンやボアのいるところに行くのがセオリーなんだけど...一体どれだけキラーラビットを倒したの?」


「んー途中から数えるのが面倒くさくなって、ちゃんとは数えてないけど200は超えてるんじゃないかな?あ、それと最後に倒したラビットがなんか色が違った気がするけど別種だったのかな?アレを倒したらレベルが一気に2つも上がったのよね」


「...多分それレアモンスターよ。特定の条件、または超低確率でランダムエンカウントするレアなやつよ」


「へ〜そんなのもいるんだ」


「ねぇ、もしかしたらスキル覚えてるんじゃない?」


「スキル?あぁそういえば『ダブルスラッシュ』『アクセル』『ヒール』を覚えたわよ?」


「なんでそんなバラバラ...ちょっと待ってアンタまさかフリースタイルを選んだわけじゃ」


「そうだけど?」



「...はぁ、とりあえず今日はリスポーン地点を更新して明日に色々確認しましょ。なんだか今日は驚き過ぎて疲れたわ...」


なぜ彼女はげっそりとしているのだろうか?

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