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父と娘

商会や、書店に置かせてもらえた父の本は爆売れ!


うーん、売れるとは思っていたけど、なんかむかつくわ。


重版に次ぐ重版。 ルーも忙しそう。


父は、半年こちらにいたが、帰る事になった。


「やだよ! ここにいたい! お金も稼げたし、自分で家を買う!」


「イーブン語を話せない人がよく言うわ!」


「ジェシカも一緒に!」


私もここにいたいけど、その内、兄から帰ってこいと言われるのよね。

でも、ここで父の面倒を見ながらはイヤだわ


「今度来る時は、面倒を見てくれる人も連れて来た方がいいわ。家を買うつもりなら、尚更ね。それにちゃんとイーブン語を勉強してきて」


「ちぇ」


本当にこの親は・・・


「ねぇ、聞きたいことがあるのだけど」


「ん? なに?」


今しか聞く時はないと思い、


「妹は、お父様の子じゃないの?」


「そうだね」


え。


即答なのね


「スカーレットだって、違うと思うよ」


はあー!? 

お父様まで、ぶっ込んできたわ!!


「はは。君は驚いたり、笑ったりできるようになったね! 僕は嬉しいよ!」


だって!! みんな、ぶっ込みすぎなんだもの!!


「マーガレットと結婚して、初夜はなかったんだ。式の時もふてくされてたし、そんなにイヤなら何で僕と結婚したんだろうね。公爵家からの縁談を伯爵家が断れないよ」


そうよね。 今だって会話もしてないわよね


「でもスカーレットが産まれたんだ。僕は黙っていたけど。 父は男子を2人産めと、僕とマーガレットにいつも言ってたんだ。 メイドにマーガレットの月経の周期や、僕達が励んでるか、全部報告させてたな」


お祖父様は本当に色々と凄い人ね


「マーガレットは、僕に薬を飲ませて行為をして、ロデリックが産まれた。 しばらく経っても次の子ができないことを父にまた言われ、同じように薬を飲まされ、ジェシカが産まれた」


お父様・・・


「マーガレットとはそれきりだね。 だけど、アリアが産まれた。 もう4人産んだので勘弁してほしいと、父に言ってたね」


「・・・何で母に何も言わなかったの?」


「うーん、何でだろう、僕は父が嫌いだし、僕の事は見下すのに、父の言いつけは守るマーガレットも好きにはなれなかったからかな。 黙ってる事で逆に不安になればいいとか思ってたかも」


いつもの調子ではなく、少し笑みを浮かべながらも辛そうに話す父が可哀相に見えて


「お父様」


ぎゅうっと抱きしめた


「っ! はは、ハグをされたなんて初めてだ」


ビクッとしたのを誤魔化すように言った父は、私の背中に手を回してきた


「ロデリックとジェシカが父の所に行った事も、マーガレットは僕に言わなかった。スカーレットとアリアだけを可愛がるから、ジェシカも辛かっただろう?」


そんなことはないと首を振る


「僕もあの時はマーガレットと顔を合わすのがイヤで、領地に逃げてた。気づけなくてごめん」


また首を振る


頭をポンポンとしてくれる父


「たまには父親らしくしないとね、今回は帰るよ。またしばらく会えなくなるね、顔を見せて?ジェシカ」


「・・・」

涙が出てしまって顔を上げられない

泣いたのは、10年ぶりかも

見られたくなくて、さらに父をぎゅうっとする


「ぐぇっ」


そんなことろに、走ってくる足音が聞こえてきた


「ジェシカ! お父さんを絞め殺しちゃだめだ!」


ルーが私と父を離そうとしてる


「た、助かったよ! ルー君! ジェシカの初の泣き顔を見ようとしたら、殺されそうになった!」


父をえいっと転がす


「ギャ!!」


なんか感動したのに、返せ!

手で涙を拭う


「え?ジェシカ泣いてるの? ・・・お父さん! ジェシカを泣かせたの?」


いつもの飄々とした感じを消し、父を睨んでるルー。


「こ、怖いよ! ルー君! 殺されそうになったのも僕! はっ倒されて地面に転がされてるのも僕! ちゃんと見て!」


ルーが抱きしめてきた


「大丈夫? ジェシカ? お父さんに何されたの?」


・・・なんか恥ずかしい


「ちょ、ちょっと、ルー君! 僕の娘に触らないでくっー ぶへっ」


「痛っ!!」


あ、思わずルーも転がしてしまったわ


「お、重いよ!ルー君、早くどいて。それより見てよ!ジェシカが恥ずかしがってる! 初めて見た!!」


「あ、ホントだ。 ・・・可愛いな」


2人に背を向け、赤くなったであろう顔を隠す


もう! 全部2人のせい!!


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