アリア
アリアの部屋をノックしても、返事がないので開ける
カーテンも閉めたままで、うずくまってる
部屋も暗いが、空気も暗い
カーテンを開け、窓も半分開ける
「眩しいわ! 閉めて!」
本人は声を張り上げてるつもりだろうが、声も出てないわ。
だいぶ痩せたわね、それに何だか臭いわ。
「アリア」
「・・・ジェシカ?」
「そう、私よ。そろそろ学校に行かないと、留年になってしまうわよ?」
「・・・」
「いつもちゃんと手入れされてるのにボロボロじゃない、可愛いのにもったいないわ」
「・・・使用人は来なくなったわ。ご飯は置いていくけど」
「お風呂は? あなた少し臭うわよ?」
「・・・」
部屋にある風呂場を見てみると汚れている。掃除もされてないわ。使用人は本当に何もしていないみたいね。
「今からお風呂を洗うから、一緒に入りましょう」
「・・・」
風呂場に向かい、掃除をする。
お兄様も知らないみたいだし、誰の仕業かしらね、全く!
お湯を入れて、準備完了。
あとはアリアの服を剥ぎ取り、抱えて風呂場に運んだ。
「痒いところはない?」
もう3度目のシャンプー。4度目はやらなくて良さそう。
体も2度洗い、湯船に放り込む。
ついでだから自分の髪と体も洗う。
「・・・ジェシカ、その背中の傷はどうしたの?」
「・・・小さい頃、祖父母の家で育った時、剣の稽古でついた傷ね」
本当は、お祖父様に鞭で打たれたなんて言ったら、驚いてしまうから内緒にする
私も湯船につかる。
ふぅー、気持ちいい。
「アリア、今の環境は明らかに変なのに何で言わなかったの?」
「・・・だって、ここの当主の子ではなくなった、ただの居候だって言われた」
そいつ殺す!
「アリアはこれからどうしたいの?」
「・・・わからないわ。・・・私、どうすればいいの? ジェシカ」
「うーん、そうねえ、アリアがしたいことをするのが1番だけど・・・この後、お兄様にも相談してみましょ」
「怖いわ・・・」
「そう? お兄様は優しいし、頼りになるわ!私は大好きよ」
「・・・ふーん」
少しは元気が出てきたかしら?
「そろそろ出ましょう」
風呂場から出ると、粗末な食事が置いてあった。
「これが食事?」
「・・・商人の子とわかってからはね」
許さないわ!
「今度からはお兄様か私にちゃんと言ってね。 じゃ行きましょ」
粗末な食事を持って兄の執務室へ行く。
「お兄様、また来てしまったけど、大丈夫?」
「ああ」
アリアと2人で入る。
「? どうした」
「これ、アリアの部屋に出された食事。 部屋も掃除もされてなかったわ。もちろんお風呂場もね、私が掃除して2人でお風呂に入ったの、アリアがあまりにも臭くて」
「ジェシカ!」
「本当の事じゃない。私は見たもの 」
「アリア、なぜ言わなかった?」
「う・・・だって居候だから静かにしてろって、お兄様もお父様もあまり話した事もなかったし、今更助けてと言っても聞いてもらえないかと思って・・・ぐすっ」
「はあ、何かあったらちゃんと言え。 とりあえず2人とも髪を乾かして、着替えろ。 昼間から寝間着はダメだ。 その後は食堂に来い。 食事をしながら話そう」
「ね、お兄様は頼りになるでしょ?」
「うん」
用意を終え、2人で食堂に行く。
「来たか。 食べよう」
美味しいわ。逆にあんな粗末なモノを作るほうが難しいんじゃないの?
「調べはついた。 指示をしたのは母だ」
え
「指示を受け、行動した使用人と副料理長は解雇した」
早っ!!
「母はもうどうすることもできないな。 反省してると思っていたらこれだ」
そうね・・・
「で、ふてくされて出て来ないと思っていたアリアがこれだ。 私も把握できずに申し訳なかった」
頭を下げる兄
「私ももっとアリアと話をすれば良かったわ、ごめんなさい」
「うっ・・ぐすっ、私もごめんなさい、本当にごめんなさい」
根はいい子なのよね。
「う、私は最近だもの。耐えられたわ。・・・ でもジェシカの傷は昔からでしょ? 私なら耐えられないわ・・ぐすっ・・・それでお嫁に行けるの?」
「ジェシカ?」
ひっ! お兄様! 目が怖い!
兄の目を見て耳をさわる。
今、私の事はいいわ。
「はー、アリア、来週からは学園に行け。 お前の件は知ってる人はほぼいない。ちゃんと卒業しろ。やりたい事を見つけるにしても、嫁ぐにしても、卒業証明を持っていないと道は急に狭くなる。それから、学園で何かあったら、きちんと報告することも忘れるな?」
「はい・・・わかりました。ありがとう2人とも」
とりあえず大丈夫そうね・・・




