不貞ばかりで大変だ
兄が来た。
「そろそろ大丈夫か?」
「ええ」
椅子に座り、長い足を組む。
「父から聞いたのだろ? 私達兄妹のことを」
「ええ、私とお兄様は父と母の子だと」
「姉は祖父の子だ」
えー!!
だから色に違和感はなかったの?っていうか少し気持ち悪いわ、お祖父様・・・
「妹は、当時出入りしてた商人の子だ」
アリアは、確かに顔も色も全く違っていたけど。
「父は帰って来てから、少しマトモになってな。姉と妹について母と話をした。不貞を理由に離縁を要求した」
お父様・・・
「当然母は否定したが、そこでヒューバードが、いや、今はルーでいいか、そのルーが、親子鑑定ができる道具を送ってくれてな、証拠が出た」
ルー・・・知らなかったわ、ありがとう。
「始まりは陛下のせいで、我が家がゴタゴタしてるから、申し訳なく思ってるのか殿下も介入してくれた。・・・いや、それは建前でお前が好きだったから動いたのだろう。こちらは祖父にトラウマがあるからな、対峙するのは今でも気が重いから、その点は助かった」
殿下もありがとう
「殿下に立ち会ってもらい、祖父の鑑定をした。結果が出た後はお祖母様が暴れ、止めるのが大変だった。その後は寝込んでしまった。高齢だから少し心配だ。姉は、母を罵り大変だった。姉の旦那も来ていたが、姉の豹変した姿にドン引きしてたな。姉夫婦の今後はわからないな」
修羅場ね
「母の生家にも連絡したが、『引き取らない。そちらで処理してくれて構わない』と手紙をもらい、母に見せたら泣き崩れてた。だがあちらにすれば、王家に嫁ぐ事もできなかった、出来損ないの、今では年増だ。今更引き取っても邪魔なだけだろう」
色々ありすぎだわ
「妹は、皆と似てないから、そんな気がしてたと言っていた。父が商人と聞いてがっかりしてたな。商人は引き取るつもりはないと言った。妹は傷心中だと言って学園は休学中だ。」
アリア・・・
「父の本があの国で売れなかったのは、祖父が手を回していたらしい」
え! お祖父様はとことんやるわね・・・
「殿下が陛下に話し、陛下が祖父と話した。あの時はすまなかったと謝ったらしい。だがそれとお前が家族にしてきたことは別だと叱ってくれたらしい。陛下も3年後に退位をされることを発表した」
もう驚くのが疲れてきたわ
「お前がルーとこちらでいい仲になってる事は、叔母からの手紙で知っていた。伝えたら、 会いたいと言っていたな。」
ルーが会いたいと言えば良いけど。
「それから驚く事に、第1王子と第4王子が陛下のお子ではなかった。もう陛下はぶち切れたらしい!同じ事をしてやる!父親を探して消してやる!嘘をついてもこれからは親子鑑定できるからな。あれは便利だな。王妃様は幽閉された。2人の王子は子ができないように処置されたが、今はまだ王宮の自室で軟禁状態だ」
ひえー
「身近でこれだけの不貞だ。陛下と殿下も動かれてる。赤子が産まれたら、今まで通り届け出を必ず提出し、プラスその場で鑑定する法案を作成中だ」
「離れている間に色々ありすぎだわ。何も出来なくてごめんなさい。お兄様は大丈夫?」
「ふ。 お前をイーブンに行かせたのは私だ。気にしなくていい。流石に疲れたが、今後の安寧の為なら頑張れたよ」
お兄様に抱きつく
「っ! ふ、こんなことは初めてだな。慰めてくれてるのか?」
「頑張りすぎよ! 少しくらい頼ってくれても良かったのに」
「お前には辛い幼少期を過ごさせたからな、今回は巻き込みたくなかった」
「あの頃だってお兄様がいてくれたから耐えられた。お兄様を道連れにしたのは私なのに・・・ぐすっ」
お兄様の胸に頭をぐりぐりする
最近は、涙腺がゆるみっぱなしだわ・・・
「ふ。 可愛い妹の為に頑張るのが、兄の役目だ」
お兄様が私の頭をなでる
「ふ。泣き顔も久しぶりだ。本当に感情が戻ったのだな、良かった」
「お兄様、大好き」
また抱きつく
「ふ、はは、ああ、私も大好きだ」
あ、お兄様も笑ったわ




