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ジェシカ・トレバーの日常  作者: ぱんどーる


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11/22

転がして、投げて、転がす

ルーが粥を食べさせようとするのが、恥ずかしくて、口をあけられない。


でも目の前に、美味しそうな匂いのするモノを出されたら、お腹がすくわけで・・・


ぐぅー


は、恥ずかしいわ!


「はは! ほら、食べないと良くならないよ?」


「自分で食べられるから、お皿!」


「残念。 僕が病人の時はジェシカが食べさせて?」


それなら、大丈夫かもね。

もぐもぐ、うん、美味しいわ。

練習してみようかしら?


スプーンですくい、ふぅふぅと冷ましてから、ルーの口に持って行く


「あーん?」

「っ!!」


顔が赤くなったわ! ルーだって恥ずかしいんじゃない!


「ほら、 あーん」

ちょっと楽しいかも。スプーンを口に押しつける。


あ、素早く口に入れたわ! 納得いってない顔をしてるけど、こちらは楽しかったわ!


残りはもうあげないわ。

そう思いながら、食べてると


「あー僕、愛されてると感じるよ!」


何を言ってるの? 首をかしげながら、もぐもぐする


「間接キスしちゃった!」


「!!」

今度は自分が赤くなるのがわかる。顔を上げられないわ。


「はは! 可愛いジェシカ」

頭をなでなでされる


「間接じゃなくて、キスしてもいい?」


え? 


顔をあげたら、キスされた


もーーーう!!


「ギャ!! 痛っ!!」


あー、やってしまったわ。


床に座りこちらを見上げるルー


「いてて・・・相変わらず動きが素早いね。イヤだった?」


違うと首をふり

「・・・驚いただけ。転がしてごめんなさい」


「良かった。 ねぇ、ジェシカからして?」


「・・・恥ずかしいから、頬なら」


「ジェシカ! 君はホントに可愛い! お願いします!」


直角にお辞儀してから、顔を寄せてきた。

恥ずかしいけど、キスをしようとしたら、



「・・・ジェシカ、何をしようとしてるんだ」

「大きな音がしたから来てみたら、イチャイチャしてやがる、クソっ」


呆れた顔のお兄様と殿下がいた。


「ちょっと! ジャマしないでよ! もう少しだったのに! ジェシカ! ほらチューして?」


人前なんてムリ!!


「ギャー!!」


あーあ、私がやる前に、兄に背負い投げされたわ。あれはなかなかに痛いはず。大丈夫かしら。


「調子に乗るな。 やるべき事があるだろう?」


「・・・はい、ジェシカ行ってくるね、またね」

「・・・ええ、気をつけてね。行ってらっしゃい」


ルーは部屋を出て行った


「夫婦かよ」


は?


「どうしてこうなった。ロデリック?」

「知りませんよ」


「ヒューバードが好きか?」

ふふ、久々に聞いた名前ね


「・・・はい」


「はぁー。そうやって顔を赤らめるのも、笑わせるのも泣かせるのも俺が良かった。」


え?


ちょっとどういうこと?

兄に視線を向けて顎をさわる。ヘルプ!


「ふ」


兄に頭をなでられる


「妹は現役王子より、王子になりそこねた平民の方がお気に召したようです。諦めて下さい」


「クソっ! あー分かったよ。」


え?


訳がわからないわ。兄の服を掴み、兄を見上げる


「ふ、お前はもう少し寝ていなさい。きちんと治ったら話をしよう」


また頭をなでられる。


「俺にもやらせろ」


こちらに来た殿下の手を払い、転がす。


「いってー」

「ふ」


やってしまったわ・・・

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