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「わたしたち、ずーっとともだちだからね!」
ーーこんな約束を、年長さんの頃にしたんだ。
私とざくろは、年少さんの時からずーっと一緒。
「ざくろちゃん、いっしょにごはんたべよ!」
「ざくろちゃーん! いそがないとようちえんにおくれるよー!」
毎日一緒にご飯を食べて、毎日一緒に幼稚園に通って。
全てにおいて、私たちは一緒だった。
この関係は小学6年生になっても続いた。
「ざくろ、鬼ごっこしよ!」
「ざくろぉ、聞いてよ……。今日の算数のテストがねぇ……」
私は一度話すと止まらないタイプだから、よく話が一方通行になる事が多かった。
私はいつも「ごめんね」って言っていたけど、ざくろはそんな私を笑顔で許してくれていた。
時が経ち、私たちは『親友』という薄っぺらい言葉では言い表せないほど、仲良くなっていた。
でもある日、ざくろは変わってしまった。
話しかけても、ざくろは返事をしなくなった。
無視をするようになった。
「ねぇねぇざくろぉ! ……聞いてる?」
「ざくろ、私なんかした?」
いくら質問しても、ざくろは聞いてくれない。
というより、まるで私がいないかのような対応だった。
ねぇ……、ざくろ。
あの時の……、幼稚園のときの約束はどうしたの?
ずーっと一緒なんじゃないの? あれは嘘だったの?
返事をしてよ……、ざくろ……。
私を……、居ないものとして、扱わないでよ……。
もし、ざくろが私の事を嫌いじゃないんだったら……。
もし、またざくろが私を見てくれるようになったら……。
もし、もうざくろが私を見捨てないって、あの時みたいに約束をしてくれるのなら……。
もし、またざくろと喋られるようになるんだったら……。
「もう……、何もいらないから……!」
「……ざくろー、聞いてんのー?」
「……え? あ、あぁ、どうしたの?」
「もう……、話聞いてた?」
「いや、全然……。ちょっと今、昔の友達のことを思い出して」
「昔の友達? どんな子だったの?」
「えっとね……、私が一人の時に突然話しかけてきて、年少さんの頃からいつも一緒に居たんだよね。
でも最近、見ないなぁって思って」
「……ざくろ、その子ってもしかして、私たちと仲良くなってから会わなくなった?」
「え……? 何で分かったの?」
「ざくろ、多分それ……」
“イマジナリーフレンドだよ”